平穏な思い出(青ネコ マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

 最後の戦いが始まる。
 黒幕とも言える敵がわかった今、ウィンクルム達はもう一度大きな戦いに身を投じる事となった。この戦いの結末によっては、世界は滅びるかもしれない。自分達は死んでしまうのかもしれない。
 だからこそ、ふと考える。
「どうした?」
 戦いの場へと向かいながらも何処か遠くを見ている神人に気付き、精霊は何かあったのかと声をかける。
「いや、何でもない。ただちょっと……思い出してただけ」
 こんな事になるとは思っていなかった。
 自分がウィンクルムになる事も、パートナーがこの精霊である事も、そして世界を揺るがす戦いに向かう事も。
 顕現する前には想像もしていなかった未来へとたどり着いた。
「いつのまに、ここまで来たんだろうな」
 ぽつりと零すと、精霊も今までを振り返り始めた。
 初めて会った時の事を、初めて依頼を受けた時の事を、初めてデートをした時の事を、初めて心を開いた時の事を、初めて傷つけてしまった時の事を、初めて想いを通じ合わせた時の事を。
 沢山の事を二人で積み上げてきた。
「……くくっ」
「何?」
「いや、お前が寝ぼけて変な顔でわけわかんない事叫んだ時の事を思い出した」
「そ、それはさっさと忘れろ!」
 顔を赤くする神人に、精霊はますますおかしくなって声に出して笑う。怒っていた神人もつられるように笑い出し「大体お前だってなぁ」と思い出を語りだす。

 最後の戦いの前のひと時。
 語るのは自然と楽しかった思い出、嬉しかった思い出ばかりになる。まるでこの先に不安を払拭するかのように。
 貴方達はどんな平穏な日々の思い出を語り合いますか?

解説

二人の平和な思い出を語り合ってください

●平穏な日々の思い出
・一般的に平穏な内容ならどんなものでも構いません
 逆に平穏じゃない内容は失敗になります
 (例:トラウマを語り動揺する、喧嘩を思い出し気まずくなる)
・過去エピを掘り下げたり、過去エピのアフターストーリーでも構いません
 ただし、その場合はどのエピソードかをプランに書いてください
 また、過去エピを否定する内容は失敗となります
 (例:プレゼントを貰って喜んだ過去エピ→実はプレゼントは貰ってない、実は喜んでない等)
・勿論、過去エピに無い思い出も大歓迎です
・全年齢のゲームって事だけ覚えていてください

●プランについて
・平穏な思い出を語り合う形でも、平穏な思い出そのものの形でも構いません
 プランに合わせたリザルトの形となります

●戦いの為に色々準備とかして色々買ってたようですね
・300Jrいただきます


ゲームマスターより

貴方達の大切な思い出を是非教えてください。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

俊・ブルックス(ネカット・グラキエス)

  過去エピNo.1

突然ネカにプロポーズされフリーズ
遅れて盛大に赤面
はああああああ!?

…ゲームの話なら最初からそう言ってくれ…
俺用に買って来たらしき携帯ゲーム機持って新規にキャラ登録
ネカのアドバイスと強引なパワーレベリングで集中育成
しばらくぶっ続けでやっと結婚イベントまで来た

ゲーム内とはいえ、他のプレイヤーに祝福されるとくすぐったいな
さて、限定クエストだ
このダンジョン、確かにあの時の迷路にちょっと似てるかもな
あの時…(ウェディングドレス姿のネカにお姫様抱っこされたのを思い出し)
初任務があれはちょっと、いやかなり恥ずかしかったけど
今となってはいい思い出かな?

え?あ、お、おう
…勢いでOKしてしまった…


ラティオ・ウィーウェレ(ノクス)
  「ううん。今日もなかなか暑いねえ」※パタパタと持っていた資料で自分を仰ぐ。
「ノクスは、平気なのかい?」※ぐでぇ、っとソファに凭れながら相手を見る
「ええ? 暑そうに見えないよ」

「んん? ……ああ、だって暑いじゃないか」
※ボクサーパンツに白衣を着ただけの姿
「君の格好とあんまり変わりはしないよ」※肌面積的に
「えー?」変わらないと思うんだけれど。

「? ああ、柚子湯のときのかい? まあ、暑さに疲れてる意味では。うん」
「そして僕に研究室の掃除をしろって?」※笑って返す
「使ってない古い器材の処分はしたさ」心外だね。

褐色の肌に生えた鱗が、なんだろう。エキゾチック?
蛇と同じなのかな、一枚欲しいなあ。調べたい。※通常運転


ユズリノ(シャーマイン)
  思い出
6月のAROA提供デート休暇
クルーザーで沖に出て2人だけで過した時の事

ご機嫌に進むクルーザー
2人共テンション高い ヨーソロー
操舵する彼がカッコイイ 惚れ惚れしてたらウインクされた
目的の海域に着いた合図だった

早速釣りを楽しむ
晩御飯釣るぞー!

夕方キッチン
釣った魚を調理
あの大物釣りたかったなぁ
ふふ そうだね(するりと彼が手を滑らせてきた ビクリ
どうしたの?(頬染
彼の告白と行為にドキドキ
彼との心身の距離が望んでいたものに到達した気がしてその奇跡が嬉しくて泣きそう
彼に応える

遅いディナーは満点の星空の下の甲板で
空見上げて納涼花火大会思い出す(エピSP
…また行きたいね お祭り
微笑み合いワイングラス鳴らし乾杯


■夏と素肌といつかの平穏
 最後の戦いの前のひと時。『ラティオ・ウィーウェレ』と『ノクス』はいつも通りの日常を送っていた。
「ううん。今日もなかなか暑いねえ」
 季節は夏。部屋の中にいるから直接陽射しを浴びるわけでも無いが、エアコンをつけずに窓を開けているだけだからか空気が熱を持っていて、湿気を多分に含んでいる。そのせいでうだるような暑さから逃げられない。
 持っていた研究資料を扇子の代わりにしてパタパタと扇いでいるラティオは、ぐでぇ、とソファに凭れながらノクスの方を見る。
「ノクスは、平気なのかい?」
 問われたノクスはラティオの方をチラリとも見ず、家の中の状況を一つ一つ、洗濯は終えた、埃も掃いた、洗い物も終えた、と確認しながら答える。
「平気に見えるのか。我とて暑い」
 山では涼しい場所に移動して乗り越えていたからな、と補足を添えて。
「ええ? 暑そうに見えないよ」
「ふん、貴様と同じにするでないわ。それより」
 と、ここでようやくノクスはラティオの方を向く。いや、先程から視界の端にはちらちらと入ってきていたのだ。そして、その度に気になってはいたのだ。
 ノクスが気になっていた事、それは。
「なんだ貴様、そのだらしのない恰好は」
 下はグレイのボクサーパンツ、上は白衣。以上。以上である。
「んん? ……ああ、だって暑いじゃないか」
 だらしない格好にだらしない姿勢のラティオは、言われても気にした様子はない。実際気にしていない。しかし言われたからには言い返したい。
「君の格好とあんまり変わりはしないよ」
 ラティオが指摘したノクスの格好、それは。
 下は黒のガウチョパンツ。以上。以上である。
「どこがだ」
 我は下着を晒してなぞおらん、とムッとしながらノクスが言えば、ラティオは「えー?」と不満の声をあげる。ラティオとしては肌面積的には変わらないと思うのだが、どうにも分かり合えない壁があるらしい。ノクスとしてもむしろその白衣を着る必要はあるのか? と疑問に思うのだが、やはり、分かり合えない壁があるらしい。
 分かり合えないが、共通の思い出は作られているもので。
「そうしていると、いつぞやの温泉のときと変わらんな」
 ノクスがぽつりと言うと、ラティオは軽く小首を傾げる。
「? ああ、柚子湯のときのかい? まあ、暑さに疲れてる意味では。うん」
 思い至ったラティオが言うと、二人の脳裏にその時のことが鮮明に思い出される。
 あの時は今とは違って季節は冬だった。
 家族風呂に柚子を二十個入れて柚子湯を楽しもうとしたが、その前に隅々まで体を洗えとノクスに言われたラティオ。その時は三日も徹夜した後で、数時間の仮眠をとっただけだった。そのせいか体を洗うというごく簡単な作業さえも疲れて疲れて……。
 ようやく洗い終わって風呂に入ってみれば、のぼせ気味になってきた上に睡魔が襲い掛かってくる始末。
 結局、ラティオはノクスの肩を借りて風呂を後にしたのだった。
「……牛乳でもいれてやろうか?」
「そして僕に研究室の掃除をしろって?」
 風呂から上がった後の事を思い出しながらノクスが揶揄混じりに言えば、ラティオも同じ時を思い出しながら笑って返す。それはその時の会話の再現。気がつけばノクスもクッと喉を鳴らしていた。
「貴様は結局しなかったがな」
「使ってない古い器材の処分はしたさ。心外だね」
「その器材とやらを捨てに行ったのは我だろうが」
 二人はそのままこうだった、ああだった、こうしただろう、ああしただろう、と軽口を叩き合う。
 時折分かり合えず、噛み合わず、それでも互いが語り合うのは共通の思い出。いつかの平穏な日常の事。
 夏のひと時に思い出して交わす、ありふれた思い出話。
「まあよい、この暑さだ。我のついでに何かいれてやろう」
 言い合うのに飽きたのか、それとも暑さに限界がきたのか、ノクスがラティオに背を向けて台所へと向かう。
(このように暑い時には、すぽーつどりんく、が良いのだったか)
 そんな事を考えながら、台所にある材料と器具を頭に思い浮かべる。その遠くなる背に「ありがとう」とラティオが声を飛ばす。
 ノクスの褐色の素肌に生えた鱗が、夏の陽射しと空気の中で艶めいて見える。
(なんだろう。エキゾチック?)
 じっと見つめるその視線はそれなりに熱い。
 だがその熱の理由は甘いものでも切ないものでもなく。
(蛇と同じなのかな、一枚欲しいなあ。調べたい)
 そんな研究的好奇心が理由であった。
 そしてラティオにとって通常運転であって、今日この日もまさに平穏な日常。
 いつの日か、今日のこの夏の日を思い出して、二人はまた軽口をたたきあうのかもしれない。
 ラティオは何となくその未来を想像してククッと笑った。
 その時にはノクスの肌の研究も出来ているかもしれない。出来ているといい。でもきっと嫌そうな顔だったり文句だったりも受けるのだろう。きっとそうだ。
「ほら、出来たぞ」
「ああ、ありがとう」
 差し出されたコップにはなみなみとスポーツドリンクが注がれていた。
 一口飲めば喉を冷たく潤す。あまり自覚がなかったが、大分喉が渇いていたようだ。体に染み渡るようでとても美味しい。
 ああ、きっといつかこの日を思い出す時には、このほの甘い味も思い出すのだろう。
 そんな事を思いながら、夏の一日が過ぎていく。





■海の上、光の下
 少し遡って、六月。
『ユズリノ』と『シャーマイン』はA.R.O.A.提供のデートを楽しんでいた。
 青く澄んだ海を一台のクルーザーが進む。クルーザーにはユズリノとシャーマインの二人だけ。
「海だー!」
 ユズリノのはしゃいだ声に、操舵しているシャーマインが「さぁ、進路はどうする?」と芝居がかった声をあげる。ユズリノもそれに答えるように「ヨーソロー!」と答える。それに笑いながら頷き、シャーマインはクルーザーを進める。まっすぐ、まっすぐに、沖へと向かって。

「連れて来たかったんだ、クルーザーデート」
 見渡す限り海ばかりになった頃、シャーマインが操舵しながらユズリノに言う。ユズリノはそんなシャーマインがどうにも眩しくカッコよく見えて、つい惚れ惚れと見つめてしまう。すると、シャーマインがユズリノに向かってウィンクをした。ドキリと胸が跳ねるが、それは目的の海域に着いた合図で、クルーザーが緩やかに止まっていく。
 二人で揃って甲板に出れば、すぐにシャーマインが一点を指差してユズリノを呼ぶ。
「あれイルカじゃないか?」
「え、何処?!」
 猫のように反応したユズリノが、目を丸くしてイルカを探し始める。
 シャーマインにとっては予想通りの可愛いリアクション。必死に探すユズリノに嬉しくなってつい笑みがこぼれてしまう。
「イルカ……んー? 何処に……?」
「おっと、ただの白波だったか」
 間違えた! とわざとらしく両手を広げるシャーマインを見て、ユズリノはからかわれたのだと気付いて抗議する。
「必死に探したのに……!」
 口を尖らせながら言ってじっとねめつける。抗議だ。抗議しているのだ。それはわかるが、それすらも可愛い。
「ははは! すまん」
 可愛さに引き寄せられるように、シャーマインはユズリノを抱き寄せてそのおでこに軽くキスをする。
「シャミィ!」
 突然の行為に驚いたユズリノが更なる抗議の声をあげる。だがその声音には驚きと恥ずかしさとそして嬉しさが混ざっていて、とても抗議の声には聞こえなかった。
 それがわかったから、シャーマインは「すまんすまん」と謝るのだが、その声はやはり笑っていた。

「よし、晩御飯釣るぞー!」
 さて、沖まで来て何をするのかと言えば、釣りである。
「ん、大物か……?!」
「あ、引いてる引いてる! シャミィ頑張って!」
「任せろ! と、ム……ッ」
 暴れる魚影が見える。大物だ。二人のボルテージが自然と高まる。シャーマインが釣竿を操る。ユズリノがタモを構える。もう少し、もう少し……。
「あ!」
 と、そこで針が外れて魚が逃げてしまった。
「…………」
 しばし、二人の間に沈黙が訪れ、そして。
「逃げられたー!」
「やられたなー!」
 弾けた様に笑いあった。

 釣りを楽しみ夕方になれば、二人はクルーザーの中にあるキッチンへと移動する。
 手元にある小ぶりの魚をさばいていくのはユズリノ。シャーマインは調理の手伝いだ。
「あの大物釣りたかったなぁ」
 あの後釣れた魚は逃した魚と比べれば大分小さかったが、それでも二人で食べるには充分な大きさだった。
「あっちがウワテだったのさ」
「ふふ、そうだね」
 笑いあいながら調理を進めていると、シャーマインが背後からユズリノの手にするりと指を絡めた。
 突然の事にユズリノはビクリと体を震わせた。
「どうしたの?」
 問うユズリノの頬は赤く染まっている。その反応にシャーマインの頬が緩む。
「……ずっと思ってた。料理してるリノの指、色っぽいって……迷いが吹っ切れたら抑えが利かなくなったな」
 言って、シャーマインはユズリノの首筋へリップ音を立てながらキスをする。
 その告白に、好意に、ユズリノは頬だけでなく顔全体を真っ赤にさせてしまう。全身が心臓になったかのように鼓動がうるさい。けれどこの熱も音も心地良く感じてしまって何も言えない。
「嫌か?」
 黙ってしまったユズリノに耳元で囁けば、ユズリノは小刻みに首を横に振って「ううん」と小さく言う。そして、顔を赤くしたままシャーマインの方を向いて上目遣いで見つめる。
 その様子は、シャーマインの理性を吹き飛ばすのに容易く。
「リノ……」
 シャーマインはユズリノを抱きしめながらその唇にキスを落とす。
 その熱のこもったキスを受けながら、ユズリノは泣きそうだった。シャーマインとの心身の距離が望んでいたものに到達した気がして。その奇跡が嬉しくて。
「シャミィ」
 唇が離れた一瞬の隙に名前を呼ぶと、シャーマインはさらにキスを降らせる。深く深く。
 ユズリノはそれを受け入れ、応えるようにシャーマインを強く抱きしめ返した。

 さて、ディナーは結果として大分遅くなった。けれどそのことがかえってロマンティックな状況を生み出すこととなる。
 日はすっかり落ちて満天の星空が広がっている。二人は甲板で空を見上げながら美味しい魚料理を堪能する。
「……また行きたいね、お祭り」
 数え切れないほどの瞬く星が、いつか見たタブロスの花火を思い出させる。その事にシャーマインも気付いて優しく微笑む。
「行けるさ」
 咲いては散り、散ってはまた咲いた色とりどりの光たち。二人で並んで見たその光景を、ずっと見ていたいと思った。今、違う光の下でその願いが叶っている。
 微笑み合いながらワイングラスを傾ける。綺麗に鳴った乾杯の音は、星を散らしたような音だった。






■いかなる時でもいかなる場所でもあなたと共に
「シュン、結婚しましょう!」
 突撃! 隣の私生活! と何かの番組を彷彿とさせる勢いで『ネカット・グラキエス』は『俊・ブルックス』の部屋へとゲーム機を持って突撃してきた。
 ぽかんとフリーズしたのは当然ながら俊である。
 突然来た事への驚きと言われた内容による脳の緊急停止。時間にして数秒。されど数秒。はきはきとしたプロポーズの後には完全なる沈黙が訪れ。
 そして始まる脳の再起動。
「はああああああ!?」
 顔を盛大に赤くした俊は、裏返りかけた声で叫んだ。

「……ゲームの話なら最初からそう言ってくれ……」
「早とちりさせちゃってすみません」
 そんな会話をしながら、俊用に買って来たらしい携帯ゲーム機を使い、とあるゲームに新規のキャラクターを登録していく。
「でもこの夫婦限定特別クエストにどうしてもチャレンジしたくて」
 そこに行くまでは手厚くサポートします、と力強くネカットは言う。
「よし、出来たぞ。何から始めればいい?」
「きましたね、じゃあまずはキャラ育成をしていきましょうか」
 そして始まる恐ろしいまでの集中育成。
 今までの経験を生かした素晴らしいアドバイス、効率のよすぎる強引な攻略と強化。
「あ、ネカ、ちょっとここ、ここの攻略!」
「任せてください! この圧倒的旦那力を見よー!」
「何だ『圧倒的旦那力』って!」
 パワーレベリングにつぐパワーレベリングにより、気がつけばあっという間にそれなりの強さに成長したキャラクターが生まれた。
「本当は自分で好きなように育てていく楽しさとかっていうのもあるんですけどね。今回はまぁ特別ということで。じゃあ……結婚しましょう!」
「え?! あ、おう」
 再びのプロポーズに一瞬戸惑って、けれど今度はすぐにゲームの事だと理解して承諾する。それにしてもちょっと心臓に悪い。

 休憩無しで続けた二人は結婚イベントに到達した。目標まであと少しだ。
「結婚イベントは演出が派手で凝ってますね」
「ゲーム内とはいえ、他のプレイヤーに祝福されるとくすぐったいな」
 実写と見紛う程の美しいステンドグラスの背景、画面中に舞う華やかな花吹雪と紙吹雪、流れるクラシカルで明るいBGM、他のプレイヤー達の様々な祝辞。
 それはまるで現実の結婚式のようで。
「ふふっ、幸せです」
 夫婦限定特別クエストに参加するのに、その相手が俊でなければならない理由などない。ゲームの中でそれなりに交流をしているプレイヤー達へ誘いをかければ、誰かしらは快く了解してくれただろう。
 それでも。
(ゲームでもやっぱりシュン以外の人とはしたくなかったですし)
 それが画面越しの光景でキャラクターというアバターであろうとも、隣に立って一緒に進む人は、他の誰でもなくただ一人がいい。

「さて、限定クエストですよ」
 夫婦限定特別クエストと銘打つだけあって、このクエストに参加するプレイヤーは結婚イベントで貰えた婚礼衣装を着用しなければ参加する事ができないようだった。
 まるでさっきの結婚イベントの続きのようなキャラクターを見ていると、何だか懐かしい思い出が甦る。
「そういえば、初めての任務でも婚礼衣装で迷路に行きましたよね」
「このダンジョン、確かにあの時の迷路にちょっと似てるかもな」
 広大な庭園にあった生け垣の迷路。二人はそこへ特殊な素材の婚礼衣装を纏ってゴールを目指したのだった。途中、水鉄砲により衣装を溶かされながら。
(あの時……)
 二人は婚礼衣装と言っても、それぞれタキシードとウェディングドレスだった。俊はタキシードで、ネカットはウェディングドレス。
 にもかかわらず、少し水で溶かされたウェディングドレス姿のネカットは、軽々と俊をお姫様抱っこして一部のエリアを攻略したのだった。
「シュンのタキシード姿、とても似合ってました」
 お姫様抱っこされた動揺と恥ずかしさで顔を赤くさせた事も思い出していた俊は、ネカットの言葉を素直に喜べない。
「それに初任務とは思えないくらい息が合っていたと思いません?」
 けれど、続くネカットの言葉には素直に「そうだな」と頷いた。
 その場で決めた作戦と役割。ネカットが囮と誘導で、シュンが索敵。それは思いの外上手く嵌っていた。
「初任務があれはちょっと、いやかなり恥ずかしかったけど、今となってはいい思い出かな?」
 懐かしい始まりを振り返り俊は笑う。ネカットも同じような笑顔になる。
「恥じらう姿も可愛かったです」
「それは忘れろ」

「やったー! クリアです!」
 無事に夫婦限定特別クエストはクリアされた。
 ネカットは俊の両手を取りぶんぶんと盛大なハンドシェイクをする。俊も達成感と興奮で「やったな!」と喜んでいる。
「あ、あとやっぱり結婚しましょう、もちろんリアルで!」
「え? あ、お、おう」
 三度のプロポーズに一瞬戸惑って、けれど気分が高揚していた俊は流されるように承諾する。その意味をしっかりと理解した時にはもう遅い。
(……勢いでOKしてしまった……)
 なんかもっとこう、別に夢見ていたわけではないがもうちょっとあの、雰囲気とか、タイミングとか……。
 そんな事を思いながらネカットを見れば、そこにあるのは本当に嬉しそうな全開の笑顔。
 俊はなんだか気が抜けて小さく声に出して笑う。二人で笑いあう。
 勢いでOKしてしまったけれど、それをキャンセルする事はなかった。



依頼結果:大成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 青ネコ
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 男性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 4
報酬 なし
リリース日 07月29日
出発日 08月04日 00:00
予定納品日 08月14日

参加者

会議室

  • [3]俊・ブルックス

    2018/08/03-21:12 

    俊・ブルックスと精霊のネカだ。よろしく。

    俺達もかれこれ4年くらいか?
    色々あったなぁ。本当に、色々…(数々のトラウマ的出来事を思い出し)
    いやいや駄目だ。平穏、平穏…平穏って何だっけ……

  • [2]ユズリノ

    2018/08/03-16:53 

    ユズリノとシャーマインだ。よろしく。
    念願が叶う!
    機会をありがとうGMさん!!

  • やあ、ラティオ・ウィーウェレとノクスだ。
    よろしくお願いするよ。

    結構最近ウィンクルムになった気がしていたけど。
    ウィンクルムになってから、丸っと2年は経っていたんだねえ。気が付かなかったよ。


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