リザルトノベル
◆アクション・プラン
ミオン・キャロル(アルヴィン・ブラッドロー)
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泳いだら疲れちゃったカフェバーで休憩しましょう
昼間からお酒?良いけど、私も頼もうかしら
(名前だけじゃ分らないわ)メニューをじー
これがお勧め?じゃ、それをお願い
乾杯していたら撮影クルーに気づき、気を使い笑顔で手を振る
乾杯
吃驚したわ、ぽむぽむ頬を叩くと精霊が笑いながら見てた
何よ(むっ
まさか酔ってるの?
美味しいけど、ご飯も食べたくなったわ
何か頼む?(フルーツにチーズにハムをつまみつつ
ケーキ?珍しいわね
誕生日!?言いなさいよっ!
…え、だったせっかくだしプレゼントとか(わたわた
あ、そのくらいだったら何時でもいいわよ
(指切り…子供みたい)
アルヴィン、何杯目?やっぱり酔ってるでしょ
お誕生日おめでとう
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「泳いだら疲れちゃった」
プールサイドで休みながら、大きなガラス窓から見えるゴールド海岸を眺めていた『ミオン・キャロル』は、同じように休憩しに来た『アルヴィン・ブラッドロー』に声をかけた。
「カフェバーで休憩しましょう」
「そうだな」
アルヴィンは笑顔で返すと、「行くか」とミオンの頭をぽんぽん撫でる。彼がこうして、優しく頭を撫でるのはいつものことだが――鍛え抜かれた体が惜しげもなくさらされているのは「いつも」通りじゃない。気恥ずかしさから、ミオンはさっと視線をそらした。わかりやすい神人に、アルヴィンはくすりと笑う。
二人がいるのは、リゾートホテルの最上階にある室内プールだ。コーラルベイに建つそこは、プールサイドにカフェバーが併設されいる等、贅沢な造りをしていた。
ミオンたちがリゾートホテルに来たのは「自分たちが楽しむ」の他に、『ミラクル・トラベル・夢気分』という番組の撮影に協力する、という理由もあった。撮影されるのは少し恥ずかしいが……それを差し引いても素敵な時間を過ごせそうだと思ったのだ。それに、協力するのは『カップルで行くパシオン・シーの魅力』という特集だ。精霊に想いを寄せるミオンが、嬉しく思わないわけはなかった。
着替えを済ませた二人はカフェバーに足を踏み入れると、向かいあって席に着き、早速メニューに目を通し始めた。
「へぇ、酒もあるんだな」
「昼間からお酒?」
「リゾートだし良いだろ」
「良いけど……せっかくだし、私も頼もうかしら」
手際よく注文を済ませたアルヴィンに続こうと、ミオンはメニューをじっと眺める。
(名前だけじゃ分らないわ)
ピーチやオレンジとついているものはまだ想像しやすいのだけれど。もう少し説明があってもいいのに、なんて思いながら、ミオンは何を頼むべきか真剣にメニューとにらめっこしていた。
そんなミオンの心中を察してか、アルヴィンひょいとメニューを覗きこんできた。少し悩むそぶりを見せた後、すいと指を走らせる。
「コレとかコレが甘くていいんじゃないか?」
「これがおすすめ? じゃ、それをお願いするわ」
ファジーネーブルにピーチフィズ。どちらも女性に人気のカクテルだ。
ミオンはピーチフィズを頼むことに決め、注文を入れる。アルヴィンが勧めてくれたものだ、きっとおいしいだろう。
ほどなくして、注文したものが運ばれてきた。グラスに注がれたカクテルは透き通った桃色で、ミオンはほうと感嘆の息をついた。
「すごく綺麗ね」
「ああ。さすがだな」
ミオンは頬を緩めると、すっとグラスを掲げてみせた。
「乾杯しましょう」
ミオンに促され、アルヴィンも同じようにグラスを手にとる。
――乾杯。
キン、と硬質な、けれど涼やかな音が小さく響く。
「……あら?」
「どうした?」
「いえ、あそこに」
何かに気付いたらしいミオンの視線を追うと、何やら重たげな機材を抱えた人たちがいた。
「彼らが撮影クルーなのかしら?」
「そうだろうな」
ミオンは笑顔を浮かべると、クルーに向かってひらひらと手を振った。ミオンの気遣いに気付いたクルーは、嬉しそうに手を振り返す。
撮影に協力してくれそうだと敏感に察知したクルーは、ミオンとアルヴィン、二人が座る席へと近づいてきた。「絵になるお二人が協力してくれて本当にうれしく思います! 捨てる神あれば拾う神あり、ってやつですね」なんて前置きをすると、「こう、このイケメンさんの隣に立っていただいてもいいですかね? 肩に手を置いてもらったり、それっぽいポーズをしてもらえるともっと嬉しいのですが!」と注文を入れてきた。
「え。それってなんだか不自然じゃない?」
「お二人がやったら絵になるので問題なしです!」
本当に問題ないのだろうか。というか、なんだその理由。
つっこみたい気もしたが、断るのも申し訳ない。そう思ったミオンは、アルヴィンの隣に立つべく立ち上がる。
「きゃっ!?」
「おっと」
と、緊張も相まって足をひっかけたミオンは、バランスを崩し転びそうになってしまう。だが、そんな彼女をアルヴィンがとっさに支える。思わぬハプニングに目を白黒させるミオンは、クルーが嬉しそうにしていることに気が付かない。
「大丈夫か?」
にこっと、いつもの優しい笑顔とともに心配の声をかけられたミオンの頬は、みるみる赤く染まっていく。
「ごちそうさまでした! あとはお二人でごゆっくり……!」
そんな言葉を残し、クルーは驚きの早さで去っていった。
「びっくりしたわ」
席に戻ったミオンがぽむぽむと頬を叩いていると、「ふっ」と控えめな、けれど隠し切れない楽しさを含んだ笑い声が聞こえてきた。
「何よ」
むっと眉を寄せるミオンに、アルヴィンは「ごめん」と謝った。
「それにしても、あれで良かったのかしら。……でも、それっぽいポーズなんて言われてもできなかっただろうし……」
人の気持ちも知らないで。でも、アルヴィンに支えてもらえたのはうれしかったな……じゃなくて、そういう問題じゃなくて!
一人でころころと表情を変えるミオンを、アルヴィンは優しい眼差しで見つめていた。
「まあまあ。彼らのおかげでこんな場所に来れたんだから」
「……そうだけど」
ミオンはちらりとアルヴィンはうかがった。なんだか楽しそうだ。
「……何よ」
「別に、楽しいなって」
「……まさか酔ってるの?」
ミオンがそう問うと同時に、フルーツやチーズ、ハムといったつまみが届けられた。
……いつの間に頼んでいたのだろう。
「さ、つまみもきたし食おう」
ミオンは腑に落ちない顔をしながらも、それらをもぐもぐと頬張る。
「美味しいけど、ご飯も食べたくなったわ。何か頼む?」
「そうだな……このケーキがいい」
「ケーキ? 珍しいわね」
「誕生日だから」
にこっと、爽やかな笑顔とともに落とされた爆弾に、ミオンはぎょっと目をむいた。
「誕生日!? 言いなさいよっ!」
「わざわざ言う必要もないだろ?」
「え……だって、せっかくだしプレゼントとか」
わたわたと慌てるミオンに、アルヴィンは「そうだな」と口を開いた。
「飯を奢ってくれ。手作りでもいいよ。大抵一人だし、自分で作るのは飽きたんだ」
誰かと一緒の飯は美味い。そう続けたアルヴィンの瞳がひどく優し気で――気付けば、苛立ちにも似た感情を抱いていたミオンは、すっと心が落ち着くのがわかった。
「あ、そのくらいだったら何時でもいいわよ」
でも、それだけじゃ足りないと思うのだけれど。
眉尻を下げるミオンの前に、ずいとアルヴィンの小指が差し出される。
「じゃ、約束」
(指切り……子供みたい)
ミオンはたまらず「ふふっ」と笑い声をあげた。自分の小指を絡めながら、ミオンは言う。
「アルヴィン、何杯目? やっぱり酔ってるでしょ」
「うん、酔ってるかも」
さらりと肯定したアルヴィンは、「ミオンがいるから」と続けた。
「え?」
「言ったろ、『誰かと食べる飯は美味い』って」
それは、つまり。自分がいるから、食が進むということか。
(いや、でも。『誰かと』っていってるし、私じゃない、他の誰かと一緒に食べていても美味しいって感じる可能性は十分にあるし)
そう思う。けれど、彼の言葉は素直にうれしくて。
ミオンは心からの笑みを浮かべた。そして、誕生日を迎えたというアルヴィンに――大切な人に、そっと告げる。
「お誕生日、おめでとう」
「ありがとう」
そう言ったアルヴィンの頬がほんのり染まっていたのは――お酒のせいか、それとも。
窓から差し込む美しい光の中。二人はたしかな幸せを感じながら、笑いあうのだった。
依頼結果:大成功