青い海の誘い。水族館へ行こう!(夕季 麗野 マスター) 【難易度:普通】

プロローグ

 今回は首都・タブロスの新テーマパーク『マリン・ミュージアム』のご案内をさせていただきたいと思います。
入場料は300ジェールです。

以下、簡単に館内のご説明をさせていただきます。

●水族館
 当館のメインは、なんと言っても『360度パノラマ水槽』です。
上下、左右、どこを眺めてもガラス張りの水槽!
それがトンネル状にずっと続いています。
まるで海の中を散歩しているかのような、ロマンチックなひとときを体感できますよ。
色とりどりの魚と、イルカが頭上を自由に泳ぎまわる様を、恋人と一緒にゆったり眺めながら歩いて下さい。
 
●イルカ&シャチのショー
 当館のメイン・イベントです。
13時・15時・17時に、屋外のプールで計三回行われています。
イルカの可愛らしい芸は勿論のこと、シャチの大迫力ジャンプは見ごたえも抜群。
最前列に座ると水しぶきが飛んできますので、注意して下さいね。
また、プールめがけて観客が輪っか(リング)を投げて、イルカがそれをキャッチするという参加型イベントも用意されていますので、恋人と仲良く挑戦してみてはいかがでしょう?

●ペンギンと記念撮影
 大人気のペンギンコーナーでは、11時と15時の二回、ペンギンの「ポン太」君と記念写真が取れます。
撮影代は1000ジェールです。
人気イベントの為、順番待ちになりますが、待ち時間は恋人と楽しくおしゃべりしたり、のびのび歩き回るペンギンたちを観察して過ごして下さい。
二人でポン太君と撮った写真は、素敵な思い出の一枚になりそうですね。

●レストラン「ブルー・オーシャン」
 当館で一番人気のレストランです。
中でもマグロカツカレー(180ジェール)は、ここでしか食べられないメニューなので、是非一度ご賞味ください。
お昼時、夕食時は混雑が予想されますが、簡単な軽食50ジェールから(サンドイッチ、パンケーキ、アイスクリームなど、飲み物も一通りご提供可能です……)もございますので、歩きつかれたら休憩に利用するのもお勧めです。
 セルフサービスですので、食べ終わったトレイを片付けるのはよろしくお願いします。

その他、光るクラゲ水槽や、エイやネコザメに触れる体感コーナーなどもございます。
サメと聞くと怖いかもしれませんが、大人しい小型のサメですし、エイは毒を抜いてあるので安心です。
ただし、触る前と後は手をよく洗ってくださいね。
ネコザメは、優しく背中を撫でるように触りましょう。
不思議な肌ざわりと感触を楽しめること間違いなしです。
念のため。エイやサメの尻尾をつかんだり、乱暴にしてはいけませんよ。

※当館の営業時間は朝10時から夜の8時までです。

 さあ、見所盛りだくさんの水族館で、あなたは恋人とどんな時間を過ごしますか?

解説

水族館と言えば、夢と憧れが詰まったデートの定番スポット!
という事で、皆様の理想の水族館デートプランをご自由にお考えください。

楽しいひと時を過ごせますように……。




ゲームマスターより

初めましての方は初めまして! 
二回目の方がいらっしゃいましたら、こんにちは。
夕季 麗野(ゆき れの)と申します。
今回も前回の薔薇園に引き続き、皆様にデートスポットのご案内をさせていただきました。
水族館では沢山の事ができますし、皆様がどんなデートをしたいと思っているのか、私も興味津々です(*^^*)
素敵なデートのお手伝いが出来るように、精一杯執筆させていただきたいなと思っておりますので、どうぞ宜しくお願い致しますm(__)m

リザルトノベル

◆アクション・プラン

ミサ・フルール(エミリオ・シュトルツ)

  ☆心情
私達の抱える問題は解決したわけではないけれど
またこうして彼と一緒にいられるようになったのは凄く嬉しい。
エミリオと過ごす一秒一秒を大切にしたいの。

すごい…!綺麗!
海の中にいるみたいだね!
(彼に手を握られ優しく微笑む)ふふ、そうだね、こうすれば安心だよね。
ありがとう、エミリオ。

イルカ!イルカさん見たい!
も、もう、そんな意地悪いわないで(赤面)
参加型イベントもあるんだって、一緒にやりたいな。

わ、キャッチしてくれたよ!
凄いね、賢いね、可愛い~!(はしゃぐ)
エミリオって物知りだね。
…?何か言った?(首を傾げ)
(指輪をプレゼントされ)可愛い…!
今日の思い出にぴったりだね、ありがと…っ(キスされ赤面)


豊村 刹那(逆月)
  「気になるのとかあるか?」
初めてだろうし。気になるとこ回った方がいいよな。
「私か? 360度パノラマ水槽かな」
逆月がいいなら、いいけど。

パノラマ水槽:
本当に海の中みたいだ。
通路も思ってたより広い。少しなら立ち止まっても大丈夫か。
「イルカだよ。結構頭がいいんだ」

逆月が楽しそうで(雰囲気が)安心する。(横顔を見上げる
「あ、いや。なんでもない」
ちょ。「今ここでその話題!?」(自制して小声

……期待してなかった訳じゃないけど。割と辛いな、これ。
前も似たようなこと。(少し頬を染める
「ちょ、ちょっと待とう」考えてくれてるのはわかったけど……!
その話は、今日は止めてだな。「水族館見よう、頼む」(赤い顔を片手隠す


レベッカ・ヴェスター(トレイス・エッカート)
  あら、エッカートさんは水族館初めてなの?
それなら見てみたい所とかあるんじゃない?
…相変わらず人任せな反応ね
ま、いいわ。もう慣れた
じゃあ定番所からまわっていきましょ

360度パノラマ水槽へ
綺麗ね、本当に海の中にいるみたい
いいわね、こういうの。幻想的で素敵かも
勉強にはなるんだけど、一気に現実感が…

じゃあ次は…
…だって結構並ぶっていうし、あんまり時間取っちゃ悪いかなって
ちょっと、なによその言い方!
まあ、でもそうね
必要以上に遠慮するのも私らしくないわね

15時のペンギン
ペンギンってなんであんなに可愛いのかしら
ペンギンと一緒に写った写真にご満悦
そう?やっぱり嬉しかったからかしら
ありがとう、気づいてくれて


シャルティ(グルナ・カリエンテ)
  パノラマ水槽とか楽しそうよね
あと、ネコザメ触るのとか良さげじゃない?
光るクラゲとか、
ん? なによ
当たり前でしょこういうのはしっかり楽しまないと
息抜きは必要よ
…あ。ちなみに今言ったところ全部回りたいわ
マジよ

上、左右、どこ見ても水槽なのね…へえ
綺麗な魚ね…! あっグルナ、イルカが
精霊に上を見るように促す
ええ、楽しいわよ

へえ…ネコザメってこういう肌触りなのね…
あんたも触りなさいよ
なんか特徴あるさわり心地よね

光るクラゲっていうからどんな感じかと思ったけど幻想的っていうのかしら…。綺麗ね
そういうもの、みたいよ。光るクラゲだし


シェリー・アトリール(柳楽 源)
  色々な魚が見れそうですね。楽しみです
しかし時間は有限です。どこからまわりましょう?
私は体感コーナーが気になります
はい。触ってみたいです、とても
鮫などに触れる機会は滅多にありませんし

体感コーナーへ一直線
臆す事無く触れてみる
これは…不思議な感触ですね
未知の感触に一瞬ぴくりとしつつも真剣に撫で続け

柳楽は?触らないんですか?
私達、パートナーですよね
同じ気持ちを共有してみるのって、すごく大事な事だと思うんです
何だか可愛いですね
ええ、鮫も可愛いです

一頻り堪能した後はパノラマ水槽
なるほど、確かに海の中を歩いているみたいですね
あ、向こうに綺麗な色の魚がいますよ
ほら、行きましょう
ぐいぐいと腕を引っ張り先へ


●マリン・ミュージアム 午前 パノラマ水槽前 1

 ――『360度パノラマ水槽』は、この水族館の目玉のひとつだ。
左右は勿論のこと、上下どこを見渡してもガラスの水槽に包まれた空間は、来館者に本物の海中を疑似体験させてくれる。
 真剣な表情でパンフレットを見つめているシャルティの様子を、グルナ・カリエンテが横からひょっこり覗き込んだ。
「こういうのは、しっかり楽しまないと」
どうやらシャルティは、時間の許す限り、とことん水族館デートを満喫するつもりらしい。
「マジかよ……」
意気込むシャルティを見たグルナは、やれやれと溜息をついた。
だが、口では色々言いつつも、シャルティの後にきちんと付き添っている。
「あ、グルナ! イルカが泳いでるわ」
「ほお。……結構、近ぇな」
頭上を優雅に泳いでいくイルカの迫力に、シャルティもグルナも暫く魅入られていた。
「本当に楽しそうだな、お前――」
「ええ。楽しいわよ」
(海の生物なんて見て、何が面白いのかと思ってたけど――、しょうがねぇな、付き合ってやるか……)
グルナは、普段は余り見られないシャルティの嬉々とした表情を見つめながら、こっそりとそう思っていたのだった。

***

「へえ……。水族館とは、こうなっているのか」
「エッカートさんは水族館初めてなの?」
レベッカ・ヴェスターとトレイス・エッカートは、「まずは定番から回ろう」とパノラマ水槽前にやって来ていた。
「綺麗ね、本当に海の中にいるみたい……」
レベッカの青い目には、色とりどりの魚が群れをなして泳ぐ姿が映し出されている。
彼女の瞳の中にも、キラキラ光る一つの水槽があるかのようだ。
だが、雰囲気に浸っていたレベッカとは裏腹に――。
「水槽とは、良く出来ているんだな。ああ、あの魚は確か、図鑑にも載っていた。味も美味しいらしい」
トレイスは、冷静な口ぶりで、魚の解説を始めたのだ。これにはレベッカも現実に引き戻されて、小さな溜息をついた。
「どうした?」
「なんでもないわ。じゃあ、次は――」
「気になるなら、ペンギンのほうに行って見たらどうだ?」
「えっ?」
 トレイスは、水槽解説に夢中になっていると思いきや、レベッカの目線が『ペンギンのポン太君と写真撮影』の告知看板を避けている事を、きちんと見抜いていたらしい。
「遠慮するなんて、珍しいな」
「ちょっと……。なによ、その言い方!」
実は、レベッカはペンギンに興味があったものの、待ち時間を気にしてトレイスには言い出せずにいたのだ。
「俺のことは気にしないで、好きなところに行くといい」
 普段は、何事もレベッカに判断を任せてしまうトレイスだが、今回は間違いなく、レベッカを気遣って提案してくれているようだ。
「そうね……。必要以上に遠慮するのも、私らしくないわね」
トレイスのさり気ない思いやりがちょっぴり嬉しかったので、レベッカは素直に頷くことにした。
 こうして二人は、午後からはペンギンと写真撮影をすることに決めたのだった――。

●マリン・ミュージアム 午前 パノラマ水槽前 2

「すごい綺麗! 海の中にいるみたいだね!」
目を輝かせて水槽を見ている天真爛漫なミサ・フルールの姿には、ついつい目を引き寄せられる男性客も多いようだ。 
それに気づいたエミリオ・シュトルツは、紅く鋭い眼差しで周囲を睨みつける。
たとえ視線だけとは言え、愛おしいミサに近づこうとする輩を、エミリオは許せなかった。
「ミサはそそっかしいから、俺が手を繋いでいてあげる」
「ふふ……。ありがとう、エミリオ」
さりげなく手をとって、優しくエスコートしてくれるエミリオに、ミサもにこりと微笑み返した。
「さて、どこから見ようか?」
「イルカ! イルカさん見たい!」
 即答するミサの笑顔には、イルカへの素直な好奇心が見て取れる。
「ミサは、イルカが大好きなんだね……俺よりも好き?」
「も、もう……。そんな意地悪言わないで」
どこか試すような言い方をするエミリオに、ミサはわかりやすく頬を薔薇色に染めた。
それを見たエミリオは、ますます満足そうに、優越すら滲む笑みを浮かべている。
「ミサは、ほんと……可愛いな」
 二人は仲良く手を繋ぎあい、イルカショーを見るために屋外へ向かっていった。

***

「気になるのとかあるか?」
豊村 刹那と逆月は、館内に入ると、二人で行き先を相談していた。
刹那は、水族館が初めての逆月が楽しめるように、彼が気になるところを一通り回ろうと思ったのだ。
だが、逆月は逆月で、初めての場所には不慣れだ。
「刹那は、ないのか」
 特別興味があるものがないなら、刹那の楽しめる場所へ――、そう考えているようだ。
「私か? 360度パノラマ水槽かな」
「なら、その『ぱのらま』とやらにしよう」
「逆月がいいなら、いいけど……」
 お互いがお互いの事を自然と思いやれる二人だからこそ、不思議と考えが似てしまうのかもしれない。
刹那と逆月は、同じ歩幅でゆっくりと、水槽の前へと歩いて行った。

「水の中にも、これほど様々な生き物がいるのだな」
逆月は、興味深そうに水槽の中を泳ぐ魚を見つめている。
小さくて銀色に光る魚も、鮮やかで宝石のような色をした魚も、どれも彼の目に新鮮に映っているようだ。
(逆月も、楽しんでいるみたいだな)
熱心に水槽を観察する逆月の雰囲気を感じた刹那は、ほっと安堵しつつ、自分も海中世界をじっくりと楽しんでいた。
「刹那、あれはなんだ」
ふと立ち止まった逆月は、白いお腹を見せて水中をくるくる回転するイルカを指差して、刹那に問う。
「イルカだよ。結構頭がいいんだ」
「あれが、『しょー』とやらに名のあった生き物か……」
あまり喜怒哀楽を顔に出さない逆月が、嬉々とした表情を浮かべているのが感じられて、刹那が彼の横顔を見つめていると――……。
「どうした?」
「……あ、いや。――なんでもない」
 二人の目と目が、ぱちりと合った。
どこか慌てた態度の刹那を見た逆月は、ふとある事を思い出して、口に出す。
「刹那は、俺を好いていると言うが」
「ちょ……! 今ここでその話題……!?」
 これには、刹那も動揺してしまった。
小声で逆月をたしなめようとするが、一度溢れ出した彼の想いは止まらない。
「同じように刹那を好いているかは、分からぬ。だが……共にいると、胸の内が温かい」
「逆月……」
偽りのない心からの気持ちを吐露する逆月の姿に、刹那の胸はほんの少し、締め付けられるように痛んだ。
「これが同じものであればとも、思う」
「ちょ、ちょっと待って。今日は、水族館を見よう! ……頼むから――」
 真っ直ぐな瞳で刹那を見つめる逆月は、彼女が自分の顔を隠そうとする理由が分からなかったようだ。
「刹那?」
不安そうに一歩刹那に近づいて、至近距離から顔を覗き込もうとしている。
(まったく……。敵わないな……)
自覚ゼロの逆月にひやひやさせられつつも、彼の想いを確認する事が出来たのは、刹那にとっては嬉しかった。
気恥ずかしさで紅潮した頬を片手で覆い隠しながら、刹那は逆月と二人、連れ添って水槽の中を歩いて行った。
 二頭のイルカが、二人の頭上で旋回している。
 それはまるで、刹那と逆月を祝福しているかのように……。

●マリン・ミュージアム 午前 体感コーナー

 シェリー・アトリールと柳楽 源は、話し合った末、まず『ネコザメやエイを触れる体感コーナー』に向かう事にした。
「体感って……、触るやつだよね。大丈夫?」
源は、シェリーが怖がったりするのではないかと、気遣いの言葉をかける。
「はい。触ってみたいです、とても」
 だが、シェリーは真面目で、探究心も持ち合わせている少女。未知の体験を前に、心を躍らせているようだ。
「そうだね。アトリールさんはそういうの好きそうだよね」
シェリーの微笑みを見守りながら、源も彼女に付き添って体感コーナーに一直線に向かった。

 体感コーナー前には手を洗うスペースも用意されており、小さな子供から大人まで、手を洗って水槽前に並ぶ。
 シェリーも綺麗に手を洗浄してから、意気揚々と水槽前に立った。ゆったり泳ぐネコザメの背中に指を伸ばし、優しく撫でるように触れていく。
「ひゃ……?」
「大丈夫?」
一瞬、思ったよりざらりとした皮膚の感触に驚いたのか、シェリーが小さな声を上げた。後ろで様子を見守っていた源が、少し心配そうにシェリーを覗き込む。
「これは……、不思議な感触ですね……」
「そうか、よかった。お気に召したようだ」
源を振り返ったシェリーは、満足そうな笑顔だ。
彼女が活き活きとしている姿を見るだけで、源の胸の奥が温かくなる気がした。
「柳楽は? 触らないんですか?」
「いや……、俺は別に……」
「パートナー同士、同じ気持ちを共有してみるのって、すごく大事な事だと思うんです」
「……そう、かな」
ネコザメを目の前に、柔らかく微笑みかけるシェリーに押し切られて、源も覚悟が決まったようだ。
「じゃあ、俺も。折角だし、記念に触っておこうか」
 どんな事でもパートナーとして共有し、受け止め合って成長していく。
それはシェリーからすれば、ごく当たり前の考え方なのかもしれない。
その証拠に、緊張しつつサメに手を伸ばす源の姿を、シェリーは微笑ましそうに見つめていた。
「鮫も、案外愛嬌ある顔しているよね」
源は、最初こそ恐る恐るだったものの、次第にネコザメの顔をじっくり眺める余裕が生まれたようだ。
今ではすっかり優しい表情を浮かべて、ネコザメの背びれから尾にかけてを撫でてやっている。
「ええ。鮫も、可愛いです」
「……も?」
 不思議そうに聞き返す源には、シェリーが楽しそうに笑う本当の意味は、良く分かっていなかったらしい――。

「さあ、次はパノラマ水槽に行きましょう」
体験コーナーを満喫した二人は、今度は360度パノラマ水槽で、海中散歩を味わう事に決めた。
「アトリールさん。そんなに引っ張らなくても、ちゃんと付いていくから」
シェリーは、源の腕をつかんでぐいぐいと誘導していく。
(まあ……、楽しそうで何より、かな)
 服の袖を引っ張られ、ちょっとおぼつかない足取りになりながらも、源はシェリーと過ごした今日の事を、ずっと覚えていたいと思ったのだった。
 二人の心がまた一歩着実に近づいた、この水族館での一日を、いつまでも――。

***

一方、シェリーたちがパノラマ水槽へ向かった頃――。
「へえ……。ネコザメって、こういう肌触りなのね……」
シャルティとグルナも、『体感コーナー』前へとやって来た。
 水族館制覇を目指すシャルティは、余り乗り気でないグルナを引っ張って、水槽の前に連れて行ったのだ。
「これ、触るのかよ。――マジか」
 だが、シャルティにじっと目で催促されては、グルナも断れない。
とりあえず、手前で大人しく休んでいるネコザメの背を、指先でそっと撫でてみた。
「なんか、良くわかんねぇ感じだ……。しかし、ぶっさいくだな、ネコザメって。どの辺りがネコなんだ?」
「特徴ある感触よね……」
二人は、ネコと呼ぶにはちょっとシュールすぎるネコザメの顔を観察しながら、同じ感想を抱きあったのだった。

「光るクラゲって、馴染みねぇからな……」
 サメ・エイ体験を終えた二人は、その足で光るクラゲ水槽に向かった。
クラゲ水槽のコーナーは照明も薄暗いため、細長い円柱状の水槽の中をふわふわ漂うクラゲたちは、星空に煌く星のようにも見える。青白くて、柔らかい光だった。
「綺麗ね……」
シャルティは、クラゲが放つ光を見つめて、小さく呟いた。彼女の瞳にもグルナの瞳にも、同じ生命の輝きが映っている。
 やがて、水槽前に立つ二人の距離は、自然に近づいていった。
穏やかな光が、お互いの想いを照らし合わせ、繋ぎ合わせるように。
二人は身を寄せ合ったまま、じっと水槽の光を覗き込んでいた――。

●マリン・ミュージアム 午後 ペンギンと記念撮影へ

 レベッカとトレイスは、15時からの『ペンギンのポン太君と記念撮影』の為、コーナーで待つ列に加わっていた。
待ち時間は、コーナーの周りで自由に歩き回る他のペンギンたちを眺めたり、飼育員さんの解説を聞く事が出来るので、二人も退屈することなく過ごす事が出来た。
「ペンギンって、なんであんなに可愛いのかしら……」
トレイスは、これまで見たことのないようなレベッカのうきうきした素振りを、新鮮な気持ちで見つめていた。
「では、次の方どうぞー」
 ――待つこと30分。いよいよ、二人の番だ。
カメラマンに声をかけられた二人は、仲良くペンギンのポン太を挟むようにして並んだ。
「おっ、さわやかなカップルさんですね! はい、撮りますよー、チーズ!」
 こうして出来上がった写真は、満面の笑顔のレベッカとトレイス、そしておすましポーズをしているぽん太君の、可愛くて味のあるスリーショットになった。
「今までで、一番良い笑顔な気がするな」
トレイスも、出来上がった写真を覗いて、口元を緩ませる。
「やっぱり嬉しかったからかしら……。ありがとう、気づいてくれて」
大事そうに写真を握りしめたレベッカは、トレイスにお礼を言った。
 二人は、今日の素敵な思い出を詰めこんだ写真とお互いの笑顔の記憶を、ずっと大切にしようと決めたのだった。

●マリン・ミュージアム 午後 イルカショーの二人

「ねぇ、エミリオ。見てくれた? 私の投げた輪、キャッチしてくれたよ!」
 イルカショーを見物していたミサとエミリオは、ショーにゲスト参加して、大いに会場を盛り上げていた。
プール目がけて客席から『リング』を投げ、それをイルカがキャッチすると言う輪投げ芸だが、子供から大人まで楽しめる人気の演目だ。
 ミサの隣に座っていたエミリオの瞳には、イルカの姿よりもミサのキラキラとした笑顔だけが、色鮮やかに映されていたのだった。

***

「イルカって一番心が傷ついている人の傍に寄ってくるんだって。……まるで、ミサみたいだよね」
ショーが終わり、人がまばらになったプール前の客席で、ぽつりとエミリオが呟いた。
「……? 何か言った?」
 その声に気づいたミサが、そっとエミリオのほうを振り返ったとき――。
「ミサ、手を出してごらん」
「え……?」
エミリオが、ミサの華奢な薬指にそっと、『ピンクドルフィン』の指輪をはめたのだった。
「今日という思い出がいつまでも色あせないように、願いを込めて……」
姫に永久の忠誠を誓う王子のように、エミリオの誓いをこめた口づけが、ミサの白い指に降りる。
「可愛い……! エミリオ、ありがと……っ」
イルカショーの出来事をそのまま形にしたような、愛らしいイルカの指輪を受け取ったミサは、感激で両目を潤ませながら、エミリオの頬にそっとお礼のキスを返した。
 
 プールからは、二人の幸せな恋人の姿を引き立てるかのように、イルカたちの美しい歌声の賛辞が、いつまでも響いていた。

 こうして、ウィンクルムたちがそれぞれのデートを楽しんだマリン・ミュージアムの一日は、静かに幕を閉じていく。 

――今日の思い出が、それぞれのウィンクルム達の心に、どうかいつまでも残りますように。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


エピソード情報

マスター 夕季 麗野
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ロマンス
エピソードタイプ ショート
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用可
難易度 普通
参加費 1,000ハートコイン
参加人数 5 / 3 ~ 5
報酬 なし
リリース日 06月02日
出発日 06月07日 00:00
予定納品日 06月17日

参加者

会議室

  • [4]シャルティ

    2016/06/06-23:07 

    シャルティよ。よろしく。
    気になるところが多くて迷う、わね…
    ネコザメは触ってみたいわね。

  • シェリーです。よろしくお願いします。
    水族館、楽しみですね。

  • 私はレベッカ。こちらはエッカートさん。
    どうぞよろしく。
    水族館なんて何年ぶりかしら…。
    どうやってまわろうか悩むわね。

  • [1]豊村 刹那

    2016/06/05-08:21 

    豊村刹那と、逆月だ。
    よろしくな。

    逆月が水族館に行くのは初めてだろうし。
    どういう風に回ろうかな。
    『360度パノラマ水槽』は見たいけど。


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