プラン
アクションプラン
天原 秋乃 (イチカ・ククル) |
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スポット2 イチカを誘ってホワイト・ヒルへ イチカを誘った理由なんて聞かれてもよくわからん。 「……どうせ一人だし、あんたも一人だろ。だったら、一緒に過ごそうかなって思っただけ……」 言いつつ恥ずかしくなってきた。「今のなし」 笑うイチカを睨む。 くそ、自分の顔が赤い気がする。最近こんなのばっかりだ……何かがおかしい。 と、とりあえず特産品の料理とかあるらしいし、それ食べに行こう! 平静を装いつつ先に進む。 美味しい料理に舌鼓。 「あーん」ってお前……するのもされるのも好きだよな。 最後に、イチカとイルミネーションを眺める。 「イルミネーション綺麗だな」 なんて言いつつイチカをみる。 イチカは綺麗なもの見るとき、どこか遠くをみる。 向きあったイチカは、俺じゃない誰かをみている。 「俺をみろよっ!!」 たまらず顔を近づけて叫んだ。 誤魔化されたうえにキスされた。 心臓が痛い。顔が熱い。 気づいてしまった。……俺はイチカが好きだ。 |
リザルトノベル
「秋乃に誘ってもらえるなんて嬉しいなあ」
冬の寒さなどなんのその。にこにこと笑顔で言うのは『イチカ・ククル』で、その横の『天原 秋乃』は笑顔、とは言えない。けれど別に不機嫌というわけでもない。言ってしまえば平常心をそのまま形にしたような表情だ。
「でもどうして誘ってくれたんだろ?」
何で? と笑顔で秋乃を覗き込んでくる。その覗き込みにちょっと仰け反りながら顔を逸らす。
何故イチカを誘ったか。その理由なんて、聞かれたところで秋乃自身にもよくわからなかった。それでもイチカの笑顔は目の前から消えない。だから秋乃は諦めたように、よくわからないまま思いつく事を口にする。
「……どうせ一人だし、あんたも一人だろ。だったら、一緒に過ごそうかなって思っただけ……」
声は、そのまま途切れた。何だか言っていて恥ずかしくなってきたのだ。
「ふーん、へぇ~」
「今のなし」
取り消しの言葉を口にしてももう遅い。イチカはニヤニヤと笑いながら秋乃を見る。
「あきのんってば、そんなに僕と過ごしたかったの?」
そしてそのままからかってくるイチカを秋乃は睨みつける。けれどその睨みも頬を赤くさせていては怖さも半減だ。
(くそ、自分の顔が赤い気がする。最近こんなのばっかりだ……何かがおかしい)
もっと自然に接することが出来た筈だ。「あきのん言うな」と突き放したり、今までの自分だったらそれが出来た筈だ。こんな、自分の心臓にも体温にも負担をかけることは無かった筈だ。
それなのに、一体、どうしてこんな事に。
「と、とりあえず特産品の料理とかあるらしいし、それ食べに行こう!」
胸に湧いた疑問を一旦横に置くように短く頭を振ると、秋乃は平静を装いつつ先に進み始めた。ずんずん進むその背中を笑顔で眺めながら、イチカは「転ばないように気をつけてね」と冗談混じりで声をかける。それは無視した。
二人が辿り着いたのは、さまざまな色彩を持つイルミネーションでライトアップされた『ホワイト・ヒル』の中心街に位置する大通りの公園。そこもまたイルミネーションが設営され、この地の特産品料理の屋台が立ち並んでいた。
「これもまた……!」
「おいしーい!」
秋乃もイチカも、先ほどまでのやり取りを忘れて美味しい料理に舌鼓を打っている。カレー風味の腸詰め肉に、子供でも飲める果物が沢山入ったホットワイン、ドライフルーツが大量に練りこまれた甘いパンに、香ばしく焼き上げられたターキー。
「あ、これおいしいよ。秋乃、あーん」
「『あーん』ってお前……」
笑顔でスパイスの効いたクッキーをさし出すイチカに、秋乃は呆れ顔というか若干顔を引き攣らせる。
思えば一緒に出かけて何かを食べる時、何度も「食べさせて」と強請ってきた。今は「食べて」と強請ってくる。
それが意味することなど簡単だ。まぁ単純にイチカがそういうことが好きなのと、からかい。
何せここは公園。イルミネーションで飾られ、特産品料理が振舞われている公園なのだ。つまり、遊びに来ている人間が沢山いるのだ。
有体に言えば恥ずかしい。あつあつのたこ焼きを放り入れるのとはワケが違う。
だから別に無視してもいいのだけれど。イチカへの接し方が上手くいかない今、「馬鹿言うな」で切り捨ててもいいのだけれど。
サクリ。
秋乃はイチカの差し出したクッキーを一口齧る。サクサクごくり。いい歯ごたえに甘すぎない多少癖のある味。
「……するのもされるのも好きだよな」
うん、美味しい。そう言って秋乃はイチカから目を逸らし、次の食べ物へと目を向ける。その耳は赤い。
ああ、やっぱり何かがおかしい。そんな自覚はあっても、もうやってしまった。
やってしまえば、何だ何か文句あるか?! とばかりに、何処か開き直った感覚があった。
「……! あきのんあきのん、もう一口いっとく?!」
「もう何回言ったかわからないけど、あきのん言うな!」
一歩踏み出して開き直ってしまえば、ようやくいつもの自分が戻ってきた。
調子に乗るイチカに噛み付く秋乃。
それは今まで通りの光景で、けれど何処か、今までとはもう違う光景だった。
一通り食べたいものを食べ終えた二人は、改めてイルミネーションを眺める。
広い公園内では、場所によってイルミネーションの色が違う。青く飾られた区画もあれば、白く輝く区画もある。
二人が足を止めて眺めていたのは、緑色に彩られた区画だった。
その輝く緑は、秋乃の瞳の色によく似ていた。
「イルミネーション綺麗だな」
「改めてじっくり見ると綺麗だねぇ」
ただ見たままの感想を、何も深く考えずに口にする。口にしながら、秋乃はイチカの横顔をそっと覗き見る。
その視線の先にあるのは、自分が見ているものと同じ緑のイルミネーション。その筈なのに。
(……イチカは綺麗なもの見るとき、どこか遠くをみる)
ここではない何かを見ている。何かを想っている。それがわかった。
「……綺麗なものってさ、怖いんだよね。いつか僕の前からいなくなっちゃう気がして」
は、と白い息を吐きながら言って、イチカは秋乃に顔をむける。
向き合ったイチカの視線の先にあるのは、パートナーである秋乃。その筈なのに。
俺じゃない誰かをみている。それがわかった。
わかってしまった。
ここを見ていない。俺を見ていない。
イチカが見ているのは、きっと……。
秋乃の中で、何かが抑えられなくなって一歩踏み込んだ。
「俺をみろよっ!!」
顔を近づけ、叫ぶ。
その叫びにイチカははっと我にかえる。我にかえって、ちゃんと秋乃を見ながらからりと笑う。
「あはは、ごめんね。僕、ボーッとしてたみたい」
秋乃の真剣な叫びなど無かったように、からかうように軽く言って、そして「じゃあお詫び」と笑いながら秋乃のおでこにキスを落とす。
「あきのんが顔近づけるのがいけないんだよ~」
ニヤニヤ笑うイチカは、からかってますよ、と主張していた。
このキスに、何も深い意味はないのだと、そう言っているようだった。
真実はわからない。けれど秋乃にはそう感じ取れた。
訴えは誤魔化された。叫びはからかいのキスで消された。
心臓が痛い。顔が熱い。
苦しさと嬉しさが入り混じって何も言えなくなる。
何かがおかしい。その原因がわかってしまった。
気づいてしまった。
(……俺はイチカが好きだ)
顔を赤くし、口をきゅっと一文字に結んで視線を落とす秋乃を、イチカはじっと見ていた。
緑の綺麗な瞳は隠されてしまった。
『彼女』によく似た瞳の色。
目の前にいるのが彼女だったら……。そう思って見ていたら「俺を見ろ」と叫ばれてしまった。
誤魔化して、けれど誤魔化し切れなくて。
そしてその誤魔化しを受けて顔を赤くする秋乃を見て、何となくわかってしまった。
秋乃が、誰に、どんな想いを向けているかを。
(……こんな僕を好きになるなんて、かわいそうな秋乃)
かわいそうな秋乃。
イチカはそう思うけれど、それを口にすることは無かった。
輝く緑色に囲まれながら、見えなくなってしまった緑色を想っていた。
二人が見ているイルミネーションは『クリアライト・アイス』と呼ばれている。
ここのイルミネーションを見た恋人は、お互いに心の内を吐露しやすくなり、より深い関係となるための、試練のようなものが起こるといわれていた。
しかし、より深い関係となれず悪化し破局となった恋人達が多いとも言われている。
二人は恋人ではない。このジンクスとは関わりない筈だ。
ならば今の状況は?
心の内を吐露し自分の感情を自覚した秋乃と、隠し切れなかったものを誤魔化したイチカ。
これからの、二人の関係は?
冬の寒さなどなんのその。にこにこと笑顔で言うのは『イチカ・ククル』で、その横の『天原 秋乃』は笑顔、とは言えない。けれど別に不機嫌というわけでもない。言ってしまえば平常心をそのまま形にしたような表情だ。
「でもどうして誘ってくれたんだろ?」
何で? と笑顔で秋乃を覗き込んでくる。その覗き込みにちょっと仰け反りながら顔を逸らす。
何故イチカを誘ったか。その理由なんて、聞かれたところで秋乃自身にもよくわからなかった。それでもイチカの笑顔は目の前から消えない。だから秋乃は諦めたように、よくわからないまま思いつく事を口にする。
「……どうせ一人だし、あんたも一人だろ。だったら、一緒に過ごそうかなって思っただけ……」
声は、そのまま途切れた。何だか言っていて恥ずかしくなってきたのだ。
「ふーん、へぇ~」
「今のなし」
取り消しの言葉を口にしてももう遅い。イチカはニヤニヤと笑いながら秋乃を見る。
「あきのんってば、そんなに僕と過ごしたかったの?」
そしてそのままからかってくるイチカを秋乃は睨みつける。けれどその睨みも頬を赤くさせていては怖さも半減だ。
(くそ、自分の顔が赤い気がする。最近こんなのばっかりだ……何かがおかしい)
もっと自然に接することが出来た筈だ。「あきのん言うな」と突き放したり、今までの自分だったらそれが出来た筈だ。こんな、自分の心臓にも体温にも負担をかけることは無かった筈だ。
それなのに、一体、どうしてこんな事に。
「と、とりあえず特産品の料理とかあるらしいし、それ食べに行こう!」
胸に湧いた疑問を一旦横に置くように短く頭を振ると、秋乃は平静を装いつつ先に進み始めた。ずんずん進むその背中を笑顔で眺めながら、イチカは「転ばないように気をつけてね」と冗談混じりで声をかける。それは無視した。
二人が辿り着いたのは、さまざまな色彩を持つイルミネーションでライトアップされた『ホワイト・ヒル』の中心街に位置する大通りの公園。そこもまたイルミネーションが設営され、この地の特産品料理の屋台が立ち並んでいた。
「これもまた……!」
「おいしーい!」
秋乃もイチカも、先ほどまでのやり取りを忘れて美味しい料理に舌鼓を打っている。カレー風味の腸詰め肉に、子供でも飲める果物が沢山入ったホットワイン、ドライフルーツが大量に練りこまれた甘いパンに、香ばしく焼き上げられたターキー。
「あ、これおいしいよ。秋乃、あーん」
「『あーん』ってお前……」
笑顔でスパイスの効いたクッキーをさし出すイチカに、秋乃は呆れ顔というか若干顔を引き攣らせる。
思えば一緒に出かけて何かを食べる時、何度も「食べさせて」と強請ってきた。今は「食べて」と強請ってくる。
それが意味することなど簡単だ。まぁ単純にイチカがそういうことが好きなのと、からかい。
何せここは公園。イルミネーションで飾られ、特産品料理が振舞われている公園なのだ。つまり、遊びに来ている人間が沢山いるのだ。
有体に言えば恥ずかしい。あつあつのたこ焼きを放り入れるのとはワケが違う。
だから別に無視してもいいのだけれど。イチカへの接し方が上手くいかない今、「馬鹿言うな」で切り捨ててもいいのだけれど。
サクリ。
秋乃はイチカの差し出したクッキーを一口齧る。サクサクごくり。いい歯ごたえに甘すぎない多少癖のある味。
「……するのもされるのも好きだよな」
うん、美味しい。そう言って秋乃はイチカから目を逸らし、次の食べ物へと目を向ける。その耳は赤い。
ああ、やっぱり何かがおかしい。そんな自覚はあっても、もうやってしまった。
やってしまえば、何だ何か文句あるか?! とばかりに、何処か開き直った感覚があった。
「……! あきのんあきのん、もう一口いっとく?!」
「もう何回言ったかわからないけど、あきのん言うな!」
一歩踏み出して開き直ってしまえば、ようやくいつもの自分が戻ってきた。
調子に乗るイチカに噛み付く秋乃。
それは今まで通りの光景で、けれど何処か、今までとはもう違う光景だった。
一通り食べたいものを食べ終えた二人は、改めてイルミネーションを眺める。
広い公園内では、場所によってイルミネーションの色が違う。青く飾られた区画もあれば、白く輝く区画もある。
二人が足を止めて眺めていたのは、緑色に彩られた区画だった。
その輝く緑は、秋乃の瞳の色によく似ていた。
「イルミネーション綺麗だな」
「改めてじっくり見ると綺麗だねぇ」
ただ見たままの感想を、何も深く考えずに口にする。口にしながら、秋乃はイチカの横顔をそっと覗き見る。
その視線の先にあるのは、自分が見ているものと同じ緑のイルミネーション。その筈なのに。
(……イチカは綺麗なもの見るとき、どこか遠くをみる)
ここではない何かを見ている。何かを想っている。それがわかった。
「……綺麗なものってさ、怖いんだよね。いつか僕の前からいなくなっちゃう気がして」
は、と白い息を吐きながら言って、イチカは秋乃に顔をむける。
向き合ったイチカの視線の先にあるのは、パートナーである秋乃。その筈なのに。
俺じゃない誰かをみている。それがわかった。
わかってしまった。
ここを見ていない。俺を見ていない。
イチカが見ているのは、きっと……。
秋乃の中で、何かが抑えられなくなって一歩踏み込んだ。
「俺をみろよっ!!」
顔を近づけ、叫ぶ。
その叫びにイチカははっと我にかえる。我にかえって、ちゃんと秋乃を見ながらからりと笑う。
「あはは、ごめんね。僕、ボーッとしてたみたい」
秋乃の真剣な叫びなど無かったように、からかうように軽く言って、そして「じゃあお詫び」と笑いながら秋乃のおでこにキスを落とす。
「あきのんが顔近づけるのがいけないんだよ~」
ニヤニヤ笑うイチカは、からかってますよ、と主張していた。
このキスに、何も深い意味はないのだと、そう言っているようだった。
真実はわからない。けれど秋乃にはそう感じ取れた。
訴えは誤魔化された。叫びはからかいのキスで消された。
心臓が痛い。顔が熱い。
苦しさと嬉しさが入り混じって何も言えなくなる。
何かがおかしい。その原因がわかってしまった。
気づいてしまった。
(……俺はイチカが好きだ)
顔を赤くし、口をきゅっと一文字に結んで視線を落とす秋乃を、イチカはじっと見ていた。
緑の綺麗な瞳は隠されてしまった。
『彼女』によく似た瞳の色。
目の前にいるのが彼女だったら……。そう思って見ていたら「俺を見ろ」と叫ばれてしまった。
誤魔化して、けれど誤魔化し切れなくて。
そしてその誤魔化しを受けて顔を赤くする秋乃を見て、何となくわかってしまった。
秋乃が、誰に、どんな想いを向けているかを。
(……こんな僕を好きになるなんて、かわいそうな秋乃)
かわいそうな秋乃。
イチカはそう思うけれど、それを口にすることは無かった。
輝く緑色に囲まれながら、見えなくなってしまった緑色を想っていた。
二人が見ているイルミネーションは『クリアライト・アイス』と呼ばれている。
ここのイルミネーションを見た恋人は、お互いに心の内を吐露しやすくなり、より深い関係となるための、試練のようなものが起こるといわれていた。
しかし、より深い関係となれず悪化し破局となった恋人達が多いとも言われている。
二人は恋人ではない。このジンクスとは関わりない筈だ。
ならば今の状況は?
心の内を吐露し自分の感情を自覚した秋乃と、隠し切れなかったものを誤魔化したイチカ。
これからの、二人の関係は?
依頼結果:大成功
エピソード情報 | ||||||
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リザルト筆記GM | 青ネコ GM | 参加者一覧 | ||||
プロローグ筆記GM | なし |
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エピソードの種類 | ハピネスエピソード | ||
対象神人 | 個別 | |||||
ジャンル | イベント | |||||
タイプ | イベント | |||||
難易度 | 特殊 | |||||
報酬 | 特殊 | |||||
出発日 | 2016年12月18日 |