プラン
アクションプラン
夢路 希望 (スノー・ラビット) |
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※1 目の前に広がる幻想的な光景を見つめ息を吐く 「…綺麗…」 同時に視線を感じてチラリ窺うと目が合い、もじもじ 誘われた理由に頬染め目を伏せる 考えるのは大教会での願い事とこれからの事 (叶えたい…けど…) 足を止め 繋いでいた手をそっと離す 前に、スノーくんの夢を教えてもらいましたよね(依頼95 あんな風に毎日を一緒に過ごせたら…きっと楽しいだろうなって思うんです でも…私、スノーくんが夢に見てくれたような女性じゃなくて 早起きは苦手だし、お料理は好きだけど手際が悪いし… 最近やっと少しだけできるようになったけど、まだ、全然駄目で きっといっぱい迷惑をかけるから…(人差し指に塞がれ …っ 嫌われると思ったのに …一緒、なら…もっと頑張れそうです 向き合うと深々と頭を下げ 「よろしく、お願いします」 抱き上げられたらびっくり 重いから下してほしいけど大好きな笑顔を見ると何も言えなくて つられて微笑みを返す …ありがとう |
リザルトノベル
●2人、霧氷の花の下
「ノゾミさん。手、繋ごう?」
鮮やかな赤の双眸を和らげてスノー・ラビットが強請るように手を差し出せば、はい、と応じて、おずおずと差し出される夢路 希望の手。指と指とが絡まれば、幸せ色の恋人繋ぎ。
「ふふ、こうしてるとあったかいね」
「は、はい。……本当に、すごく」
繋いだ手に互いの温度を感じながら、2人は、幻想的にライトアップされたスノーウッドの森を行く。希望の歩調に合わせて、ゆっくりとした足取りで。眼前を彩る光景に、ほう、と希望が感嘆の息を吐いた。冷えた空気を淡く揺らす、白い息。
「……綺麗……」
思わず喉が震えた、という調子の呟きに、スノーは、雪の如くに白い兎の耳をぴくりとさせる。
(この時期だけの景色は、勿論綺麗だけど……)
その只中に立っていてなお、スノーを惹き付けて止まないものがあった。希望だ。木々に咲いた純白の霧氷の花が、イルミネーションの灯りに照らされて踊るように色を変えている。焦げ茶めいた瞳にそんなひと時の芸術を映し、霧氷の舞いに見惚れる希望の横顔の、なんて美しいことだろう。
(ドキドキしちゃう……そんな顔反則だよ、ノゾミさん)
そんなことを考えていたら、ふと、チラリとスノーへと向けられる黒茶の眼差し。視線を感じた気がして、ちょっと様子を窺ったつもり、だったのに。視線と視線が、誤魔化しようもなく絡み合ってしまった。面映ゆさにもじもじとする希望を前に、気付かれちゃった、とスノーも目元を柔らかくして悪戯っぽく照れ笑い。そんな一幕を機に、前を向いて再びゆるりと歩を進めながら、スノーはごく静かにこう切り出した。
「ここのイルミネーションを見た恋人はね、その後も末永く付き合いが続くっていわれているんだって」
それは、『スターライト・スノウ』に纏わる、愛を祝福するようなあたたかな言い伝え。緩やかに流れる歌の如くに、或いはそっと寄せる波の如くに。しっとりと紡ぎ上げられる耳心地の良い声に、希望は黙って耳を傾ける。
「だから、一緒に見に来たかったんだ」
向けられる笑顔、手渡された言葉、この場所へと誘われた理由……それらはどれも、あまりに真っ直ぐで。希望は頬を薔薇色に染めて、その眼差しを伏せた。願いを込めて、共に『セイント・チャペル』を鳴らした時のことが、脳裏に鮮やかに浮かぶ。凍える身体をあたためてくれた、スノーの温度。辺りに響き渡った澄み切った音色。そして――2人で声を重ねた、あの願い事。
(『ずっと一緒にいられますように』って。叶えたい……けど……)
願いを思い、『これから』を思う。気付けば、希望は足を止めていた。霧氷とイルミネーションが織り成す幻想の中、希望の方からそっと離される、繋いだ手の温もり。不意に立ち止まってしまった希望の様子に、スノーは軽く首を傾けた。自分を見つめる希望の真剣な表情に、少しばかりの緊張を胸の底に湛えながら。
●あなたとなら、
「……前に、スノーくんの夢を教えてもらいましたよね」
最初に紡がれたのは、問い掛けにも似たそんな言葉。間違いないと口にする代わりに、スノーは頷くことで応じた。2人で観た、あの不思議な短編映画。スクリーンの中には、スノーが思い描く幸福な未来、希望と共に歩んでいくという夢が確かに映っていた。
「あんな風に毎日を一緒に過ごせたら……きっと楽しいだろうなって思うんです」
朝が始まる時も夜が終わる時も、変わらず、いつも隣に。目覚めから眠りに誘われるまでを共に過ごす、穏やかな日常を希望も想う。あの日観た光景を思い浮かべて少しだけ微笑み、けれどすぐにまた表情を固くして、希望は下を向いた。どこまでも真摯に希望と向き合いながらも、スノーは内心に首を傾げる。
(……悪い返事じゃないみたいだけど……)
楽しいだろうな、と語った希望の言葉に嘘があるとはとても思えない。なのに、彼女の声は、ともすれば今にも泣き出してしまいそうに、暗く沈んで震えているのだ。その乖離を不思議に、そして心底から心配に思うスノーの前で、希望はか細い声で「でも」と言った。
「……私、スノーくんが夢に見てくれたような女性じゃなくて」
くしゃり、自身の服の裾を握る希望。その手もまた、声と同様に震えを帯びている。
「早起きは苦手だし、お料理は好きだけど手際が悪いし……」
スクリーンに映る希望は、一言で言えば『完璧』だった。スノーが起き出すよりも早くに朝食の用意を終え、彼を優しく夢の中から朝の世界へと連れ帰る。そんな、彼の夢の中に生きる自分と、今ここにいる本当の自分。二者の間の深い溝を思うと、気が遠くなりそうなほどだ。だから、『本当の私』のことを話していると、胸が苦しくなってきてしまう。
(スノーくん、今、どんな顔をしてるんだろう……)
そう思うも、どうしても顔は上げられなくて。けれど希望は、自分を叱咤して言葉を続けた。
「最近、やっと少しだけできるようになったけど、まだ、全然駄目で……」
イルミネーションの光を反射する足元の雪が、視界の中、じわりと滲む。
「だから、だから私、きっといっぱい迷惑をかけるから……」
希望の唇が、その先を紡ぐことは叶わなかった。涙が声を詰まらせたから、ではない。スノーの人差し指が、優しく、けれど確かな強さを秘めて希望の唇へと当てられたから。希望の言葉を遮り、その口を塞ぐ白い指。遂に顔を上げて目をぱちぱちとさせる希望へと、スノーは、少し眉は下げながらも、にっこりとして微笑んでみせた。
「僕の大切な人のことを、あまり悪く言わないでほしいな」
「っ……。……嫌われると、思ったのに……」
希望の言葉に、スノーはゆっくりと首を横に振る。それは違うと、彼女の心に言い聞かせるように。想いが、きちりと伝わることを願いながら。
「頑張ってくれていたこと、ちゃんと知ってるよ。契約してからずっと見てきたから」
「スノーくん……」
「……これからは、一緒に頑張らせてくれないかな。お掃除もお料理も」
それから、と、スノーは自分の服を摘まんで、確かめるようにくるりと回った。そして、茶目っ気混じりに笑って言うことには。
「おしゃれも、ね。僕も、ノゾミさんにずっとかっこいいって言ってもらえるように、お勉強するよ」
ね? と柔らかく笑み掛けられて、希望の顔から、やっと強張りが消えていく。ほっと息を吐いた希望のその目元が、口元が、幾らか和らいだ。
「……一緒、なら……もっと頑張れそうです」
改めて愛しい人へと向き直り、希望は、深々と頭を下げる。
「よろしく、お願いします」
心の芯から零した言葉は、孕む柔らかな声音とは裏腹にいっそ力強く、口にした希望自身と、そして向き合うスノーの胸へと響く。暫くして希望が顔を上げれば――そこには、森を彩る目が眩むほどの煌めきよりも眩しい、ぱあっと明るいスノーの笑顔があった。
「その言葉が、最高のクリスマスプレゼントだよ」
どうしようもなく弾む声音で言って、スノーは嬉しさのあまり、そのまま希望の身体を抱き上げる。
「きゃ……!」
突然のことに、希望は目を丸くして、小さく叫んだ。愛しい人に突然こんなふうにされるだなんて、慌てずにはいられない。
(お、重いから、恥ずかしい……! 下ろしてほしい、けど……)
頬が火照るのを感じながら、希望はスノーの顔を見た。こちらに向けられた満面の笑み、大好きな彼の笑顔に敵うはずがない、そんな顔をされたら何も言えない。けれど、一つだけ、今こそ絶対に彼に伝えたい言葉があった。もう、今はスノーに釣られてしまって微笑みを返しながら、希望はぽつりと口を開く。唇が、確かに音を紡いだ。
「……ありがとう」
「僕の方こそ、ありがとう」
くしゃり、希望だけの王子様は、あどけない子供のような顔で笑った。2人のことを見守るように、霧氷の花は、ちらちらと静かに瞬き続けている。
「ノゾミさん。手、繋ごう?」
鮮やかな赤の双眸を和らげてスノー・ラビットが強請るように手を差し出せば、はい、と応じて、おずおずと差し出される夢路 希望の手。指と指とが絡まれば、幸せ色の恋人繋ぎ。
「ふふ、こうしてるとあったかいね」
「は、はい。……本当に、すごく」
繋いだ手に互いの温度を感じながら、2人は、幻想的にライトアップされたスノーウッドの森を行く。希望の歩調に合わせて、ゆっくりとした足取りで。眼前を彩る光景に、ほう、と希望が感嘆の息を吐いた。冷えた空気を淡く揺らす、白い息。
「……綺麗……」
思わず喉が震えた、という調子の呟きに、スノーは、雪の如くに白い兎の耳をぴくりとさせる。
(この時期だけの景色は、勿論綺麗だけど……)
その只中に立っていてなお、スノーを惹き付けて止まないものがあった。希望だ。木々に咲いた純白の霧氷の花が、イルミネーションの灯りに照らされて踊るように色を変えている。焦げ茶めいた瞳にそんなひと時の芸術を映し、霧氷の舞いに見惚れる希望の横顔の、なんて美しいことだろう。
(ドキドキしちゃう……そんな顔反則だよ、ノゾミさん)
そんなことを考えていたら、ふと、チラリとスノーへと向けられる黒茶の眼差し。視線を感じた気がして、ちょっと様子を窺ったつもり、だったのに。視線と視線が、誤魔化しようもなく絡み合ってしまった。面映ゆさにもじもじとする希望を前に、気付かれちゃった、とスノーも目元を柔らかくして悪戯っぽく照れ笑い。そんな一幕を機に、前を向いて再びゆるりと歩を進めながら、スノーはごく静かにこう切り出した。
「ここのイルミネーションを見た恋人はね、その後も末永く付き合いが続くっていわれているんだって」
それは、『スターライト・スノウ』に纏わる、愛を祝福するようなあたたかな言い伝え。緩やかに流れる歌の如くに、或いはそっと寄せる波の如くに。しっとりと紡ぎ上げられる耳心地の良い声に、希望は黙って耳を傾ける。
「だから、一緒に見に来たかったんだ」
向けられる笑顔、手渡された言葉、この場所へと誘われた理由……それらはどれも、あまりに真っ直ぐで。希望は頬を薔薇色に染めて、その眼差しを伏せた。願いを込めて、共に『セイント・チャペル』を鳴らした時のことが、脳裏に鮮やかに浮かぶ。凍える身体をあたためてくれた、スノーの温度。辺りに響き渡った澄み切った音色。そして――2人で声を重ねた、あの願い事。
(『ずっと一緒にいられますように』って。叶えたい……けど……)
願いを思い、『これから』を思う。気付けば、希望は足を止めていた。霧氷とイルミネーションが織り成す幻想の中、希望の方からそっと離される、繋いだ手の温もり。不意に立ち止まってしまった希望の様子に、スノーは軽く首を傾けた。自分を見つめる希望の真剣な表情に、少しばかりの緊張を胸の底に湛えながら。
●あなたとなら、
「……前に、スノーくんの夢を教えてもらいましたよね」
最初に紡がれたのは、問い掛けにも似たそんな言葉。間違いないと口にする代わりに、スノーは頷くことで応じた。2人で観た、あの不思議な短編映画。スクリーンの中には、スノーが思い描く幸福な未来、希望と共に歩んでいくという夢が確かに映っていた。
「あんな風に毎日を一緒に過ごせたら……きっと楽しいだろうなって思うんです」
朝が始まる時も夜が終わる時も、変わらず、いつも隣に。目覚めから眠りに誘われるまでを共に過ごす、穏やかな日常を希望も想う。あの日観た光景を思い浮かべて少しだけ微笑み、けれどすぐにまた表情を固くして、希望は下を向いた。どこまでも真摯に希望と向き合いながらも、スノーは内心に首を傾げる。
(……悪い返事じゃないみたいだけど……)
楽しいだろうな、と語った希望の言葉に嘘があるとはとても思えない。なのに、彼女の声は、ともすれば今にも泣き出してしまいそうに、暗く沈んで震えているのだ。その乖離を不思議に、そして心底から心配に思うスノーの前で、希望はか細い声で「でも」と言った。
「……私、スノーくんが夢に見てくれたような女性じゃなくて」
くしゃり、自身の服の裾を握る希望。その手もまた、声と同様に震えを帯びている。
「早起きは苦手だし、お料理は好きだけど手際が悪いし……」
スクリーンに映る希望は、一言で言えば『完璧』だった。スノーが起き出すよりも早くに朝食の用意を終え、彼を優しく夢の中から朝の世界へと連れ帰る。そんな、彼の夢の中に生きる自分と、今ここにいる本当の自分。二者の間の深い溝を思うと、気が遠くなりそうなほどだ。だから、『本当の私』のことを話していると、胸が苦しくなってきてしまう。
(スノーくん、今、どんな顔をしてるんだろう……)
そう思うも、どうしても顔は上げられなくて。けれど希望は、自分を叱咤して言葉を続けた。
「最近、やっと少しだけできるようになったけど、まだ、全然駄目で……」
イルミネーションの光を反射する足元の雪が、視界の中、じわりと滲む。
「だから、だから私、きっといっぱい迷惑をかけるから……」
希望の唇が、その先を紡ぐことは叶わなかった。涙が声を詰まらせたから、ではない。スノーの人差し指が、優しく、けれど確かな強さを秘めて希望の唇へと当てられたから。希望の言葉を遮り、その口を塞ぐ白い指。遂に顔を上げて目をぱちぱちとさせる希望へと、スノーは、少し眉は下げながらも、にっこりとして微笑んでみせた。
「僕の大切な人のことを、あまり悪く言わないでほしいな」
「っ……。……嫌われると、思ったのに……」
希望の言葉に、スノーはゆっくりと首を横に振る。それは違うと、彼女の心に言い聞かせるように。想いが、きちりと伝わることを願いながら。
「頑張ってくれていたこと、ちゃんと知ってるよ。契約してからずっと見てきたから」
「スノーくん……」
「……これからは、一緒に頑張らせてくれないかな。お掃除もお料理も」
それから、と、スノーは自分の服を摘まんで、確かめるようにくるりと回った。そして、茶目っ気混じりに笑って言うことには。
「おしゃれも、ね。僕も、ノゾミさんにずっとかっこいいって言ってもらえるように、お勉強するよ」
ね? と柔らかく笑み掛けられて、希望の顔から、やっと強張りが消えていく。ほっと息を吐いた希望のその目元が、口元が、幾らか和らいだ。
「……一緒、なら……もっと頑張れそうです」
改めて愛しい人へと向き直り、希望は、深々と頭を下げる。
「よろしく、お願いします」
心の芯から零した言葉は、孕む柔らかな声音とは裏腹にいっそ力強く、口にした希望自身と、そして向き合うスノーの胸へと響く。暫くして希望が顔を上げれば――そこには、森を彩る目が眩むほどの煌めきよりも眩しい、ぱあっと明るいスノーの笑顔があった。
「その言葉が、最高のクリスマスプレゼントだよ」
どうしようもなく弾む声音で言って、スノーは嬉しさのあまり、そのまま希望の身体を抱き上げる。
「きゃ……!」
突然のことに、希望は目を丸くして、小さく叫んだ。愛しい人に突然こんなふうにされるだなんて、慌てずにはいられない。
(お、重いから、恥ずかしい……! 下ろしてほしい、けど……)
頬が火照るのを感じながら、希望はスノーの顔を見た。こちらに向けられた満面の笑み、大好きな彼の笑顔に敵うはずがない、そんな顔をされたら何も言えない。けれど、一つだけ、今こそ絶対に彼に伝えたい言葉があった。もう、今はスノーに釣られてしまって微笑みを返しながら、希望はぽつりと口を開く。唇が、確かに音を紡いだ。
「……ありがとう」
「僕の方こそ、ありがとう」
くしゃり、希望だけの王子様は、あどけない子供のような顔で笑った。2人のことを見守るように、霧氷の花は、ちらちらと静かに瞬き続けている。
依頼結果:大成功
エピソード情報 | ||||||
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リザルト筆記GM | 巴めろ GM | 参加者一覧 | ||||
プロローグ筆記GM | なし |
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エピソードの種類 | ハピネスエピソード | ||
対象神人 | 個別 | |||||
ジャンル | イベント | |||||
タイプ | イベント | |||||
難易度 | 特殊 | |||||
報酬 | 特殊 | |||||
出発日 | 2016年12月18日 |