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フェスティバルイベント

『侵略の悪鬼羅刹、新たな絶望の影』

リザルトページ


リザルトノベル【女性側】シンパシー・リバレイト死守チーム

チーム一覧

神人:リチェルカーレ
精霊:シリウス
神人:吉坂心優音
精霊:五十嵐晃太
神人:アリシエンテ
精霊:エスト
神人:リヴィエラ
精霊:ロジェ
神人:シルキア・スー
精霊:クラウス
神人:ニーナ・ルアルディ
精霊:グレン・カーヴェル
神人:秋野 空
精霊:ジュニール カステルブランチ
神人:オンディーヌ・ブルースノウ
精霊:エヴァンジェリスタ・ウォルフ
神人:淡島 咲
精霊:イヴェリア・ルーツ
神人:シャルル・アンデルセン
精霊:ツェラツェル・リヒト
神人:上巳 桃
精霊:斑雪
神人:夢路 希望
精霊:スノー・ラビット
神人:向坂 咲裟
精霊:カルラス・エスクリヴァ
神人:出石 香奈
精霊:レムレース・エーヴィヒカイト
神人:エリー・アッシェン
精霊:モル・グルーミー
神人:ユズリア・アーチェイド
精霊:ハルロオ・サラーム
神人:紫月 彩夢
精霊:紫月 咲姫
神人:ひろの
精霊:ルシエロ=ザガン
神人:アンダンテ
精霊:サフィール
神人:瀬谷 瑞希
精霊:フェルン・ミュラー
神人:日向 悠夜
精霊:降矢 弓弦
神人:テレーズ
精霊:山吹

リザルトノベル


「こんにちは。ウィンクルムの皆さん」
 擦れて雑音じみた音は、声となって言葉を発した。
「お覚悟はよろしいですかぁ?」
 続いた声はやや人間に近く、けれどやはりノイズ混じりの声。
 ウィンクルムが一斉に身構える。
 人間というには遠く、しかしオーガというには人間のようでな二つの影を認める。
 それが、事前に知らされていたラウナ・ジュードとラウナ・テクニカであることは、想像に易しい。
 その背後からさらに、三体のオーガが殺気を纏って二つの影と並ぶ。
 計5体――決して楽な戦いではない。
 ウィンクルム達はトランスを発動させ、戦闘へと備える。

 シンパシー・リバレイトを死守するため、苛烈な戦いの火蓋が切って落とされる。


●VSメダ・ルオ、メダ・エヒャン
 飛空するメダ・エヒャンを、エリー・アッシェンが狙撃し、注意を引く。
 上空へ再び舞い戻ってしまわないよう、アリシエンテがアヒル特務隊「オ・トーリ・デコイ」でさらに近くまでおびき寄せる。
「モルさん、よろしくお願いします」
「分かっている」
 エリーがモル・グルーミーにコンフェイト・ドライブを掛けると、モルはスペードリングを発動させる。
 全員がこのスペードリングを通して攻撃すれば、全員の攻撃力の底上げが期待できる。
「可能な限りスペードリングを通して攻撃を仕掛けましょう」
 エストの声に、全員がスペードリングを利用できるように布陣する。
 日向 悠夜は降矢 弓弦の背後を守るように位置を定める。
 背後を確認すると、弓弦がスペードリングを通し、メダ・エヒャンを狙う。
「退路を断たせてもらう」
 ダブルシューターIIを放ち、メダ・エヒャンを捕らえた。
 隙ができると、モルはミラーデーモンを設置する。その光につられたのか、メダ・エヒャンはモルの眼前にまで迫り、鉤爪で攻撃を仕掛ける。
「狙う相手が悪かったな」
 モルの前に出来た鏡が、メダ・エヒャンの姿を写し出すと、映し出された姿がメダ・エヒャンに反撃する。
 驚いたメダ・エヒャンが上空へ逃げようと翼を広げるが、絶好の位置だ。エストがその気配を逃すはずはなかった。
 ワイルドショットが、スペードリングを通し、威力を増す。
 着弾と同時にもう一撃を撃ち込み、吹き飛んだメダ・エヒャンは、逃げるように上空高くへと舞い上がる。
「来るよ、みんな気を付けて!」
 後方で敵の動きを探っていた悠夜が声を掛ける。身構え、メダ・エヒャンの攻撃に備えた。
 メダ・エヒャンが最大高度から狙いすますと、急転直下で速度を上げて降下してくる。
「アリシエンテ!」
  エストが声を上げたが、メダ・エヒャンは既にアリシエンテの眼前だ。
「……っ!?」
 懐中電灯「マグナライト」を構えてはいたが、間に合わない。メダ・エヒャンがアリシエンテに激突する。
 同時に宝玉「魔力のオーブ」で力を回復させたモルが動く。
「きゃああっ!」
 勢いを殺しきれず、アリシエンテが後方へと弾かれる。
 地面に叩きつけられれば、さらに傷を負うことになるが――。
「――……あら?」
 アリシエンテの更なるダメージを防いだのは、ぎりぎりで発動したパペットマペットIIのクマだ。
「間に合ったならよかった」
「……なんだかシュールな光景ですが、アリシエンテさんが無事でなによりです」
「クマは良い」
 モルのクマへの愛情を、ここで感じている場合ではない。
「傷は大丈夫か?」
 弓弦がアリシエンテに声を掛け、即座に攻撃へと転じる。
 ダブルシューターIIがスペードリングを通り、メダ・エヒャンに命中する。
「アリシエ……」
「エスト! 攻撃に集中しなさい! 私は大丈夫よ」
「……承知しました」
 駆け寄ろうとしたエストを制し、アリシエンテは気丈に振る舞う。とはいえ、ダメージが軽微なはずはない。
「少し、休んだ方がいいよ」
「ええ……ありがとう」
 悠夜がアリシエンテの前に立ち、盾を構えた。
 メダ・エヒャンが鉤爪でエリーに攻撃を仕掛ける。
「うふふ、それでは当たりませんよ」
 エリーが身をかわすと、エストがワイルドショットを放つ。
 さらに弓弦がダブルシューターIIを放ち、それに合わせてエストが再びワイルドショットでメダ・エヒャンを攻撃する。
「さあ、あと少しです!」
 エリーがメダ・エヒャンに牽制射撃を行うと、弓弦とエストが連続で攻撃を繰り出し、煙幕がメダ・エヒャンを包む。
 反撃に身構えるが、煙幕が消えたあともメダ・エヒャンが動く様子はない。
「仕留めた……?」
「――ええ、そのようです」
 弓弦とエストが声を掛け合って、メダ・エヒャンの討伐成功を確信する。
「お疲れ様です。体勢を立て直して援護に向かいましょう」



 仲間と連携がとりやすい布陣を敷くと、一部のウィンクルムがパートナーへとコンフェイト・ドライブを掛ける。
 ユズリア・アーチェイドとハルロオ・サラームは後方へ位置を取り、負傷者が出た場合へと対応する。
「確実に動きを止めて行こう」
 スノー・ラビットがメダ・ルオに飛びかかる。
 オスティナートで斬りつけると、すぐさま距離を取る。
「思ったよりメダ・ルオの傷が浅いですね」
「そうだね」
 夢路 希望が護符「水龍宮」を展開し、スノーを守ると、再びスノーがオスティナートをメダ・ルオへぶつける。
 分厚い皮膚に阻まれ、メダ・ルオの傷は軽微。しかし、通らないわけではない。
 メダ・ルオが剛腕を振り上げ、希望に振り下ろす。
「ノゾミさん!」
「大丈夫です」
 身をかわし、紙一重で叩きつけられる破壊力に、直撃したらと思うとぞっとする。
 やや離れた場所から、斑雪がメダ・ルオに手裏剣を投げつける。
 それを追ってイヴェリアがダブルシューターを撃ち込むと、スノーが再度斬りかかる。
 メダ・ルオの巨体が、押されてぐらつくと、エヴァンジェリスタ・ウォルフが腕を狙って一撃を見舞った。
「流石に頑丈ですな」
 連続攻撃に、メダ・ルオが揺らぐことはあっても致命傷には繋がらない。
「とにかく、2体の連携を防ぐことが最優先ですわ」
 オンディーヌ・ブルースノウがエヴァンジェリスタに声を掛ける。
 ただでさえ、4本の腕を持つメダ・ルオが対応できる数は多い。
 そんな2体が連携すれば、ここにいる全員を相手にすることも難しくないかもしれない。
 メダ・ルオが、剛腕から繰り出されるパンチをスノーに振り上げる。
「スノーさん、気を付けてください!」
 淡島 咲の声に、スノーが反応する。
「この程度なら……」
 機敏な反応で剛腕を回避すると、イヴェリアがメダ・ルオに弾丸を撃ち込む。
 確実に捉えて撃ち込まれた弾丸に、メダ・ルオは態勢を崩す。
 が、倒れることなく踏み止まり、やや鈍い動きで体勢を立て直す。
「効いてない、か?」
 多少攻撃が当たっても、あまり反応しないメダ・ルオには、ダメージが通っているのかどうかが判然としない。
 しかし、さほど痛手にはなっていないのだろう。メダ・ルオはすぐさま標的を変え、腕を振り上げた。
「エヴァン、来ますわ」
「承知しております」
 その動きをしっかりと見定め、エヴァンジェリスタがひきつけて攻撃をかわす。
 今度こそ前のめりに倒れ込んだメダ・ルオに、斑雪が追撃する。
「隙あり、です」
 斑雪の攻撃に、メダ・ルオは暴れるように腕を振り回す。
 その勢いのまま、最も近くに位置取っていたスノーとエヴァンジェリスタに、まとめて首を掴んだ。
「ぐっ……!」
「っ……!」
 そのまま締め上げでもすれば、さすがに危うい。
「エヴァン……っ」
「スノーくん!」
 オンディーヌと希望が攻撃に転じる。
 しかし、精霊の攻撃が通らないのだ。神人の攻撃など、掠り傷にすらならない。
 ぎり、と締め上げるメダ・ルオの注意を逸らさなければ、二人の精霊が締め上げられていくのを待つだけになる。
 後方で控えていたユズリアが、短剣「クリアライト」をぎゅっと握り締める。
「……わたくしも、お手伝いいたします」
「おい、ユズリア……! 待て!」
 ハルロオの制止も聞かず、そのままメダ・ルオに斬りかかると、刀身が光を弾きメダ・ルオの視界を奪う。
 たまらず光から逃げようとしたメダ・ルオは、掴んでいた二人を離し、やや下がった。
「てめー、人の話は聞けよ」
 追いかけたハルロオがユズリアを見下ろす。
「ですが……」
「でもユズリアが動いてくれたから、二人は助かったよ」
 上巳 桃が周囲を警戒しながらユズリアに助け舟を出す。
「……まったく、お人よしと正義の味方もほどほどにしてほしいぜ」
 視界を戻したメダ・ルオが、再び攻撃を仕掛けてくる。
「二人とも、一度下がって!」
 桃の呼び掛けに、ユズリアとハルロオが後方へと下がる。
 メダ・ルオの攻撃のタイミングを計り、斑雪が後方から仕掛ける。
 隙をついてスノーがメダ・ルオへオスティナートで仕掛け、距離を取る。
 さらにイヴェリアが射撃で牽制すると、それに合わせてエヴァンジェリスタが重く一撃を振り下ろす。
「先が見えませんわね……」
「疲労すら見えませんね」
 オンディーヌのつぶやきに、咲が応える。
 メダ・ルオは、想像以上にタフだ。
「とにかく、可能な限り手を休めず攻撃しよう」
 声を掛け合って連携を取りながら、波状攻撃で押す。
 とにかく『シンパシー・リバレイト』に近づけないように、距離を取りながら、メダ・ルオとの長期戦へと突入する。



 2体いるメダ・ルオのうち、一体は『シンパシー・リバレイト』を死守せんと布陣したウィンクルムたちを狙った。
「やはり抜けてきましたね」
 秋野 空がジュニール カステルブランチを見上げる。
 守りの要はロイヤルナイトの防衛力にかかていると言っても過言ではない。
 逆に言えば、彼らが突破されてしまえば、『シンパシー・リバレイト』を守りきれる可能性が低くなる。
 ジュニールとカルラス・エスクリヴァがフォトンサークルを発動させ、さらにアーマードマスターを重ねる。
 さらにジュニールはプロテクションで守るための力を得る。
「フォトンサークルから出ないように気を付けて」
 紫月 彩夢が声を掛ける。
 メダ・ルオがのしり、と重い足取りで迫ってくると、剛腕を振りかざし、一気にジュニール目掛けて叩きつける。
「くっ……」
 フォトンサークルの守りがあっても、かなりの衝撃だ。
「ジューン!」
「大丈夫ですよ、ソラ。これくらいなら」
 重い一撃とはいえ、守りを底上げしたジュニールに、メダ・ルオの攻撃が届くことはない。
 彩夢がメダ・ルオに懐中電灯「マグナライト」を向け、視界を奪う。
 光の照射を振り払うように動くメダ・ルオに、ツェラツェル・リヒトが牽制射撃を行う。
 光から逃れ、のたりと回避行動を取っているが、思う以上に遅く、命中はしている。
 が、それが致命的な傷にはならないのが、メダ・ルオの厄介なところだ。
 紫月 咲姫がパペットマペットIIでトリのぬいぐるみを呼び出すと、高高度を滑空させ、メダ・ルオの隙を誘う。
「隙は多く作らないとね」
 向坂 咲裟が弓を放つ。
 メダ・ルオが再びウィンクルムたちを目掛けて突っ込んでくる。
 狙ったのは――。
「シャルルちゃん!」
 咲姫が滑空させていたパペットをシャルル・アンデルセンの護衛へと向かわせる。
 だが、一歩遅く、メダ・ルオの剛腕はシャルルを完全に捉えた。
「――!」
 最前のフォトンサークルを突き破って、振り下ろされる。
 ジュニールが咄嗟に動いたが、それよりも早くシャルルの盾となったのは、ツェラツェルだ。
「ぐ……あ……!」
 メダ・ルオの攻撃が命中し、弾かれる。
 同時にパペットが守りに入り、多少のダメージを緩和させたが、それでもツェラツェルのダメージは小さくない。
 咲裟が駆け寄り、ツェラツェルを介抱する。
「ツェラ、さん……?」
 呆然とするシャルルに、カルラスが声をかけた。
「行ってあげた方がいい」
「……はい……!」
 彩夢がすぐに宝玉「魔力のオーブ」を展開し、力場を形成する。
 メダ・ルオが攻撃を再度仕掛けてくる前に、空がジュニールにディスペンサで力を分ける。
「このままだと、消耗戦になりますね」
 長期戦も、消耗戦もある程度覚悟はしていたが、予想を上回って消耗が激しい。
 一撃を凌ぐことが、想像以上に厳しいのだ。
 4本の腕を振り上げ、メダ・ルオが彩夢と咲姫に殴りかかる。
「下がって、彩夢ちゃん」
 咲姫が彩夢の前に立ち、タロットダンスを発動させ、応戦する。
 跳ね返った自分の攻撃に、メダ・ルオが怯むと咲裟が距離を取らせるように足元を弓で狙った。
 防衛線を突破させてはならない。今は、それが最重要だ。
 迫るメダ・ルオから『シンパシー・リバレイト』を守るため、力を尽くす。


●VSラウナ・ジュード
 レムレース・エーヴィヒカイトがアプローチIIを発動させる。
 その後ろに、弱点看破の糸口を見出すために、出石 香奈が下がる。
 アンダンテが愛の女神のワンド「ジェンマ」をサフィールに翳し、力を与える。
 サフィールが詠唱に入ったことを確認すると、オーバードライブ「風の音楽」で力を得たシリウスが初動を取った。
 弱点であれば庇うはず。ならば、庇わせる場所を狙わなければならない。
 急所部を狙い、叩き込む。
「そんなもんか?」
 ラウナ・ジュードが口から針をシリウスへと吹く。
「お前こそ、そんなものか?」
 身をかわし、シリウスが後方へ飛んで距離を取る。
 さらに、ラウナ・ジュードはレムレース目掛けて針を吹いた。
 ラウナ・ジュードの針は、ただでさえ毒針だ。掠めるだけでも危険だが。
「その程度なら問題ない」
 フォトンサークルで守り、毒針を弾く。
 吉坂心優音がコンフェイト・ドライブで五十嵐晃太の能力を底上げすると、晃太はそのまま攻撃を仕掛ける。
「行くで!」
 その動きに合わせ、シリウスが連撃を繰り出す。
「シルキアさん、見えましたか?」
 リチェルカーレが、シルキア・スーに声を掛ける。
「うん、たぶん……」
 シリウスの急所を狙った攻撃は、心臓も捉えた。
 その時、庇う動きを見せた――気がした。
 情報をそれとなく全員に伝達をすると、クラウスがすぐさまシャインスパークでラウナ・ジュードの視界を奪う。
 その隙をついて、リチェルカーレが斬りかかり、晃太がそれに続く。
 心臓部を目掛けて、一撃が掠った。
「――貴様らあぁっ! まとめてあの世に送ってやる!」
 黒いオーラが消えると、リヴィエラがらぶてぃめっとトランスを発動させる。
「ロジェに、ジェンマ様の祝福を」
 リヴィエラが愛の女神のワンド「ジェンマ」を掲げ、ロジェの力が増すとしっかりと狙いを定め、ワイルドショットで射撃する。
「ぐ、うっ……」
 やや後退し、ラウナ・ジュードへの確かなダメージを確信すると、ロジェはさらにダブルシューターIIを撃ち込んだ。
「がっ、あ、……くそっ……!」
 ラウナ・ジュードがふっと姿を景色へと溶け込ませた。
 全員が、その動きを追いながら、けれど追いきることは難しい。
 クラウスがシャインスパークで再びあたりを照らす。
「レムレースさん、右よ!」
 アンダンテが声を上げる。
 イージスの盾を発動させ、レムレースは吹き出される針を防ぐ。
 姿を見せたラウナ・ジュードへ、シリウスが距離を詰めて斬りかかる。
 隙を生み出し、距離を取り、ロジェへの攻撃の道を作ると、それを見逃さずロジェがワイルドショットで捕らえる。
 香奈が時の砂「輝白砂」を投げ、ラウナ・ジュードの視界を遮ると、晃太が霞切りで斬りかかる。
「離れていてくださいね」
 サフィールがそう声を掛けると、カナリアの囀りをラウナ・ジュードへと叩きつける。
 ロジェがワイルドショットをさらに放ち、形勢は一気に有利になる。
「くそ……! ウィンクルム、ごときに……!」
 ラウナ・ジュードの傷は、かなり深い。
「ロジェ、もう一息です」
「分かってる。これで――仕留めてやる……!」
 ロジェが狙いすまし、ワイルドショットを撃ち込む。
 いつかわされてもおかしくない状況だ。弾丸を、祈るように放つ。
 さらに追撃を仕掛けると、ラウナ・ジュードへと着弾、炸裂した。
「――があっ、貴、様……ぁっ!!」
 ラウナ・ジュードは、死力を振り絞り一発の針を放った。
「貴様らも道連れにしてやるぜ……! 俺の死の毒針を、食らいやがれ……」
 放たれた死の毒針に、反射的に回避行動を取った。
 ――が。
「サフィールさん!」
「――……っ!」
 呪文詠唱に手を取られていたサフィールの回避が僅かに遅れる。
 死の毒針は、ウィンクルムたちの脇をすり抜け、サフィールに命中した。
「っ……く……」
 膝をつくサフィールに、アンダンテが駆け寄る。
「クラウスさん!」
 シルキアがクラウスにキュア・テラを促す。
「へっ……、そんなもんじゃ、効かねぇ……」
 それだけを口にすると、ラウナ・ジュードがぷつりと事切れた。
「効かないって……そんな……」
 アンダンテがサフィールを不安げに見遣る。
 キュア・テラが効果を発揮しないのなら、死の毒針の解毒は不可能――。
 嫌な言葉が脳裏を掠めた。
「――毒を使うなら、解毒剤を持っているのが普通です」
 リチェルカーレがラウナ・ジュードの周辺を探す。
 わざわざ事切れる寸前に嘘を口走るとも思えない。ラウナ・ジュードは偽りを言ってはいないのだろう。
 他のウィンクルムたちも、手分けして解毒剤の捜索に乗り出す。
「サフィールさん……」
「大丈夫です……傷は浅いようですし」
「傷の問題じゃないでしょ」
 むしろ、浅いからこそ不安なのだ。目に見えないからこそ。
「――これ……」
 心優音がそれらしいものを見つけると、リチェルカーレが確認する。
「たぶん、間違いありません」
 見付けた解毒剤を使い、サフィールへ解毒処置をする。
「これで、大丈夫です」
「……よかった……」
 その言葉に、アンダンテが胸を撫で下ろす。
 最後まで緊張を解けない空気はあったが、ラウナ・ジュードの討伐は見事に成功を収めた。


●VSラウナ・テクニカ
 ハイトランス・ジェミニへと移行すると、ルシエロ=ザガンが注意を引くためにラウナ・テクニカへと飛びかかった。
「気を付けて」
 ひろのが護符「水龍宮」を展開し、ルシエロを守る。
 その間に、山吹がチャーチで仲間を守る拠点を作り出す。
「まずはオーラを何とかしましょう」
 瀬谷 瑞希が声を低めて言いながら、フェルン・ミュラーに愛の女神のワンド「ジェンマ」を掲げる。
 その力を糧に、フェルンはイージスの盾を置き、プロテクションを掛けると、自分へ注意を向けるようにアプローチIIを発動させる。
 ニーナ・ルアルディが宝玉「魔力のオーブ」で力場を作り出した。
 ルシエロの回避を主体とした流れるような動きに合わせ、グレン・カーヴェルがグランドクラッシャーで強烈な一撃を見舞った。
「どうだ!」
 ダメージに繋がる必要はない。
 今は、ラウナ・テクニカを包む黒いオーラを打ち破ることが先決だ。
 全員が、その動きを注視する。
 僅かに庇う素振りを見せないか――。
 どこか隠せそうな場所はないか――。
「小癪な真似をしますね……!」
 ラウナ・テクニカが防御姿勢を取るが、すぐさまグレンへと反撃を仕掛ける。
 距離を取り、計測器で怪電波を放つ。
「うぐっ……、あああっ!」
 脳への攻撃に、グレンが頭を抱えて蹲る。
「グレン……! しっかりして!」
 ニーナが駆け寄り、不安げにグレンを見つめる。
 幾重にも張り巡らされた防御への策も、あっさりと貫通させる、恐ろしいまで威力。
「チャーチの内側なら安全です」
 テレーズの言葉に従って、グレンを山吹が作り上げたチャーチの拠点へと移動させる。
「ルシエロ……」
 だが、無防備に食らわなかったのが幸いしたのか、朦朧としながらもグレンはルシエロを呼ぶ。
「なんだ?」
「首……狙ってみろ。……たぶん、そこだ」
 間近で見ているからこそ分かることもある。
「分かった」
「援護します」
 サンクチュアリ Iでエナジーフィールドを作ったあと、山吹はシャインスパークを放つ。
 回復と共に、ラウナ・テクニカの視界を奪い、隙を作る。
 ルシエロがスタッカートで首元を狙って攻撃すると、ラウナ・テクニカが露骨な防御姿勢を見せた。
「――当たりか」
 さらにスタッカートを撃ち込み、首輪を破壊する。
「っ、く……やってくれましたね……!」
 ラウナ・テクニカがルシエロ目掛けてパンチを繰り出す。
「もっとよく狙え」
 ルシエロがひらりと身をかわし、間合いを取った。
 ラウナ・テクニカがそれを追いかけ、今度はフェルンへと攻撃を仕掛けた。
「その程度なら……!」
 持てる全てでラウナ・テクニカの攻撃を防ぐ。
 攻撃が通らないと判断すると、すぐさま距離を取り、ラウナ・テクニカは様子を窺う。
「さすがにこの防壁は破れませんね」
 瑞希が安堵するように呟く。
「とはいえ、あれが本気というわけでもないだろう」
「……そうですね」
 今回防げたからと言って、次も防げる確証はない。
 油断すれば一気に攻撃が貫通し、あっという間に突破されるだろう。
「オーラがなくなったから、今が狙うチャンスだね」
 そう声をかけ、ひろのは逢魔鏡ショコラントをラウナ・テクニカに向け、その姿を映した。
 ルシエロが、斬りかかる。
 だが、ラウナ・テクニカはそのすべてを防ぎきる。
「思うほど攻撃が決まらないな」
 距離を取り、ラウナ・テクニカの次の行動を注視する。
 構えることなく攻撃を受けることだけは避けたい。
 だが。
「埒が明かないですねぇ……」
 ラウナ・テクニカがぽつりと漏らした。
「ようやく本気か……?」
「仕方ありませんねぇ。あのマッドサイエンティストに応援要請でもしに戻りましょう」
「――なに?」
 何か暴言めいた言葉が聞こえた気がしたが、肝心なのはそこではない。
「メダ・ルオ。一度退きますよぉ……!」
 そう言って、ラウナ・テクニカは徐々に距離を取ると、そのまま退却した。
「……逃げられたか」
「深追いは禁物です、ここは体勢を立て直しましょう」
 負傷者の手当て。消耗した体力。
 ラウナ・テクニカの言葉通りならば、再びオーガの軍勢を引き連れて戻ってくる可能性がある。

 目下の脅威は退けることができたのだ。
『シンパシー・リバレイト』を死守するという任務は、成功したと言える。


(執筆GM:真崎 華凪 GM)

戦闘判定:成功

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