白の書(真崎 華凪 マスター) 【難易度:とても簡単】

プロローグ

今日は、君にとって特別な日になるだろうか。
今日は、僕にとって特別な日になるだろうか。

出会った瞬間から、ずっと特別だったけれど。
いつしか当たり前になっていたこと。

君が隣にいることは奇蹟に等しい。
そんな風に考えるようになったのは、いつからだっただろう。
星の数ほどある出会いの中で、君との縁を結べたのは偶然だろうか。

考えて、考えて――でも、答えなんてどこにもない。
偶然も必然も、運命ですらもが関係ない。
ただ。

君が生まれたことに感謝をする。
君と出会えたことに感謝をする。
君の隣にいる日常に感謝をする。

ああ、なんて愛しい日々。

どんな言葉で君を祝おうか。
どんな顔で君を見つめようか。
どんな笑顔を見せてくれるだろう。

幾千の愛しさを折り重ねて、向かい合う。
ひとつの想いを込めて、伝えたい言葉がある。

ねえ、聞いてくれるかい?

愛を紡ぐには早すぎて。
恋をするほど切なくて。
守るほど愛しさは募るのに。
守られてはじめて気づく。

――君が大切だよ。

一緒に泣いて、一緒に笑っていこう。
どんな未来も君と創っていく。
不可能が希望へと変わりますように。
希望が、願いを届けますように。

両手に溢れるほどの幸せが訪れますように。
ずっと、側にいられますように――。

解説

『特別な日』がテーマであれば、どのようなプランでも大丈夫です。

誕生日をお祝いする。
出会った日を祝う。
もしかしたら、恋人になった日かも。
今日が特別な日になるかもしれません。

どんな特別な日にしましょうか。


アレンジ、アドリブと言った要素が多大に含まれると思われます。
寛容に受け入れて頂けますと幸いです……!
絶対にこれはしないで! と言うものがございましたら、文字数を割いていただくことは大変心苦しいですが、ご記入ください。
放っておくと勢いで泣き出しますので。主に精霊さんが……!


プレゼントを一つ用意していただきます。
そのため、少し高価ではありますが1000Jrの購入代が必要です。
お返しプレゼントをご用意される場合は、二つ分で2000Jrです。

ゲームマスターより

ウィンクルムさんの幸せをお手伝いしたい。
それが、自分の目標の一つです。

プランを頂き、とても幸せな気持ちでいつも満たされています。
お言葉を頂き、自分はなんて幸せ者なんだろうと感じることばかりです。

本当に、いつもありがとうございます。
どうか、皆様が幸せでありますように。

リザルトノベル

◆アクション・プラン

かのん(天藍)

  プレゼント
野外で活動する事が多い天藍へアウトドア向けの多機能腕時計

指輪?
…椿園で天藍がくれた言葉で私は十分ですけれど…

天藍に言われ、更に続く虫除けみたいな物だの言葉に苦笑を浮かべそれならと
遠慮する自分が受け取りやすいようにと、天藍の心遣いに感謝

素敵な物ばかりですね
でも、私は天藍が選んでくれた物が良いです

天藍、私から指輪のお返しをさせてください
約束を形にしていつも身に付けていて欲しいと思うのは、私も同じなんです

自宅にて
これからの未来、2人幸せに過ごせるよう願いを込めて贈り物交換
この前は嬉しさが先に立って言葉にならなかったのですけど
(椿園で天藍の「必ず幸せにする」に対し)私も天藍を幸せにしたいです


リヴィエラ(ロジェ)
  リヴィエラ:

(家で、ロジェに指輪を嵌めて貰い)
はわわ…なんて綺麗なアクアマリン…
ロジェ…この指輪は…?

え、今日は『私達が初めて出会った特別な日』…?
そう…確かロジェが私をお屋敷から攫ってくださった日でしたね。
いいえ、私、嬉しいんです。
私、あのままお屋敷にいたら、外の世界を知らない只のお人形でしたもの。
ロジェが、私の世界に色をつけてくださったんです。
おじさまのお陰で学校にも通えて、ロジェと一緒にいられて
私、今の生活がとても幸せです。

(戻ってこないロジェを心配して、外へ。紙を覗き見る)

(むせび泣きながら)
い、嫌…どうして…? 嫌ぁぁぁッ!
ロジェが殺されちゃう! 正夢になっちゃう! 嫌ぁぁぁッ!


秋野 空(ジュニール カステルブランチ)
  精霊との契約は1年前の今日
懐かしい満開の桜の下
契約後の帰り道にこの樹の下でこれからの話をした
あの時、穏やかに笑う精霊と雪のように舞う花弁にデジャヴと親近感を覚えた


気乗りしない午後
待ち合わせ場所へ

差し出される袋
思考が、息が、止まる

精霊の言葉と声と表情に
初めて辛く苦しいのは自分だけじゃないと気付く
あの過去を精霊も見たのだから当たり前だ
彼の衝撃も如何ばかりだったか
それでも自分を遠ざけるどころか、変わらず傍にいて
こうして押し付けることなく背中を押してくれる

決めるのも選ぶのも自分

『その時』はまだ先かもしれないけれど
私はもうひとりじゃないから
震える手で受け取り
精いっぱいの笑顔を贈ろう

ありがとう、ジューン



 寝覚めは最悪だった。
 最近は上手く眠れない夜が続いている。
 瓶を覗いた日から、しばしば夢に見るようになったあの時の映像。
 午後からはジュニール カステルブランチと会う約束をしている。
 それなのに、こんな夢で目が覚める。
(……気乗りしないな……)
 ただでさえ、午後の約束に前向きになれないのに。
 それでも、約束をしたのだ。反故にするわけにはいかない。
 まずは服を選ぶところからだ。
 クローゼットを開け、黒いカーディガンに目を止める。
 いつもなら、迷わず手にしたその色は、ここ最近はまるで身に着けていない。
 代わりに白いカーディガンを羽織る。
 少しだけ、居心地が良かった。
 外はさわやかな空模様。小さく風が凪いで、木々を揺らし、花びらが舞う。
 一年前の今日。
 ジュニールと出会って、契約をした日。
 忘れられない日となった、一年の中にある当たり前の一日。
 契約のあと、桜の木の下で、これからのことを話した。
 その時、ジュニールが見せる笑顔に、見上げた横顔に、懐かしいようなデジャヴを見た。
 この笑顔を知っている気がする。
 この横顔を見た気がする。
 けれど、秋野 空には初対面の相手。知っているはずがない。誰の面影を重ねたのだろう。
 どんな記憶が重なったのだろう。
 今も時々考えてみるが、明確な答えは見つかっていない。
 鏡の前に立つ。
 そこに映る自分は、なんと沈鬱な表情をしているのだろう。
 鏡に触れて、その中の自分を捕まえたかった。
(ひどい顔……)
 こんな顔で会って、ジュニールは笑ってくれるのだろうか。
 楽しめるのだろうか。
 ジュニールならきっと笑ってくれるだろうけれど。
 せめて、もう少しくらい――。
 準備を終えても、足が外に向かわない。
 知ってしまった真実はあまりに恐ろしい。
 知らなかった兄の、狂気に染まった顔を思い出すと、今でもぞっとする。
 震えが止まらなくなる。泣いてしまいそうになる。夢でまで、追われてしまう。
 ジュニールが傍にいるときはいい。不安定な心も、ジュニールの笑顔を見れば安らいだから。
 あの笑顔を失ったらと思うと怖い。
 彼がいなくなったらと思うと辛い。
 いつか、ジュニールが空を遠ざけてしまうかもしれない。
 空の過去を知って、ジュニールが嫌悪したとしたら――。
(どうしよう。怖い……)
 また一人になる。
 また……、一人。
 一人で本を読んで、一人でパズルを解いて、一人で景色を眺める。
 二人で見たものが孤独に上書きをされる瞬間が、いつか訪れる。色を灯した世界が、再び灰色になる。
 鏡の中の空が、泣いている。
 はっと気付いて袖で涙を拭く。
 いつから一人がこんなに怖くなったのだろう。
 頭の中は兄のことでいっぱいのはずなのに、目を閉じて真っ先に想うのはジュニールのことばかりだ。
 混乱する。
 思考と感情が別の生き物のようだ。
 涙が止まらない。
 拭っても溢れて、溢れるから拭って。漏れそうになる嗚咽を必死に噛み殺す。
(ジューン……)
 今日は会いたくない。でも――。
 会いたい。

 *

 時間より早く着いたジュニールは、桜を見上げた。
 晴天に舞う花びらは、まるで雪のようだ。
 冬の終わりを告げているはずなのに、なぜか泣きたくなるほど切ない。
 自分の左手に揺れる革のブレスレットに触れて、愛おしむように口付ける。
 ここのところ、ずっと塞ぎ込んでいる空を誘ったことに、一抹の不安はあった。
 博物館で見た空の過去は衝撃的で、当事者でもないのに胸が痛んだ。
 その場に自分がいなかったからこその怒りもあった。
 空の前ではいつも通りの平静を装って、胸の内で怒りに震えている。
 ふとした瞬間、狂気に染まってしまいそうだ。
 けれど、そんな姿を空に知られたら、きっと怯えさせてしまう。
 ――あの男と同じになってしまう。
 どれほど望んでいても、空の心を無理やり引き寄せてはいけない。自分で選び、決断することこそが空のためだと信じている。
 それが今、ジュニールにできる精一杯の愛し方だ。
 手にした紙袋に、一つの願いを掛ける。
 ――ソラの往く道が、光で溢れますように。
 些細な願いかも知れない。
 それでも、願わずにはいられない。
 誰かが幸せを願えば、それは真実になる。
 ――だから、俺はソラの幸せを願い続けます。
 極彩色に見た空の笑顔は眩しいほど晴れやかで、この人の傍らにいられることが幸せだと思った。
 絶望の渦中にいながら、それでも自分に縋ってくれることが、不謹慎だとは思ったが、嬉しかった。
 これまでの時間の積み重ねが、ジュニールに理性を保たせている。
 ぬるま湯に浸かったような生き方を続けてきていたら、ジュニールは空を支える自信を持てなかったかもしれない。
 今ある強さを与えてくれたのは空。
 それは、今の空を支えるための力。
 だから、その力を空に還すのは至極当たり前のこと。
 ――ソラ。あなたは一人じゃない。
 梢が揺れる。
 静かに流れる風が運ぶ、甘やかな香り。
「お待たせしてすみません」
 待ち侘びた声に、ゆっくりと視線を移す。
 ――ああ、なんて愛らしい……。
 まるで花の妖精のようだ。
 白を基調にまとめられた服は、以前よりずっと空に似合っている。
 そういえば――。
 以前までの空の服装は、あの男にどこか似ていた気がする。
 少なからず、空の心に変化が生じている。前向きに。過去を切り離したいと、心の片隅では思っている。
 ――ソラの背中を押せるように……。
 受け取ってもらえるかと、ずっと不安があった。けれど、今の空を見て、小さな希望が垣間見える。
 ジュニールは空に向けて笑顔を作った。
 いつも時間に正確な空が待ち合わせ時間を少しだけ過ぎている。珍しい、と思いながらも、一歩ずつ近づいて、遅れたその理由を悟る。
 だから。
「俺も今来たところです」
 なんて嘘を。
 目元を赤くしていれば、最近の空の心情を理解していれば、それがどういう理由によるものかなど容易に想像できる。
「少し歩きましょう。桜が綺麗ですよ」
 どこか当てがあるわけではない。穏やかな風と、温かな日差しを感じて歩くだけ。それで十分だと思った。
 一年前より見える色は増えただろうか。
 数歩後ろを歩く空を振り返って、伏し目がちに俯く姿に、そっと視線を外す。
 いつもなら手を差し出す。空に触れていたかったから。
 けれど今日だけは、それをしてはいけない気がした。
 手を取って、抱きしめて、大丈夫だと伝えれば、空には伝わる。
 過剰な重石として。
 今、空の世界はおそらく灰色ですらない。色がなく、光もない、黒よりも深い闇。
 手を差し伸べてはいけない。
 いつか、空がジュニールの存在に気付き、自分から取ってくれる日を待つ。今はそれでいい。
「覚えていますか、ソラ」
 歩幅を合せて、ふわりと舞う花びらを懐かしむように見る。
「俺たちが契約をした日も、ちょうど春でしたよね」
 一年前、木漏れ日の中に見た空はとても美しかった。
 神秘的で、繊細で、聡明で。
 知ってはいたけれど、改めてそう思った。
 空と契約できる喜びに打ち震えた。
 一年後の今、同じ場所で見た空は、とても儚かった。
 壊れてしまいそうで、消えてしまいそうで。
 それでも、空の輝きはあの日から何の遜色もない。
「今日でしたよね」
 空が言う。
「覚えていてくれたんですね」
「忘れたりしません。ジューンと契約した日を、忘れるはずがありません」
 表情はまだ曇ったまま。
 あまり視線が合わないのは、空が視線を上げないからと言うのもあるが、ジュニールも意図的に外しているからだ。
 目が合えばきっと抱き締めてしまう。衝動が理性に追い付くまで、あと少し。
「嬉しいです、ソラ」
 憶えていてくれたことが。
 偶然が、運命に変わったことが。
 空の瞳が、ゆっくりとジュニールの姿を捕らえた。
「ジューン……あの……」
「なんですか、ソラ?」
「え……、っと……」
 何かを言いたいわけではないことは分かった。
 それでも尋ね返したのは、空が何かを探しているように思えたからだ。
 その道標になれるなら、こんなに嬉しいことはない。
「ごめんなさい、その……」
「ソラ。謝らないでください」
「でも」
「感謝された方が俺は嬉しいです」
 柔らかく微笑む。
「今日は契約をした記念の日なので、ソラにプレゼントを用意しました」
「プレゼント?」
 紙袋を差し出すと、空の表情が強張った。
 空には見覚えのあるもののはずだ。
 クリスマスに贈ってくれた革のブレスレット。それと同じもの、同じ箱を同じ紙袋で目の前にあるのだから。
「これは……」
「俺の我儘かもしれません」
 そう、断って。
「できれば……俺と同じものを、お揃いで着けていただけませんか」
 それは限りない譲歩であり、果てしない賭けでもあった。
「今すぐに、とは言いません」
 本当ならば引き千切って奪ってしまいたい、空の心を縛る枷。あの男の影――。
「いつか、ソラがそうしたいと思った時でいいのです」
 届いてほしい願い。
 切実に、想う。
 ――ソラを守りたい。
 その笑顔を曇らせたりはしない。
 知らず、震える手にひんやりとした指先が触れる。
「……ジューン……」
 いつもより濡れた瞳が、ジュニールを見つめる。
「私は、ずっと自分のことばかり考えていたようです」
 ずっと苦しかった。
 ずっと、辛かった。
 そんな空の痛さを、ジュニールは十分承知をしている。
 だから何も言わない。
 何も言わないから、空は気付かない。
「ジューンの気持ちを察することができなかったんです」
 それでも空は気づいてくれる。
 言外の想いを。
 優しい、優しいこの人を、大切にしたい。
「そんなことは、いいんです」
 この胸の痛みなど、空に比べたら幾許にも満たない。
 だから、ジュニールの心の、その奥深くなど知らなくていいと思った。
「ジューンだって、きっと苦しかったはずです……」
 衝撃的だったことは、否定しない。
 言い知れぬ感情を覚えたことも、偽りではない。
 それでも空は、心のよすがを失ったのだ。空と比べることの方が間違っている。
「ソラ……」
「私、自分のことばかりで、……ジューンのこと……」
 つ、と雫が頬を伝う。
「……こんなに……、こんな、に……」
「ソラのペースで歩いて行けばいいんです。焦らなくても、急がなくてもいいんです」
 ――ずっと傍にいます。
 踏み出す一歩がどれほど遠くても構わない。
「ありがとう……」
 小さく掻き消える声。
 風が凪いで、ふわりと花を咲かせる。
「ありがとう、ジューン」
 気乗りしない午後。
 春風が運ぶ、かけがえのない愛しい笑顔の贈り物。


「午後は開けておいてくれ」
 天藍は身支度を整えながら、かのんにそう告げる。
「何か用事でもあるんですか?」
「一緒に出かけたい」
 どこへ、と言わず。
 かのんは、小さく笑う。
「わかりました」
「早く用事を済ませて戻ってくるから、かのんもできることは済ませておいてくれ」
「ふふっ、はい」
 上着を取ると、天藍は足早に家を出た。
 出かけることがあらかじめわかっているときは、大体は休日に合わせる天藍だが、今日に限ってはどうしても外せない用があったようだ。
 天藍の休みの日でもよかったのに、とかのんは思うものの、何か急ぎたい理由があるのだろう。
 とは言え。
 日頃から忙しくしている天藍が時間を作ってまで誘ってくれるのは嬉しい。
 自然と上機嫌に、園芸道具を手に庭へ出る。
 春になれば色とりどりの花が一斉に咲く。
 明日にはどの花が咲きそうだ、とか。思っていたより早く咲いて驚いた、とか。
 そんな発見に心が躍る。
 勿論嬉しいことばかりではないが、それも植物が生きている証だ。だからこそ、大切にしたいと思える。
 水を与え、明日も綺麗に咲いてくださいね、と願いを込めた。

 *

 天藍は空を仰いだ。
 絶対に予定は入れないつもりでいたのだ。
 けれど、おかげで少し気持ちに余裕ができた。さすがに、まるで緊張をしないかと言えば、そんなことはない。
 答えを知っていたとしても。
 椿園での一件に、天藍は一つだけ、心残りがあった。
 かのんは椿園でプロポーズを受け入れてはくれたが、その証となるものをあの時渡せなかった。
 やはり用意をしておくべきだったか、と今さらながらに思う。
 時折、街で見かけて目に留めるものはあったが、それを渡すことにも迷いがあった。
 一度きりの特別な贈り物となるものだ。かのんの好きなものがいいだろうと思う。
 用事を済ませた天藍は、脇目も降らずにかのんの待つ家へと戻り、庭へと顔を出す。
「かのん。時間いいか?」
 太陽は、そろそろ南に差しかかる。
 かのんも庭の手入れは一通り終えた。
「はい、そろそろ終わりますから」
「だったら、そのまま出かけよう」
「どこへ行くんですか?」
「婚約指輪を、渡してないなと思って」
「指輪?」
 かのんは不思議そうに首を傾げた。
 天藍の椿園での心残り。それは、かのんに、婚約指輪を渡さなかったこと。
「なんだ?」
「いえ……椿園で天藍がくれた言葉で私は十分ですけれど……」
 かのんは、こういったことに対して非常に控えめだ。
 少し唸って、天藍はかのんを見る。
「どちらかと言うと、俺の我儘だな」
「我儘?」
「かのんに結婚の約束を、目に見える形にして身に着けていてほしい」
 幸せにする。その願いと誓いを込めて。
 それに、と天藍を付け加える。
「虫除けみたいなものだ」
 かのんは思わず苦笑を浮かべる。
「わかりました。そういうことなら」
 虫除けと言うのは、本心ではあるだろうが、どちらかと言えば遠慮するかのんへの、天藍の気遣いだ。
 理由があれば受け取りやすい。
 それが天藍の我儘だと言われてしまえば、断る理由はなくなる。
 そんなさりげない気遣いが、かのんは嬉しいと思う。
 残った少しの用事を片付けて、天藍と街に出る。
「朝も思ったが、今日は少し冷えるな」
「そうですね。桜のころにはどうしても寒の戻りがありますよね」
「まあ、寒いのはちょうどいい」
「どうしてですか?」
 かのんの手を取り、天藍はくすりと笑う。
「手を繋ぐ口実になる」
 そんなことをしなくても繋げるだろうに。
 思っても口にはしない。
 当たり前になっていることを、改めて理由をつけてするというのは少し照れくさいものだ。
 繋いだ手は、天藍の上着のポケットに誘われる。
 天藍の体温が、じんわりと伝わる。
「温かいです」
 そう言って、かのんは天藍の腕に自分の腕を絡ませる。
 距離を詰めれば一層、天藍の温もりを感じる。匂いも、息遣いも。
 太陽の匂い。天藍の香り。幸せの温度。
 どれからも離れがたくて、行き先は決まっているはずなのだが、つい寄り道をしてしまう。
 花が並んでいると足を止め、取り留めのない景色に足を止める。
 季節が移ろうと空気の色が変わる。
 そんな様を楽しみながら、宝飾店へと足を運ぶ。
 店には指輪に限らず、他にも装飾品は並んでおり、きらきらと光を弾いている。
 かのんは一通りの指輪を見て回った。
「素敵なものばかりですね」
 宝石の輝きと言うのは不思議で、あれもこれも、と良く見えてしまう。
「気に入ったものはあったか?」
「本当に、どれも素敵で……」
「好きなものを選べばいい」
「はい」
 好きなものを、選ぶつもりだった。
 天藍が言うのだから、そうしたほうがいいのだろうと思うし、せっかくだから、と。
 色々見て、ふと気づく。
(どれを見ても結局、天藍なら、と考えてしまうのですよね……)
 天藍ならどれを選ぶだろう。
 天藍ならどんなものを見繕ってくれるだろう。
 かのん自身がどれを選んでも、後悔しそうで。だから。
「でも、私は天藍が選んでくれたものがいいです」
 その申し出に、天藍は意外そうな顔をした。
 否――。
 喜ぶべきか迷った顔をした、と言うのが正しいかもしれない。
 かのんに選んでほしいとは思うものの、そういわれると悪い気はしない。
 元々いくつか見繕っていたものが、天藍にはある。
 だから、快く頷いた。
「それなら、何を選ぶかは秘密だ。ちょっとした驚きも必要だろ」
 かのんに似合うものを。
 天藍の証を。
 そう、思う。
「あの、天藍」
「うん?」
「私から、指輪のお返しをさせてください」
 かのんの更なる申し出には、少し困った。
「いや、そういうのは気にしなくていい」
 気にされると、何となく渡し辛くなる。
 けれど。
「約束を形にして、いつも身に着けて欲しいと思うのは、私も同じなんです」
 ――それもそうか。
 天藍ばかりが、約束を形に、と考えているわけではない。
 その気持ちを強く前に出したのは天藍だが、かのんとて同じように形にしたいと思うだろう。
 至極当たり前の感情だ。
 かのんの言葉に、天藍は頷く。
「俺ばかりが、気持ちを押し付けるのは良くないしな。有り難く受け取らせてもらうよ」
 そう言うと、かのんは表情を明るくして笑う。
「ぜひ天藍の好きなものを……」
「かのんが選んでくれ」
「え?」
「俺はかのんの指輪を決めるから、かのんも俺に選んでくれ」
 それぞれの想いを込めて、それぞれに似合うものを。
 きっとそれは、かけがえのない贈り物になるはずだ。

 *

 時間をかけて、時々相談をしながら二人で互いのプレゼントを探す時間は、とても楽しかった。
 店を出て、せっかくだからと、少し遠回りをして帰ることにする。
 いつもより遅いランチは、軽めのパンを。
 公園を回って、咲いた花を愛し気に見つめるかのんの横顔に、思わず見惚れる。
「退屈じゃないですか?」
「いいや」
「でも少しぼんやりとされているような……」
 そう指摘されると、天藍は苦笑いを浮かべる。
「綺麗だなと思ってただけだ」
「はい。綺麗ですよね。春は好きです。花がたくさん咲いて……」
 嬉々と話すかのんが示す『綺麗』は花々のこと。
 だから、天藍は頭を振る。
「違う」
「え?」
「俺が綺麗だって言ったのは、かのんのことだ」
「あ、……えっと……」
 真っ直ぐに言われ、かのんはゆっくりと顔が熱くなっていくのを感じる。
 そんなかのんを、天藍は引き寄せて、抱きしめる。
「そんなことを言われると、恥ずかしいです」
 改めて言われると、なぜこうも羞恥に染まってしまうのだろうか。
「恥じらうかのんも、俺は好きなんだが」
 揶揄する音がどこにも含まれていないからこそ、余計。
「私も、天藍が太陽の下にいる姿を見るのは、好きです」
「そう、か」
 照れたように、天藍が笑う。
 野外にいることの多い天藍だが、日差しを受けてきらきらと眩しいその姿は、とても綺麗だ。
 特に西陽を受ける様は、何とも言えない雰囲気がある。
「日も落ちてきたし、そろそろ帰ろうか」
「はい」
 二人で過ごす時間は光のように過ぎていく。
 一日がもっと長ければ、と願ったことがないわけではない。
 それでも時間は限られていて、だからとても大切だと思える。
 指先から伝わる天藍の温もりに、顔を見上げれば優しい笑顔が応えてくれる。
 鼓動が高鳴る。
 家について、しばらくしても高鳴りはおさまらない。
 その理由に気付いたのは、天藍に呼ばれた時だ。
「かのん」
 天藍がかのんを手招く。
 一息つくまで、先ほど買ったものを横へと置いていたから、それに対する期待が、鼓動の高鳴りとして表れていたのだろう。
 何が起こるかを知っていても、気恥ずかしい。
 それを察したのか、天藍は手招いたかのんをそっと抱きしめる。
 天藍の鼓動が早く聞こえる。
「天藍……」
「さすがに俺だって緊張くらいする。大切な人に、大切なものを贈るなんて、そうあるものじゃないしな」
「ちょっと安心しました」
「それは良かった」
 お互いに笑い合って、天藍はすぐさま真剣な眼差しを向ける。
「椿園でも言ったが、もう一度言わせてほしい。――必ず幸せにする」
 返事は知っている。
 天藍に不安はない。
 だから、かのんの左手を取って、薬指に指輪を滑らせる。
 金剛石と、二人の誕生石である蒼玉をあしらった指輪。
「はい。……はい、天藍」
 何度言われても嬉しい言葉。
 何度聞いても涙が溢れる。
 最初は遠慮していた指輪だったが、実際に指に嵌るとより真実味を帯びる。
 もらってよかったと、心から思える。
「大切にします」
 天藍の心も、すべて。
 今よりもっと、ずっと大切になる。
「天藍。私からも受け取ってください」
 かのんが差し出したのは、天藍に相応しいものだった。
「時計……?」
「はい。いつも野外で活動することが多いですから、多機能腕時計にしてみました」
 天藍のことを想い、考えて、選んだ。
 ただ飾るだけではなく、いつも天藍の助けとなるように。
「つけてくれるか?」
「はい、喜んで」
 天藍の腕に時計をつける。
 イメージした通り、天藍に良く似合っていると思う。
 天藍の手が、かのんの頬に触れる。
 そっと仰のかせると、ゆっくりと唇を重ねた。
 抱きすくめられ、確かめるように口付ける。
「天藍」
 潤んだかのんの瞳に見つめられ、瞼にキスをする。
「なんだ?」
「この間は嬉しさが先に立って言葉にならなかったのですけど」
 今だから言える言葉がある。
「私も、天藍を幸せにしたいです」
 その言葉に二人、破顔する。


 遅くなってしまった。
 仕事が長引いたわけではなかった。むしろ、予定したよりも早く帰路についたはずだったのに、既に夜の帳が下りようとしている。
 店を出て、足早に歩く。ポケットを時折気にしながら、それでも、駆け出す衝動は抑えられない。
 どんな顔をするだろう。
 驚いた顔をするのだろうか。
 それとも笑ってくれるだろうか。
 ああ――そのどちらでも構わない。
 喜びが勝っていたのだろうか。向かってくる人影に、肩が触れた。
「っと、すみません」
 ロジェはそう声を掛けたものの、相手は目も合わせずに去って行く。
 当たってしまった、と言うよりは、当てられたと言う方が正しい気もした。
 それでも、ロジェに多少のわき見があったことは否めない。
 だから、些細なことは気にせず、再び歩を進める。
 リヴィエラの顔を思うと、いつも心が温かかった。
 愛しい人の待つ場所が、帰る場所である喜びを噛み締める。
 人の合間を縫うように歩き、しばらくして、また足を止めた。
 ――見られてる……?
 小さな違和感だったが、ロジェはその違和感が気になった。
 周囲を見回して、何も変わったところがないことを確かめる。
 ――気のせいか。
 ここのところずっと、神経を研ぎ澄ませていたからかもしれない。
 小さなことに過敏に反応してしまっているようだ。
 何より、今日はロジェの心を少なからず躍らせてしまう。
 ――何もなければいいけどな。
 家路を急ぐ。気がかりな違和感からか、徐々に駆け出す。
 リヴィエラのことが脳裏をよぎったからだ。
 息を弾ませ家に着けば、明かりの付いた窓を見て安堵する。
 扉を開くと、奥からリヴィエラが姿を見せる。
「おかえりなさい、ロジェ」
 笑顔を向けるリヴィエラを抱きしめる。
 心の底から安堵した。
「きゃっ、ロジェ……?」
「ただいま、リヴィー」
「どうしたんですか、ロジェ」
「早く君に会いたかった」
 会って、安心したかった。
 小さく笑ってリヴィエラを見ると、困ったように笑う。
「いつでもロジェの傍にいますよ」
「分かってる。でも、今日は特別な日だから」
「特別な日?」
 頷いて、ポケットから掌に乗る程度の箱を取り出す。
 蓋を開けて、その中身をリヴィエラに見えるように差し出した。
「はわわ……なんて綺麗なアクアマリン……」
 淡いブルーの宝石をあしらった指輪が、静かに、けれど堂々と鎮座している。
「リヴィー。手を貸して」
 差し出すより早く、ロジェはリヴィエラの手を取る。
 指先からゆっくりと指輪を滑らせ、ぴったりと合うサイズに、彼女のためのものだということが容易に知れた。
「ロジェ……この指輪は……?」
 困惑したような表情。けれど、嵌った指輪には嬉しそうで。角度を変えながら光を当て、その反射の楽しんでいる。
「今日は、俺たちが初めて出会った日。一生で一度しかない、特別な日だ」
「私達が初めて出会った、特別な日……」
 ロジェの言葉を反芻する。
「……確か、ロジェが私をお屋敷から連れ出してくださった日でしたね」
「そう。君が俺の元へやってきた日。ウィンクルムの契約をした日」
 記憶を呼び起こすように、リヴィエラに囁く。
「色んなことがあった」
 これまでの時間、決して楽しい時間ばかりではなかった。
 彼女を世界へと連れ出した頃は、A.R.O.A本部に保護して貰った。
 今でこそ、義父の家に落ち着くことができているが、言葉にはできないほど、辛いことも多かった。
 それを乗り越えられたのは、リヴィエラの存在があったから。
 ロジェはそう思っている。
「辛かっただろ」
 ようやく手に入りそうな安寧がある。
 リヴィエラの顔を覗き込む。
 濡れた瞳に、少し、驚いた。
「そ、そんなに辛かったのか?」
 苦しい思いをさせているのだろうという自覚は、多少なりともあった。
 だが、まさかそこまでだったとは。
 思って、額を押さえる。
「いいえ」
「え?」
「違うんです、ロジェ。私、嬉しいんです」
 涙を流して笑って見せるものだから、不安になる。
「私、あのままお屋敷にいたら、外の世界を知らないただのお人形でしたもの」
 監禁されて暮らしていた日々。
 そこから連れ出したロジェ。
 外の世界は危険が多い。まして、父親から追われているのでは、ロジェが思う以上にリヴィエラも不安だろう。
「ロジェが、私の世界に色を付けてくださったんです」
 それでも、世界は綺麗だった。
 危うい世界はとても美しく、墨で塗りつぶされたようなリヴィエラの世界に、一つずつ色を乗せて行った。
 決して交わらない、強烈な色彩で。
「おじさまのおかげで学校にも通えて、ロジェと一緒にいられて」
 言葉を紡ぐたびに、ぽろぽろと涙を零すリヴィエラの頬を拭う。
「私、今の生活がとても幸せです」
 ――幸せなのは俺の方だ。
 世界に光が満ちた。
 色が鮮やかになる。
 リヴィエラの存在が、強さを与えてくれる。
「ロジェ……?」
 頬に、リヴィエラの指先が触れて、驚いたのはロジェ自身。
「え……?」
「泣いて、る?」
「泣いてない……っ! そんなわけないだろ」
「でも……」
「ゴミが入っただけだ、見るな、バカっ」
 ――ああ、なんという不覚。
 リヴィエラに背を向けて、思わず項垂れた。
 存在が大切なのは、自分でも自覚している。
 が、リヴィエラのことを想いすぎて、泣いていることに気付かないとはいったいどういう了見なのか、まずは自分に問い正さなくてはならない。
「ロジェ」
「なんだ?」
「お顔が見たいです」
 服をくい、と引っ張る仕草に、すぐにでも抱きしめたいが。
「まだ目が痛いんだ」
「指輪のお礼も言ってませんし」
「あとで聞くから」
 今は見られては困る。どういうわけか涙がまるで止まらない。
 そんなロジェに、リヴィエラが痺れを切らしたのか。
 後ろからぎゅっと抱き着いて、ロジェの頬にそっとキスをする。
「!?」
「ロジェ、大好きです」
 振り返ると、腕の中に滑り込むようにリヴィエラの身体が収まる。
 今度は別の意味であまり顔を見られたくない。今の不意打ちに、頬を染めている、など、知られたくない。
 だから、リヴィエラを抱きしめた。
 ――今日はどうしたんだ……舞い上がってる、のか?
 出会った記念日だから。
 リヴィエラといることが幸せだから。
 それが、ようやく手に入ったから。
 思えば心当たりは数え切れないほどある。
 けれど、今日が特別なら。今日だけは。そんな言い訳を繰り返す。

 *

 リヴィエラは、先ほどからしきりに指輪を眺めている。
 食事の時も、終わった後も、ロジェにぴたりとくっついている今でさえも。
「そんなに指輪ばかり見ていると、指輪に嫉妬しそうだ」
「ロジェがくれたものなのにですか?」
 誰が渡したものかは、関係ない。
 その度合いが変化するだけで、嫉妬をしないということにはならない。
「特別な日が、毎日あるといいですね」
 足をぱたぱたと、まるで子供のようにばたつかせてはしゃぐリヴィエラの様子に、微笑む。
「毎日が特別だったら、本当に特別なものを見失うだろ」
「うぅん……そう、ですね」
 際立って煌めいているから、特別なのだ。
 微笑む。
 束の間の安息だとしても、この時間が何よりも大切だ。
 けれど違和感は足音もなく、突然やってくる。
「――!?」
 背筋に唐突に悪寒が走る。
 少しして、カタン、と音がした。
「何か音が……」
「見てくる」
 その音は、外から聞こえたものだ。
 リヴィエラにも聞こえるほどの、露骨な音だ。猫か、犬か。そんなところだろう。
 そう言い聞かせて外へ出る。
 暗闇に灯りがある以外は別段変わったところはない。
 ――やっぱり気のせい、か。
 ではあのぞわりとした感覚は何だったのだろうか。
 ――やはり、今日は少し変だ。
 感覚が鈍っているのか。
 あるいは過剰になり過ぎているのか。
 嘲笑に似た溜息を零して、中へ戻ろうと足下に視線を落として、気付いた。
 足元にある、一枚の紙きれ。
 拾い上げて、確かめる。
「――ッ」
 その音は、ありふれた日常を壊す音。
 その音は、新たな特別を呼び覚ます音。

『やっと居場所を突き止めたぞ。我が娘……そして誘拐犯め』

 憎悪をぶつけたように、紙に殴り書かれた文字。
 ――バレ、た……。
 ずっと逃げていたリヴィエラの父に、居場所を突き止められてしまった。
 掌から零れていく。
 薄っぺらな紙と、溢れる幸福。
 がたがたと、身体が震える。たまらず壁に寄りかかる。
 今日、ずっと付きまとっていた小さな違和感は、この瞬間への警鐘だったのかもしれない。
 息ができない。
 心臓が痛い。
 頭が真っ白になっていく。
 ――どうする……!?
 ただでは済まない。
 こうなっては、もう遅い。
 細心の注意を払ってきていたつもりだった。
 なのに、それをこうもあっさりと覆された。
 努力など無駄だと、あざ笑うように。
 長い、長い刹那。
 壁に身を預けたまま、どれほどの時間が過ぎたのだろう。
「ロジェ?」
 帰りが遅いことを心配してリヴィエラが顔を見せる。
「どうかしたんですか?」
 なんでもない。そう言うだけの力すらもない。
 何も言わないロジェを、リヴィエラは怪訝そうに見つめる。
「ロジェ。何か言ってください」
 不安からか、ロジェに触れようと近づくリヴィエラが、足元に落ちた紙に気付いて拾う。
「これは?」
 紙に視線を落とす。
 目を向けずとも、リヴィエラの動きが手に取るようにわかる。
「っ、……ロジェ……これ、……」
 紙切れに目を釘付けにされて動けなくなる。
 それほど、恐ろしい一枚。
 最も恐れていたこと。
 リヴィエラが、音もなく崩れ落ちる。
 それを、ロジェは冷静に見つめる。
「い、嫌……どうして? 嫌ぁぁぁッ!」
 静寂の闇を切り裂くような悲鳴。
 胸の内に沸き起こる感情に、ロジェは静かに嗤う。
 どす黒い感情が渦巻いていく。
「ロジェが殺されちゃう! 正夢になっちゃう……! 嫌ぁぁぁッ!」
 あの時も、リヴィエラは泣いてくれた。
 悲しい悪夢に身を震わせ、ロジェの身を案じてくれた。
 ――正夢にはしない。
 あの時よりも激しい慟哭に、リヴィエラをそっと抱きしめる。
 リヴィーの傍にいる。
 あいつを置いて逝ったりはしない。
 そう、誓ったのだ。
 ならば。
 ――……ずっと逃げられるなんて思ってないさ。
 迷いも、動揺も、一瞬で消えていく。
 そこに芽生える明確な殺意は、冷えた心に深く息づく。
 リヴィエラを悲しませる者は排除する。
 それがたとえ誰であっても。
 答えは決まっている。
 ――奴を始末してやる……!
 感情が、狂気に飲み込まれて行く。



依頼結果:成功
MVP

メモリアルピンナップ


( イラストレーター: 津木れいか  )


エピソード情報

マスター 真崎 華凪
エピソードの種類 ハピネスエピソード
男性用or女性用 女性のみ
エピソードジャンル ハートフル
エピソードタイプ EX
エピソードモード ノーマル
シンパシー 使用不可
難易度 とても簡単
参加費 1,500ハートコイン
参加人数 3 / 2 ~ 3
報酬 なし
リリース日 03月27日
出発日 04月04日 00:00
予定納品日 04月14日

参加者

会議室


PAGE TOP