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クリスマスイベント(後編) ―セイントナイト― 関連エピソード情報


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◆関連エピソードプロローグ◆

●サンタ苦労する
 しんしんと真白の雪が降り積もる。
 寒さも増し本格的な冬の到来とともに、いよいよ『クリスマス』も本番となる。
 ……しかし。

「う~ん。このままじゃ、足りないな……どうすっかなぁ」

 ノースガルドの北に位置するスノーウッドの森。
 その中心部である古代の森のさらに中心、『メリーツリー』の前には一人の青年がいた。
 青年の名は、レッドニス・サンクロース。
 クリスマスの主役ともいえるサンタさんその人である。
 春風やサムという古い伝手を辿り、A.R.O.A.のウィンクルムたちと協力して、メリーツリーの奪還には成功した。
 しかしそれまでに、ずいぶんとツリーの力を奪われてしまったらしい。

 サンタクロースはメリーツリーの力を使ってクリスマスを成功させてきた。
 一夜にして世界中の子供たちにプレゼントを届ける妙技も、『クリスマスの料理』にかかる『魔法』もメリーツリーの力を借りてこそ。
 だが、今年ツリーの力が足りず、それはできそうにもない。

 それでも、なんとかしてクリスマスを成功させなくては。
 世界の均衡を正すための儀式としても、そして何より人々の笑顔のためにも。

「こうなったら意地張っても仕方ねぇ……頼らせてもらうか。ウィンクルムの力を」

 彼らに助けてもらうのは、もう何度目のことか。

「プレゼント……奮発してやらなきゃかなぁ」

 
 レッドニスはソリに乗り込むと一路タブロスを、A.R.O.A.の本部を目指す。
 降り積もる雪を、りんりんと響く鈴の音でかき分けて。

●誕生!臨時サンタ!
 A.R.O.A.本部の大講堂に眼鏡をかけた青年、ライラットの声が響く。

「皆さんにはこれから、サンタクロースをしてもらいます!!」

 羨ましいです! そう言うライラットは悔しそうにも見えるがそれ以上に楽しそうだ。
 ただ、集まったウィンクルムたちへの説明にはならない。
 案の定彼らはうまく事情を飲み込めてはいなかった。
 見かねたレッドニスが説明を補足する。
 メリーツリーの力の不足と、それによって起きた問題。
 そして、今回の依頼の内容。

「そこでお前さんたちに、サンタの仕事、その一部を任せたい」

「そうなんです! 小さいころ、笑顔を、幸せを届けてくれた存在に、皆さんがなれるんです!!」

 再起動したライラットがはしゃぎだす。

「皆さんが任された仕事は、
 『近場、タブロスやノースガルドといった近場へのプレゼント配り』」
 『クリスマス料理に幸せの魔法をかける』
 この二つです!」

「サンタの正装やトナカイとソリ、サンタの仕事道具はオレに任せてくれ。
 心配すんな、お前さんたちが手伝ってくれるんだ、きっと最高のクリスマスになる!」

 何度も助けられたオレが言うんだ、信憑性あるだろ? そう言ってレッドニスは笑う。

「では、臨時のサンタクロース頑張ってください!
 あぁ、もちろん『皆さんもクリスマスを楽しみながら』ね?」

 ライラットの号令を受けて、ウィンクルムは動き出す。
 その顔は皆一様に笑顔だ。
 今年は今まで以上に楽しいクリスマスになる。
 そう信じて。

●異界からの使者
 ウィンクルムを送り出して数時間、ライラットは書類を片手に歩いていた。
 抱えるのは、いまだ未提出だったメリーツリー奪還の報告書。
 ウィンクルムたちをサンタの手伝いへとシフトチェンジさせる計画書。
 あとは、ノースガルド中心都市『ホワイト・ヒル』で託された連続盗難事件協力の嘆願書。
 この嘆願書によれば、教会の鐘ばかり盗む奇妙な連続盗難事件が起きているらしい……。

 と、外来の扉が開いた。

 突如響いたそれに、びくりとと身を跳ねさせ驚きながら、ライラットはその発生源へと目を向けた。
 そこには壁を支えにしてかろうじて立っている青年がいた。
 頭部より伸びる丸まった角、力なく垂れている尻尾。
 そして何より目を引くのが、腰より生える蝙蝠の様な翼。
 悪魔めいたその姿は、まるで。

「……ディアボロ?」

 しかし、日常的に目にするディアボロの彼らには翼などはない。
 ではいったい目の前の青年は?
 ぴりぴりした重苦しい空気が場を支配する。
 それを破ったのは悪魔めいた青年だった。

「た、助けて、くれ……」

 息も絶え絶えな悲痛な青年の声。
 ライラットは駆け寄り、救護班を呼んだ。

●ブラックサンタ
 ホワイト・ヒル郊外の森。
 雪深い森の中に一角だけ雪のない場所があった。
 障壁に阻まれたその空間は熱を持ち、根雪を溶かし、地を乾かしていた。
 そこにたたずむのは、禍々しき龍と一人の青年。

 その前にローブをかぶった男たちが跪いていた。
 男たちは龍と青年に告げる。

「儀式の準備、滞りなく進んでおります。炎龍王様、ダークニス様。
 邪魔な教会の鐘も残り後わずか……もうすぐにございます」

 また一人、罪深き闇へと至ろうとしている。
 真白の雪でも覆い隠せぬほどの暗い闇へと。

◆関連エピソードエピローグ◆

●異界の門
 日をまたごうとするその時。
 夜空よりも暗い闇がホワイト・ヒルの上空で渦巻きだす。
 その渦の中にはしる亀裂は、血の様に赤く、紅く、朱く。
 今にもその歪みを押し広げて、ナニかよくないモノが這い出てきそうだ。


●教会の鐘
 恐怖と絶望が支配するホワイト・ヒル。
 どこかで龍がほくそ笑んだ。
 渦は拡大し、ホワイト・ヒルを包み込もうとする。

 が……その時、どこからか、鐘の音が鳴り響く。
 一つだけのそれに、応えるように二つ、三つと鐘が歌いだす。
 ウィンクルム達が守り、奪い返してきた教会の鐘の音が、醜く歪んだ夜空に響きだす。
 全てをかき消すように奏でられる鐘の音は、全てを浄化する聖歌のようで。
 その残響が消えるころ、突然のその歌に呆然とする人々はようやく意識を取り戻す。
 空はいつの間にか青く、澄み渡っていた。


●メリークリスマス
 青空からこぼれる白い結晶が、街を、世界を、人々を包んでゆく。
 全てを包み、覆い、癒してゆく。
 しんしんと降り積もる雪。
 りんりんと鈴の音も聞こえる。
 何台ものトナカイに引かれたソリが、空を行きかう。
 ソリの上には仲睦まじい二人と、たくさんのプレゼント。
 臨時のサンタたちは大きな声で祝いの言葉を降らせて行く。

「メリークリスマス!」

●聖誕祭
 きらびやかに彩られた、賑やかな街。
 先ほどまで溢れていた恐怖と絶望の影もなく。
 幸せと希望と、愛に満ち溢れていた。
 正常を取り戻しあホワイト・ヒル、そして最大の都市タブロスにも自らのパートナーとクリスマスを楽しむ、ウィンクルムの姿であふれていた。
 何時もより輝きを増した幸せそうな笑顔……。

 それを敏感に感じ取った炎龍王は苛立ちを隠せなかった。
 手下どもは、何をしていたのか。

 怒りに震える龍神のもとへ数名の妖怪が参上する。
 彼らが伝えたのは、憎きウィンクルムたちに敗れ、散り散りに逃げていった手下たちの姿。

 その程度か。
 世から弾かれ、世界を怨み、人を憎んで、立ち上がったのではなかったのか。
 この龍の元に、馳せ参じたのではなかったのか。
 所詮その程度か。

 かくなる上は自ら打って出るしかないだろう。
 はじめから、そうしておけばよかったのだ。
 信じれば裏切られるのだ。
 所詮その程度なのだ、人も、妖怪も、世界も何もかも。
 全てを見限った龍神は再び恐怖と絶望を植えつけるため、翼を広げた。
 その胴にぽっかりと穴を開けて。

「それでは時間がかかりすぎます、ウィンクルムの連中に気づかれてしまう」

 そう囁くのは、一人の青年。

 その手には、一つの箱が。
 飾られ、包まれ、彩られた、龍の心臓が詰まったプレゼントがあった。

「代わりにお前に死んでもらう、今まで目を掛けてくれてありがとう、そしてさようなら」

 何を言っていると、炎龍王と残った妖怪が問いただす間も無く。
 青年はそれを地へと放り、踏みつぶした。
 とたんに、つぶれた箱から血が溢れ出し、飛び散った。
	 
●かつての龍神
 崩れ落ちる龍王。
 何が起きたかわからない。
 混乱する頭の中で理解できたことといえば、また裏切られたということと自身が死ぬということのみ。
 憎悪、絶望、死への恐怖…… 神とまで呼ばれた巨大な魂から、数千の人間の魂より巨大なそれから、断末魔の感情がほとばしる!


●火種
 青年はそれを心地よさそうに浴びると、今までにない邪悪な笑みを浮かべた。
 空間が、世界が、新しい何かの誕生にざわつく……。
 
 青年は、龍の亡骸を袋に、サンタのそれによく似た袋に吸い込む。
 満足そうに笑うと、その身から炎を立ち上らせた。
 龍王が身に纏っていた漆黒の炎。

「うん、悪くない」

 青年のオーラに、いや、新しく誕生した何者かのオーラに、龍神のオーラが加わる。
 その邪悪なオーラは、まるでギルティのそれであった。


 青年は森に火を放つと、その場から姿を消した。


◆NPC情報◆


●A.R.O.A.の関係者、ウィンクルムたち

ライラット
クリスマスの時期になると、人一倍活発になる。
クリスマスに縁のある土地や情報に詳しく、
イベント関連や、それ等を滞りなく進行させることに尽力する。
クリスマスはプレゼントがなくては始まらない!とウィンクルムにプレゼント箱を配った。
レッドニス・サンクロース
ダークニスを弟とし、突如消えてしまったダークニスの行方を追い続けている。
炎龍王を逃し再びダークニスの行方がわからなくなった彼は、途方にくれるも、
ウィンクルムを信じ、希望は捨てていない。
ダークニスを強く想う気持ちが彼の活力となり、ギルティ化と対を成す「セイント化」
状態だということが、明らかとなった。

※公式オフイベント「ゆるふぇす」の オフラインセッションに登場したキャラクター
ダークニス・サンクロース
レッドニスを兄とし、家族思いの良き弟であったが、
オーガ「ナイトメア=フェイクギフト」に唆され疑心暗鬼になってしまう。
炎龍王によって、悪しき心が増幅し、ギルティ化が進み始めている。

※公式オフイベント「ゆるふぇす」の オフラインセッションに登場したキャラクター
春風
自由気ままなお気楽娘。
アヒル特攻……ではなく、アヒル特務隊「オ・トーリ・デコイ」を使いこなす。
サムと共に、スノーウッドの森へ調査へ入り、重要な情報を持ち帰る。

※公式オフイベント「ゆるふぇす」のキャラクターメイキングで誕生、その後 オフラインセッションに登場したキャラクター
北海=サム=優
まだまだ現役!最年長の80歳!
デートコーディネイトのゴージャスマントは本人一押し。
春風と共に、スノーウッドの森へ調査へ入り、重要な情報を持ち帰る。

※公式オフイベント「ゆるふぇす」のキャラクターメイキングで誕生、その後 オフラインセッションに登場したキャラクター


●炎龍王

炎龍王(変異体)
負の感情によってオーガ化が進行し、
メリーツリーのエネルギーによって、
さらに禍々しい姿へと変異した炎龍王。

ダークニスをギルティへと仕立て上げるため、
人間の負の感情の一つ「恐怖」を大量に発生させることで、
一気にダークニスをギルティ化させようとしている。

イラスト(R-E イラストレーター)


◆クリスマスイベント関連情報◆

■クリスマス
 一年の締めくくりに行われる行事。
 その年の『聖』と『邪』の調律を担うと伝えられています。

■サンタアイテム
 ・プレゼント
  子供へのプレゼントは、サンタの本拠である地、夢見の塔で用意されます。
  プレゼントを受け取って子供たちに配りに行きましょう。	

 ・トナカイとソリ
  小型のソリ(2~3人乗り、トナカイは2頭)が貸し出されます。	
  このソリは空を飛ぶことができるので、配る子供の家まで、飛んでいけます。	
  対象の子供の家はトナカイが知っているので、迷うこともありません。

 ・メリー・ベル(魔法のハンドベル)
  昔からクリスマス料理には、サンタの力で『幸せの魔法』がかけられています。
  しかし、今年は力が不足しており、この魔法をウィンクルムがかけて回る必要があるようです。	
  魔法のかけ方は、完成した料理へ『メリー・ベル』と呼ばれる魔法のハンドベルを鳴らしながらクリスマスソングを歌うこと。
  愛し合っている二人が一緒にやれば、効果は数倍になります。

■ホワイト・ヒルの嘆願書
 現在ホワイト・ヒルでは連続盗難事件が発生しています。
 ホワイト・ヒルは教会が沢山あり、教会の鐘の音は『邪』を払うとされ、オーガなどもこの音を嫌うと言われています。
 しかし、その教会の鐘が盗まれているのです。
 当初はただの盗難事件として地元警察が調査をしていたのですが、デミ・オーガによる妨害が発生しました。
 鐘の盗難は、組織だって行われています。
 以降はオーガ絡みの事件として、A.R.O.A.にて引継ぎをお願いいたします。
 ――ホワイト・ヒル地元警察より。

■悪魔のような青年の調書
 ディアボロによく似た青年は、異世界『クラックワールド』からの使者だと言っています。
 A.R.O.A.の資料によれば、大昔この世界とつながっていたこともありますが、今は行き来が遮断された異世界の一つとの事です。

 ・何者かが「儀式」によってクラックワールドとこの世界をゲートで繋げようとしている。
 ・このままゲートを開けば、ゲートが開く場所にある町は飲み込まれてしまう。
 ・ゲートが開くポイントはノースガルドのどこかである。

 これを阻止するためのに青年は何とかこちらの世界へやってきたらしい。
 しかしノースガルドといえば、現在多くのウィンクルムが滞在している地方である。
 クリスマスで忙しい時期ではあるものの、何とか依頼を回せないだろうか?(要検討)
 クラックワールドやゲートについても未だ情報が少ない。
 青年が回復し次第、更なる情報提供が求められる。

■フォーチュン・ベル
ホワイト・ヒルにある一際大きな鐘。
フォーチュン・ベルが奏でる音色は、人々を幸せにすると言われている。

■クラックと呼ばれる生き物
 A.R.O.A.に入った情報では、ホワイト・ヒルの教会の鐘強奪事件で、見かけない生き物が目撃されています。
 いつのもデミ・オーガに混ざって、伝説のガーゴイルに似た生き物などが襲撃の手助けをしていたとの事です。
 
 A.R.O.A.の調査部では過去の記録から、クラックと呼ばれる生き物であると考えています。
 クラックはタブロス近くに生息するグレムリンなどの近縁で、異世界(クラックワールド)からやってきた生き物と思われます。

 なぜ、鐘強奪犯たちに協力しているのかは不明ですが、鐘関連の事件に関わる場合注意が必要でしょう。
 調査部によるとクラックは例外なく「闇属性」であるとという調査結果が出ています。
 
 ・クラックワールド
  記録によると数千年前にこの世界と一時的に繋がっていた異世界で、長いあいだ交流がなかった世界です。
  一説では、ディアブロ達の先祖と関わりがあるとされています。

  クラックワールドと繋がっていた当時、空間が歪んで世界ではオーガが跋扈した時代でした。
  なお、クラックワールドとこの世界が繋がった原因は、とある強力なギルティが誕生したことと関連があるという説があります。

■ノースガルド
 タブロス市のあるミットランドの北にある雪深い地域の地域名称です。
 ノースガルドの大半はスノーウッドの森と呼ばれる大森林地帯に覆われています。
 中心都市はホワイト・ヒル町で、冬の観光地として有名です。

■スノーウッドの森、地理情報
 森林地帯の総称で、大小の森、山丘陵、村々を含みます。
 森のちょうど中央には「古代の森」があり、さらに中心には「メリーツリー」がそびえています。


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