(イラスト:岬ゆみのこ IL


アラノアの『ウィンクルムだらけのサマードリーム!』
蒼色クレヨン GM

プラン

アクションプラン

アラノア
(ガルヴァン・ヴァールンガルド)
9
キャンプを楽しみ
勇気を出してナイトクルーズに誘う

10
夜風と夜空
誰もいない空間
ずっと大事に守って来た気持ちを想う
言うなら、今しかない
ガルヴァンさん

話が、あるの

向かい合う
あ、ぁ……す…
声が詰まる
私…ぁ…あ、なた、が…

大きく息を吸う
あなたのことが…すき…です…っ
やっと言えた瞬間言葉が溢れる
す、すき…好き…!ずっとずっと前から、好きだったの!付き合って、下さい!

返事を待つも、反応がない

あ…あの…?
…っ?!

えっ…?
真剣な眼差し
言葉に一瞬思考停止
理解
あっ、ああ!うんっ待つよっいつまでもっ
それに元からそのつもりだったからっ

…な、なんか急に恥ずかしくなってきたな~
ちょっと風に当たってくるねっ
彼からも月光からも逃げるように物陰に
涙を拭う
…危なかった
うっかり目の前で泣くところだった
いきなりで困らせたかな…
ごめんなさい…
断られたら…諦められるようにしないと


おまたせ

うん…

…うん…綺麗、だね
輝きが少し切なく感じた

リザルトノベル

 高度を上げた太陽光を受けまばゆさ増した空と海。海水浴客の、賑やかな笑い声や水飛沫の音が響いてくるここはコテージ。
 ワイン色の髪を、一際暑くなった今日だけ緩く束ねたガルヴァン・ヴァールンガルドは、ビーチを微か一瞥する。
 その視線移動に、隣りで野菜を焼いていたアラノアが気付けば同じようにそちらを向いてから、もう一度ガルヴァンを見上げた。

「あ。えっと、ガルヴァンさん、海の方がよかった?」
「いいや」
「ほんと? 泳ぎたくなったら、言ってね。一応水着も持ってきt」
「アラノア、交代しよう。ゆっくり食べていろ」
「え、あ……ありがとう」

 躊躇いの無いストレートな言葉が今はいつも以上に、アラノアの言葉に被り気味に返答された。
 日頃のお互いを労い合うようにやってきた海。それはガルヴァンにとって、色々な意味で鬼門な場。
 すっかり気持ちを自覚している今、アラノアにあのような姿になられたらばどうなるか……否、それ以前に他の男たちの視界にも映るあのような場所に、彼女の肌を晒したくない。
 ―― ……我ながら、執着心が増したものだ。
 焼けた野菜や肉の乗ったお皿をガルヴァンから受け取って、照れたようにはにかんだ表情が浮かぶ。
 それを見れば、くすぶる感情はこっそりと沈ませて。
 彼女と出会っていなければ、己は今もデスクの上で石たちの輝かせ方をただ機械的に模索していたことだろう。
 炭火に上がる煙に隠れて、ガルヴァンは感慨にひたる。
 その端正な横顔をチラリと、見つめているアラノアの姿があった。
 
 腹ごしらえ後、他にも訪れていたウィンクルムたちを誘ってビーチバレーに精を出せば、日はあっという間に暮れ始めていた。
 夕食や買い物に繰り出す仲間たちを見送れば、さて我々はどうする? と視線で問うガルヴァンへ、
 一度深呼吸した後アラノアは口を開いた。

「ガルヴァンさんっ、ナイトクルーズ、一緒してくれません、か!?」
「……」
「あっ、その! 操舵手の人だけいて、……ガルヴァンさんと、2人で、乗りたい……な、って……」
「分かった」

 何やら緊張し過ぎて思わず敬語に戻ってしまったアラノアの言葉に、ついぞ追及するような視線で見つめ返すガルヴァン。
 改めて続いた真剣な言の葉を受け止めれば、そのガルヴァンも表情緩め快く了承の返事。
 どこか、日頃よりも積極的な声と顔色に疑問符浮かぶも、アラノアからの誘いを断る理由などありはしなかった。



 ―― ちょ……ちょっと強引、だったかな……。
 薄桃色の花びら刺繍入るパーカーを夜風になびかせて、アラノアは船首の手すりでやや反省のポーズ。
 実際にはガルヴァンは全く気にしていなかったが、常より控えめで自己評価の低いアラノアにとって、自身の意見を誰かに強く求めることは崖からダイブするような心地で。
 それでも、この人はちゃんと最後まで聞いてくれる、拒絶で遮ったりしないと、これまで培われた絆から信じられたから勇気をもって誘い出せた事も実感できた。
 想いを抱きしめるように、一度ぎゅっと両手を合わせ胸の前で握りしめた。

「美しいな……」

 遠くに見えるゴールドビーチの淡い街灯と、正面に広がる幾星霜の光映す海を交互に見つめ、
 感嘆の思いを呟くガルヴァンへとアラノアは振り向く。
 やっとここまで来れたのだ。言うなら、今しかない。 

「ガルヴァンさん」
「……ん?」
「話が、あるの」

 宝石の中に時折強く宿る輝きのようなものを目の前の瞳から捉えれば、ガルヴァンはその瞳に導かれるままに佇まいを正した。
 
「あ、ぁ……す……」

 大切に、大切に育んできた想いは、想像以上に重圧が掛かって声にならず息が混ざる。
 手のひらを喉にあて、浅く呼吸を繰り返す様はどこか具合が悪いのでは、とガルヴァンに錯覚すらさせて。

「どうした?」
「私……ぁ……あ、なた、が……」

 心配から思わず近寄ろうとする彼を、アラノアはもう片方の手で制した。そのままで、聞いて欲しいと。
 一際大きく息を吸い、お腹に、喉に、力を込めてとうとうアラノアは声を紡いだ。

「あなたのことが……すき……です……っ」

 ああ……やっと言えた……――
 育てた感情が一度口に出されれば、ため込んでいた分堰を切ってアラノアの口を動かす。

「す、すき……好き……! ずっとずっと前から、好きだったの! 付き合って、下さい!」
「……!!」

 ようやく言い切られた言葉と、勢いそのままに下げられた頭。
 琥珀が大きく見開かれた。
 ―― 今……アラノアは……なんと……?
 闇夜に浮かぶ彼女の姿と想いが、あまりに美しく、ガルヴァンの思考を停止させる。

「あ……あの……?」

 頭を下げたままで彼の表情など見えないアラノア。
 待てどもやってこない何かしらの返答に、困惑顔を浮かべ恐る恐る顔を上げた。
 不安そうな表情が垣間見えれば、闇夜に儚く消えそうで、ガルヴァンは答えるより先に体が動く。

「……っ?!」

 今度はアラノアが真紅の瞳を見開いた。
 一瞬映ったはずのガルヴァンの顔が今は見えない。代わりに、体全体が温もりに包まれていた。
 確かな体温と先ほどの彼女の強い想いが、ガルヴァンの胸の中に広がって波打つ。体の芯が震えるような感覚。
 ―― そうか……これが歓喜に打ち震えるという事か。
 愛しそうに、己より小柄な体を抱く腕に僅か力を込めてから。

「ありがとう……とても嬉しい。だが……」

 体を離し、ガルヴァンは腕の中で見上げてくるその瞳に告げた。

「返事は、待って欲しい」
「えっ……?」

 予想外な返答に反射的にアラノアから声が上がる。
 しかしその琥珀色が、真剣な思い込めた瞳だと分かれば、止まった思考を動かした。

「あっ、ああ! うんっ待つよっいつまでもっ。それに元からそのつもりだったからっ」
「そうか」

 安堵の色を見て取れば、アラノアは理解した。そしてこみ上げる。
 だから精一杯の笑顔を彼に向け、その腕から距離をとり身を翻した。

「聞いてくれて、ありがとう! ちょっと向こうの星、見てくるねっ」
「ああ」

 操舵席を挟んで船首とは反対側へ、アラノアは夜空を見上げた。その目に星は映らなかった。

「……危なかった」

 彼からも月光からも逃げるようにして動かしていた足を止めると、彼から見えないよう、クルーザーに積まれた荷物の影で俯く。
 ぽたり……。
 足元に雫が落ちる。
 ―― うっかり目の前で泣くところだった……。
 緊張の糸が切れた瞳からはすっかり輝きが消え、代わりに溢れ出た涙が頬をつたった。
 いきなりで困らせたかな……。
 性格的にどちらにしても具体的に答えてくれるかと、どこかで思っていたのだ。
 時間を乞うということは……。アラノアの中で、想いが悲しみの坂を転がり始めていた。
 ―― ごめんなさい……。 断られたら……諦められるようにしないと。
 これ以上困らせたくはない。 アラノアは、両目の涙を思い切り拭った。

 ―― 好き……そうか、好き、か……。
 アラノアの背中を見送り、上を見上げると半月が優しい光を纏って、どうしても緩んでしまうガルヴァンの顔を照らし出していた。
 これでは格好がつかないな……挙句、先を越されてしまったか……。
 表情を引き締めると同時に、自身に向けた溜息を漏らす。
 告白は男からするものだと父は言っていた。だからこそ、己が後悔しないよう念入りに準備を進めていたのだ。
 よもやこのような展開は予想出来ずに。故に、考えるより先に口をついてしまっていた。『待ってほしい』と。
 ―― 仕事だけでなく、こちら方面もまだまだ半人前だな……。
 情けなさそうに肩をすくめる。
 デザイン画は出来た。材料も揃えた。……後はこれを実現できる実力のみ……。
 ヒントは彼女自身が与えてくれた。
 『想いを込める』のだと。
 技術ばかりを追ってしまう自分へ、彼女はいつも新しい視点をくれる。本人に自覚が無いのがたまに困りものだが。
 ガルヴァンは手首に付いたミサンガを見つめ、目を細めた。どうしても傷むのを気にして、こういう特別な出かけ先にしかしてこない、彼女の想いの欠片ともいえる大事な物。
 苦笑いを浮かべていたところへ、声がかけられた。

「おまたせ」
「もういいのか?」
「うん……」

 涙色を上手に隠した瞳をガルヴァンに向けたアラノアが、隣へとやってくる。
 そここそが彼女の居場所。そして自分の居場所。
 確かめるように、それが当たり前のように、ガルヴァンはアラノアの肩を引き寄せた。

「今夜の月は綺麗だな……」
「……うん……綺麗、だね」

 琥珀の瞳に、全ての景色が今までで何よりも煌めいて見えた。
 朱殷の瞳に、月が、星が、彼すらが、輝くその姿が少し切なく映し出された。
 寄り添う二つの影を、半月は変わらず照らす。
 半分満ちた想い。もう半分が満ちるには、まだ刻が必要で。
 満月の下で、ずっと月は綺麗だと返されるのは、あと少しの未来かもしれない ――




依頼結果:大成功

エピソード情報
リザルト筆記GM 蒼色クレヨン GM 参加者一覧
プロローグ筆記GM なし
神人:アラノア
精霊:ガルヴァン・ヴァールンガルド
エピソードの種類 ハピネスエピソード
対象神人 個別
ジャンル イベント
タイプ イベント
難易度 特殊
報酬 特殊
出発日 2017年5月13日

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