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カナリア IL


フェスティバルイベント

『クリスマスを返せ!』

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リザルトノベル【女性側】レッドニス救出チーム

チーム一覧

神人:吉坂心優音
精霊:五十嵐晃太
神人:油屋。
精霊:サマエル
神人:リーヴェ・アレクシア
精霊:銀雪・レクアイア
神人:ユラ
精霊:ハイネ・ハリス
神人:エリー・アッシェン
精霊:ラダ・ブッチャー
神人:ガートルード・フレイム
精霊:レオン・フラガラッハ
神人:ひろの
精霊:ルシエロ=ザガン
神人:ニーナ・ルアルディ
精霊:グレン・カーヴェル
神人:篠宮潤
精霊:ヒュリアス
神人:八神 伊万里
精霊:アスカ・ベルウィレッジ
神人:淡島 咲
精霊:イヴェリア・ルーツ
神人:シャルル・アンデルセン
精霊:ノグリエ・オルト
神人:リチェルカーレ
精霊:シリウス
神人:夢路 希望
精霊:スノー・ラビット
神人:日向 悠夜
精霊:降矢 弓弦
神人:瀬谷 瑞希
精霊:フェルン・ミュラー
神人:ロア・ディヒラー
精霊:クレドリック
神人:リオ・クライン
精霊:アモン・イシュタール

リザルトノベル

 固く閉ざされていたラインヴァイス城の門が開かれた。
 トランスを終えたウィンクルム達が次々と城内へと駆けていく。
 青白く、冷たい雪の城は数多の足音を受け入れるが、ウィンクルム達の前に無数の昏い影が立ちはだかる。
 ぶつかり合うウィンクルムとオーガ。
「すごい数だね」
「この乱戦じゃ、何がなんだか。いっそ天井の照明を落としてやりたいけど……」
「わざと壊しちゃダメだよ」
「分かってるよ。それに、どっちにしろ仲間まで巻き込みそうだ」
 ユラとハイネ・ハリスは言葉を交わしながらも向かってくるオーガ達を迎撃していく。
 対吸血鬼班と対狼男班、対連合班と分かれていた。
 けれど連合部隊は吸血鬼と狼男が混在しており、狙う種族を絞ること自体が難しく――あっという間に乱戦となってしまった。
 もはや手当たり次第に薙ぎ払っていくより他はない。
 不幸中の幸いは孤立するウィンクルムがいなかったことだ。
 シャルル・アンデルセンとノグリエ・オルトは仲間の攻撃を増幅する技を使うために、他のウィンクルム達の側にいたことで。
 他のウィンクルム達は班単位で動いていたが故に、孤立を避けることが出来た。
「っ……!」
「レオン、大丈夫か?」
 レオン・フラガラッハがアプローチで引きけた狼男を、ガートルード・フレイムが斬り伏せる。
 が、その間にも吸血鬼の魔法弾や他の狼男の攻撃がレオンを襲う。
「大したことはない……って言いたいけどな、一発がデカイ」
 青白く輝く銀の盾越しに伝わる衝撃は重い。流石Cスケールオーガと言ったところか。
「だが」
 ヒュン、と矢がレオンの背後から放たれたかと思えば、レオン目掛けて迫ってきていた狼男が目を眩ませた。
 白蛇と化したヒュリアスの古の大剣が口を開き、狼男の肩を血で染め上げる。
「おかげでやりやすい」
 敵がレオンを狙うことが分かっているのだから、篠宮潤とて狙いを定めやすい。
 クリスタルの弓矢で隙を作ればヒュリアスが応じるまでだ。
 活路を開く。
 その為に、引き寄せた敵を撃つという手段は有効だ。
 吸血鬼の魔法弾や狼男の拳や蹴りを踊るように躱しながら、ルシエロ=ザガンは敵を斬っていく。
 そうして敵の意識を己へ向けさせると、その内の一体にエリー・アッシェンが水鉄砲を放った。
「ルシェ!」
「ヒャッハーッ! 行っくよぉぉぉ!!」
 ひろのの合図でルシエロが飛び退くと同時に、ラダ・ブッチャーが火の力を一挙に放出する。
 ジュッ、という音とともに数体のオーガ達が燃え尽きるも、身に纏った食人植物からの侵食が進む。
「ラダさん、まだ大丈夫ですか?」
「まだいけるよぉ。エリーは?」
「こちらも、なんとか!」
 神人が倒れることの危うさを理解しているエリーが、ラダのサポートよりも己が深手を負わぬように立ち回っていたからこそ。
 さらに、スノー・ラビットが包囲されぬよう細心の注意を払っている。
「キリがないね」
「でも、さっきよりもかなり少なくなってます」
 エリー同様、夢路 希望も精霊達の後ろで回避に重きをおきながらも魔法陣で身を守っている。
 ルシエロが敵をひきつけ、ラダが駆逐する。
 そしてそんなラダや神人に攻撃が及ばぬよう、スノーが踊るという流れは実に上手く機能していた。
 そんな彼らと離れたところにいる別のウィンクルム達はと言えば――
「そこを、退けっ!!」
 フェルン・ミュラーが敵を誘き寄せ、作った隙をグレン・カーヴェルは見逃さなかった。
 より多くの敵を巻き込むべく振るわれた大剣が、狼男達を薙ぎ倒す。
 運よく一撃から逃れた狼男が、未だ剣の勢いを殺せぬグレンに飛びかかろうとするが――シリウスの双剣が襲いかかる。
 多くの敵を巻き込むように動きながらも、グレンは包囲されぬよう仲間の位置を把握していた。
 そしてシリウスは仲間と連携して攻撃する必要性を理解していたが故の流れ。
「フェルンさん、大丈夫ですか?」
「ニーナ君のおかげだ」
 瀬谷 瑞希がパートナーを気遣うも、フェルンの消耗は予想よりも小さい。
 この乱戦では進むことも退くこともままならないと踏んだニーナ・ルアルディが魔守のオーブの力場を展開したからだ。
 決して大きいとは言えない力場である為、すべての攻撃とまでは行かないがいくつかの攻撃を阻んでくれている。
 アスカ・ベルウィレッジとイヴェリア・ルーツは一体でも多く、少しでも早くとばかりにジョブスキルを惜しみなく使っていく。
 当然、魔力は湯水のごとく流れていくが――
「アスカ君」
「頼む」
「運命を切り拓く」
 伊万里が魔力を受け渡せば問題ない。
 淡島 咲はディスペンサの準備が出来ていなかった為、イヴェリアのジョブスキルは早々に打ち止めとなってしまった。
 けれど、幸いにもアスカやグレンといった高火力を誇る仲間と行動を共にしている。
 イヴェリアもシリウスに倣い、仲間が攻撃しやすい状況を作るよう切り替える。
 その時、リチェルカーレの目にちらと見えた赤い影。
 レッドニスだ。
「助けに来ました。もう少しだけ頑張って!」
 まだこちらの声に応える余力があるのだろう。
 レッドニスはどうにかといった様子で顔を上げ、弱々しい微笑みを浮かべるも、すぐにその姿は隠されてしまった。
 ヒヅキがリチェルカーレからレッドニスを隠すように立ちはだかったのだ。
 薄っすらと目が細められる。口元は漆黒の布で覆われているが、笑っているのは間違いない。
 数を減らした連合部隊の隙間を縫い、ヒヅキの元へ走る6組のウィンクルム。
 彼らの動きに気付いたオーガもいたが、殆どは他の仲間が引きつけていた為、突破は難しくなかった。
 けれど、彼らの目的はレッドニスの救出だとヒヅキは正しく理解していた。
 自らのもとへと駆けてくるウィンクルム達をヒヅキの黒炎が襲う。
 6組はさっと散開して黒炎から逃れる。
「何故、妖怪の貴方がギルティの手下になんてなったの!?」
 避けた先で体勢を整えながらも、吉坂心優音は叫んだ。
「僕はもう、妖怪じゃないよ。妖怪でもデミ・ギルティになれるんだ。凄いよね……」
 そう言うヒヅキの前へ銀雪・レクアイアが躍り出る。
 オーラを放ち、ヒヅキをレッドニスから引き離すべくじわじわと後退しようとするが――
「まだまだ、滅びは君のすぐ近くにいるんだよ……?」
「うっ……!」
 ヒヅキはその場を動くこともなく、手から黒炎を放ち銀雪の身を焦がす。
 防御力が上がっていたからこそ耐えられたが、僅かしか持たないことは明白。
 すかさずアモン・イシュタールが跳びかかった。
 斧が叩き込まれるが、ヒヅキの顔に苦悶の色はない。
「君は何をしたいんだい?」
「何か弱みを握られているとか……?」
 降矢 弓弦とロア・ディヒラーの言葉に、ヒヅキはゆるりゆるりと首を傾げた。
 ヒヅキの瞳の昏い輝きがより濃くなる。
「美しいものを美しいと思うことに理由はないよね……? それと同じ」
 クスクスと小さな笑い声が漏れ聞こえる。
 あまりにも虚ろなその声音にロアの背筋が凍り、弓弦は反射的に風を宿した矢を放つ。
 ひらり、身を翻したヒヅキの肩に刺さる矢。
 その矢をちらと一瞥したヒヅキの笑い声がさらに大きく、冷たくなる。
「ああ、そういう意味では弱みかもしれないね。あの人は……心に美しい滅びを飼っていて、僕はそれが育つのを見ていたかった。それだけ……」
 ヒヅキとの会話は成立する。けれど、彼は闇に染まりきっている。
 ギルティのなりそこないであるデミ・ギルティとはいえ、彼は完全なるオーガ。
「言ってる意味、分かんないよっ!!」
 油屋。が渾身の力で繰り出した槍がヒヅキの服を捕らえる。
 ヒヅキは気に留める様子もなく、油屋。へ手を向ける。
「悪意に惹かれた……ですか。まるで羽虫のようです」
 ボッ、と黒炎がちらついた直後、轟音と共にサマエルが飛び降りてきた。
 一直線に振り下ろされたハンマーはヒヅキを捉えはしなかったが――
 はらり。
 勢いに巻き込まれ、ヒヅキの口元を覆っていた布が床に舞う。
 そこから現れたのはおぞましくひび割れた肌。生き物にあるまじき姿であった。
「悪を追い求めるうちに内も外も増々醜くなっていく……滑稽ですね★」
「……ああ、見られちゃったね」
 初めてヒヅキの感情が揺らいだ。自嘲の色がその顔に浮かぶ。
 ヒヅキは油屋。と共に飛び退いたサマエルへ退廃的な笑みを送った。
「君はまだ、滅びの美しさに気づいていないだけ。それは幸せなことかもしれないね。無知であることを、喜ぶといいよ……」
 先程は遮られた手を、再びスッ、と伸ばす。
 ヒヅキの手の先にいるのは銀雪。
 来る衝撃に備え、銀雪が歯を噛みしめる。
 が、この場に不似合いなほどに涼しげな音が炸裂した。
 リーヴェ・アレクシアの放った矢が炸裂したのだ。
 眉をひそめたヒヅキの意識は音へと向けられていた。
 それが、この戦いの中でヒヅキが見せた最大の隙。
 五十嵐晃太と日向 悠夜、リオ・クラインの三人は迷うこと無くレッドニスを目指した。
 レッドニスに駆け寄るや否や、晃太は仕込み刀で乱雑に、けれど素早く拘束を解く。
 ヒヅキがそのことに気づき、振り返った時にはもう遅い。
 リオと悠夜は間髪入れずレッドニスを支え、手を引いて離脱する。
 三人がレッドニスを支えて戻ってくると、すぐにクレドリックが魔法壁を展開した。
 ピィィィ、と油屋。の笛が響いた。
 この場にいる全員の視線が集まり――全てを察した。
「やはりデミ・ギルティは役立たずか」
「くだらん」
 激しい戦闘を繰り広げていた吸血鬼や狼男達の殺気が、あっという間に四散した。
 振り返ること無く、オーガ達は広間を後にする。
 連合部隊を相手にしていたウィンクルム達は疲弊しきっており、それを止める余力も無かった。
 侵食の影響により、ラダとヒュリアスが倒れているのが見える。
「……ああ、残念だ」
 ふぅ、と小さな溜息が響き渡った。
「もう終わりだ」
「そうだね。本当に残念だよ」
 アモンの斧が深々とヒヅキの身に食い込む。
 ヒヅキは斧に触れ、ぐっ、と力を込める。
それは抵抗などではなく、滅びの為のもの。より深く己へと突き立てる為のもの。
「門出を祝い、高らかに歌え。そして滅ぶがいい」
 ヒヅキの頭上に現れた魔法陣はクレドリックによるもの。
 魔法陣を見上げ、ヒヅキは頭上へと手を伸ばす。
 避けるどころか受け入れるような様子は、まるで――
「ダークニス、君の滅びを見られなかったのが、残念でならないよ……」
 魔法陣より熱線が照射される。
 光が消えた頃には、ヒヅキという存在はこの世から消え去っていた。
 これでダークニスへの道を阻むものは、もう何もない。
 力押しではあったが、レッドニス救出チームはその役目を完全に果たしたのであった。


(執筆GM:こーや GM)

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