プロローグ
夏といえば海! 海といえば水着!
ということで、あなたは精霊とともに、水着を買いに来ています。
場所は、タブロス市内のデパートです。
女性用の水着売り場なんて、と嫌がる彼をなだめすかして連れてきたのは、もちろん彼に好みの水着を選んでもらうため。
――だって、せっかく水着を着るなら、可愛いって思ってもらいたいもの。
しかしこんなことを考える女性は、あなた一人ではありません。
デパートには、自分達と同じウィンクルムがいました。
仲良しの女性たちです。
精霊の彼と一緒に来たつもりだったけれど、男性達は集まってなにやら話をはじめました。
聞こえるのは――。
「女って買い物長いよな」
「水着なんてどれでも変わんねえよ」
「でも、色々な形がありますよ。あまり露出が激しいのは僕は心配で……」
「何言ってんだよ! 水着だから肌は見せるのが一番だろ! いいじゃねえか、好きな女の水着姿!」
「俺は好きな女じゃなくても見ちゃうけどな」
「買い物に時間がかかるのは当然じゃない。お気に入りを見つけたいもの」
「ひっどい! 本当にどれも変わんないって思ってるわけ?」
「……心配かあ……地味なのがいいのかな」
「好きなって……! やだ照れるぅ」
「あいつあんなこと言って……ほんとにデリカシーないんだから!」
待ちぼうけの男性陣と、文句を言いながらも精霊と自分のために水着を探す女性陣。
夏のお買い物、水着売り場でスタートです!
解説
目的は「彼が喜んでくれる水着を見つけよう」です。
水着は一律400jrです。
購入は女性のみになります。また、アイテム配布はございませんので、思い出の1ページとしてご利用ください。
リザルトはウィンクルムごとにはなりません。
全員でわちゃわちゃする感じです。
【前半は神人視点】のお買い物タイム。
女性同士のお付き合いをお楽しみください。
【後半は精霊視点】のお話タイム&女性の試着タイムです。
神人を見ながら男性同士でお話をした後、各々の神人の試着についてああだこうだと言ってやってください。
試着室は人数分並んでおり、神人はそこで一斉に試着します。
自分の相棒だけを見る人もいれば、となりの神人をついつい見てしまう人もいるかも……。
二人きりになる時間はございません。
他のウィンクルムとの絡みはNGという方は、エピソードの参加をご遠慮ください。
全体にどのような流れにするかは会議室で相談してすり合わせていただけると助かります。
ゲームマスターより
ゆるふぇすでちらっと話に聞きました、女性版わちゃわちゃエピソードです。
大事なことなので再度書きますが、
前半は神人視点、後半は精霊視点で話は進みます。
比重は皆さまのプラン次第です。
それと、このエピソードはウィンクルムごとではありません。
ジャンルは一応ロマンスにしていますが、これも皆さま次第です。
【他ウィンクルムと関わりNGの方は、参加をご遠慮ください】
リザルトは買い物をしているところから始まります。
相棒が他の神人に見とれても、恨みっこはなしでお願いしますね。
それでは、お買い物に行ってらっしゃい!
リザルトノベル
◆アクション・プラン
ミサ・フルール(エミリオ・シュトルツ)
大好きな人の前ではいつだって魅力的な自分でいたいもの よーし、頑張って選ぶぞー! 水着選びに夢中になっていたら神人の皆と出会ったよ 女の子同士でお買い物うれしいな 皆でお互いに似合いそうな水着選んだり、お喋りしながら買い物を楽しむよ 私が最終的に選んだのは『ピンク色のギンガムチェック柄でビスチェタイプの水着』 試着する時に自分と他に髪型を変えたいって人がいたらその人の希望に合わせてヘアアレンジするよ (スキル:メイク使用 自分:ポニーテール編み込みアレンジ 香奈さん:編み込みシニヨン) 試着室から出た時エミリオさんと目があったよ(精霊の言葉を読み取り頬を赤く染めながら嬉しそうに微笑む) 持ち物 ブラシ 髪ゴム ヘアピン |
ニーナ・ルアルディ(グレン・カーヴェル)
ミサさんはピンク色のイメージ…あそこに置いてある水着はどうでしょう? あっちに水着と合わせられそうな髪飾り置いてあった気がしますよ香奈さん。 あ、この水着可愛いです…リオさん、アンダンテさんも何かいいものは見つかりました? …皆でこうやってお話しながらお買い物するのも楽しいですね。 今度はお洋服とかも一緒に選んでみたいですね! 水着は胸元にフリルのついたセパレート(パレオ付き) 色はアクアマリンブルー そういえば皆一緒に水着見られることになるんですよね… 何ででしょう、グレンが他の人のを見るのちょっと嫌です… あの、似合ってますか…えっ? 即答だったから驚いてしまって…でもそれ以上にとっても嬉しいです…! |
リオ・クライン(アモン・イシュタール)
わあ・・・こんなに沢山あるとは。 水着ってその・・・肌を隠す面積が少なくて、は、破廉恥というか・・・。(赤面) なるべく露出の少ない物を選びたいのだが・・・。 <行動> ・水着を一着も持っていないと言ったら、買ってこいと言われました ・ミサにワンピースタイプの水着を薦められる、淡い水色を基調とした白のフリル付きのお嬢様っぽい水着 ・アモンの会話がちらりと聞こえてくる 「あいつは店先でなんて話を・・・!」(怒) ・「い、色気なんて・・・か、髪型ぐらいならなんとか・・・!」と悶々と考える ・自分に似合いそうな大人っぽい髪型をミサに聞いてみる ・編み込みハーフアップにしてみる、自分の青いリボンを使って アドリブOK! |
出石 香奈(レムレース・エーヴィヒカイト)
水着:黒地に白い花柄のホルターネックビキニ・ロングパレオ付き これなら大胆さと低露出を両立できるわね 早々に選んでしまったので皆の水着選びを見ながらお喋り 恋話になったら聞き役に徹しようとする パートナーと恋人同士って人もいるのね…もっと詳しく聞いてもいいかしら え、あたし?あたし達は別にそういうんじゃないから …ごめん嘘ついた、好きよ、レムの事 あっ、このことは内緒にしてね まだ言うつもりはないから 試着の時はミサにヘアアレンジをお願いする 編み込みシニヨンっていうのね この髪型、すっきりして夏にも良さそう、ありがとね あたしの恋はいつもろくな終わりを迎えていない レムとはそうなりたくない ううん、終わらせたくない |
アンダンテ(サフィール)
あら、嬉しい偶然ね 楽しい時間が過ごせそうだわ そろそろ水着が活躍する時期だものね まあ私、泳げないのだけど でも何かで必要になるかもしれないし、備えあれば憂いなしよね 売り場を見て種類の多さに目移りしつつはしゃぐ 他の人が選んだものも参考にしつつ感想言い合う やっぱり人によって似合うもの、結構違ってくるのね 私はどうしようかしら あちこち目移りしつつ体に当ててみる 私の外見だとそろそろ可愛い感じのは卒業する時期かしら 十代、眩しいわね サフィールさんはどういうのが好きなのかしら ああいう興味ありませんってタイプほどむっつりしてたりするんじゃ 結局パレオ付きのビキニに 悩んだけど、自分に似合うものが一番な気がしたわ |
●ガールズトーク!
タブロス市内某デパートの二階には、特設の水着売り場ができていた。彩り鮮やかなそれらを前に、ミサ・フルールは俄然身体に力が湧いてくるのを感じる。この中からお気に入りの一枚を探して、エミリオ・シュトルツと海に行くためだ。
「よーし、頑張って選ぶぞー!」
大きな声では言えないから小さな声で、胸の中で拳を上げた。大好きなエミリオの前ではいつだって魅力的な自分でいたい。似合うよって言ってほしい。
「どんなのがいいかなあ……」
エミリオさんならなんでも褒めてくれそう。セクシーなのもいいけれど、それより可愛いほうがいいかな。エミリオさんがくれた腕輪と同じ色もいいな。
夢中になってあちこち見ていると、背中がどん、と誰かにぶつかった。
「あ、すみませ……」
言いながら振り返る。と、そこにいたのは同じウィンクルムのリオ・クラウンだった。彼女はすっかり困惑した顔で、手に持った水着(ホルターネックのビキニである)を見つめていた。その彼女がミサを見て「あ」と口を開く。
「ミサも水着を買いに来ているのか」
「リオちゃんも? それ着るの?」
ミサの視線にリオは焦り、水着を元の場所に返した。
「いや……。水着を一着も持っていないといったら、アモンに買ってこいと言われたのだが……こういう肌を隠す面積が少ない破廉恥……なものではなく……なるべく露出の少ない物を選びたいのだが……」
真っ赤な顔でしどろもどろとなるリオに、ミサは苦笑する。アモンさんのために、頑張ってるのね。リオちゃんかわいい! などといったら、彼女がさらに真っ赤なトマトになってしまいそうなので、すっと指を上げて、あちらの方向を指さした。
「じゃああっちのワンピースのほうがいいかも。行ってみようよ」
「あ、ああ……」
歩き始めた二人の前を、黒髪の美女が通り過ぎた。手に持っているのは大きな柄のホルターネック。ロングパレオが付いたタイプで、いかにも大人っぽいデザインだ。
「うわあ、かっこいい……って、あれ? 香奈さん?」
ミサの声に、出石香奈がこちらを向く。
「あら、ミサ。リオも! 二人もお買い物? あ、もちろんそうよね。タブロスではここの品揃えが一番だものね」
香奈はにっこりと微笑んで、二人に寄ってきた。
「あたしはもう選んだんだけど、あなた達はこれから?」
「ああ……ずいぶん大胆なデザインなのだな」
リオが香奈の水着を見つめ、ほうっと感嘆の息をつく。
「これなら大胆さと低露出を両立できると思って」
香奈は茶目っ気たっぷりのウインクを見せた。そこに「あら?」と声をかける人物がある。ウィンクルム仲間のアンダンテである。
「皆さんお揃いで……珍しい偶然ね。ご一緒してもいいかしら?」
アンダンテはつややかな髪を揺らせて、首を傾げた。もちろんよ、と香奈が返事をする。
「ありがとう。楽しい時間が過ごせそうだわ」
「アンダンテさんはビキニにするの?」
ミサが尋ねる。ここがそのコーナーだからであって、他意はない。彼女はまだ決めてはいないのよ、と周囲を見回した。
「私は泳げないのだけど、何かで必要になるかもしれないし、備えあれば憂いなしと思って来たのよ」
「そうよね、夏と言えば水着よね」
香奈が同意を示す横で、リオがそういうものか、と神妙に呟いている。リオちゃんそんな考え込まないで、とミサが肩を叩く。
いくら女性ばかりの売り場とはいえ、これだけの美女が揃っていたら人目を引くと言うものである。賑やかな声に、離れた場所で水着を選んでいたニーナ・ルアルディは顔を上げた。
「あれは……」
仲間の顔を認め、近づいていく。
「皆さんもお買い物ですか?」
「ニーナちゃん!」
ミサの顔がぱっと輝く。
「ニーナちゃんも? 私たちみんな偶然ここで会ったんだ。あ、ニーナちゃん持ってる水着可愛いね。すごく似合いそう」
「そ、そうでしょか。でも実は迷っていて……」
白色の水着を手に、ニーナは頬を赤らめた。形はこのセパレートがいいのだけれど、デザインがたくさんあってどうしようかと思っていたのだ。
「じゃあせっかくだから、みんなで選ぶ? ……ってあたしはもう決まっているけど」
香奈の提案に一同は顔を見合わせ――それから言った。
「ぜひ!」
「リオちゃんとニーナちゃんはフリルがついたのが似合いそう!」
「そうだろうか」
「そうでしょうか……」
「うん、だって二人とも可愛いから」
ミサが微笑むと、リオとニーナははっとした顔のまま動きを止めた。
「か、可愛い……?」
リオがかちこちに固まり、ニーナは羞恥の頬を染めている。うん、可愛いともう一度言うミサを、香奈が後ろから抱きしめる。
「そう言うミサも可愛いわ。元気な感じの……そうね、チェック柄とか似合いそう。ねえ、アンダンテ」
「そうね、みんなまだ十代でしょう? 選び放題よ。私はどうしようかしら……」
アンダンテは若い彼女たちに目を向けてから、自身の手もとに視線をとした。彼女たちのようなフリルやチェックは、自分の年齢だとそろそろ卒業する時期だろう。
「十代、眩しいわね。さてと……サフィールさんはどういうのが好きなのかしら」
自分に似合うものがわからずに手に届く範囲のものを適当にとっては体に当てながら、時々、きゃっきゃと話すミサとはにかむニーナ、そして困惑しつつついていくリオを見やる。香奈はその後ろで彼女たちを見ていたが、ふとアンダンテを振り返った。
「今、サフィールって聞こえちゃったわ」
「ええ、彼の好みがわからなくて。いかにも興味ありませんって感じだけど……ああいうタイプほどむっつりしていたりするのかしら」
アンダンテの台詞に、香奈はくすくすと笑い声を立てた。
「彼は今どこに?」
「この売り場の外で待っているわ、途中にあったベンチのところ」
「あら、レムもそうなのよ。もしかしたら一緒にいるかしら」
二人の男性がどんな会話をしながら待っているのか。想像するとなんだかとても愉快な気持ちになってくる。
「……アモンも外で待っているんだ」
アンダンテたちの会話が聞こえたらしいリオが、ワンピースを片手にこちらを見た。それにつられて、ミサとニーナも同様に。
「え、エミリオさんもだよ」
「グレンもです」
「ってことはみんな勢ぞろい?」
それこそいったいどんな会話をしているやら。きっと買い物が長いとか話しているのだろうと言いあうも、誰一人として「それなら早く戻らなきゃ」とは言わない。パートナーとの時間も大切だけど、今は彼のための水着選びに夢中だ。
「私、ミサさんはピンク色のイメージです。あそこに置いてあるのはどうでしょう?」
ニーナがさした先には、ピンクのギンガムチェックの水着。
「ピンクのチェック、かわいい!」
ミサはそれを手に取り、体に当ててみた。ビスチェタイプなら肌をあまり見せない流行りにもぴったりだ。
「私はこれにしようかなあ。ニーナちゃんはそのどっちかで悩んでいるの?」
「はい……シンプルなタイプのイエローにしようか、フリルのついたブルーにしようか」
「私はブルーの方がいいと思うわよ。ニーナの瞳の色にもぴったりだし、フリルも可愛いし」
香奈に言われ、ニーナはセパレートの水着をじっと見た。海の色をそのまま模したかのようなアクアマリンブルーは、ちょっと大人っぽい気がする。でもたしかに、フリルがついていたほうが細い体はカバーできるだろう。
「じゃあ私はこれにします」
「私は……」
リオは最初にミサに勧められたワンピースを手にしていた。アモンはこういうのが好きだろうか……と彼が待つだろう方向に視線をやった。それを香奈は見逃さない。
「そうよね、パートナーと恋人同士っていう人もいるのよね」
その台詞に、ニーナとリオの頬が染まる。ミサは黙って頷き、アンダンテは柔らかく微笑んだ。
「みんなの話、詳しく聞いてもいいかしら」
「詳しくも何も……私はアモンのことは……」
「私はエミリオさんと付き合ってるよ」
「私は……グレンのこと、好き、ですけど……」
「私は……優しい人で良かったとは思っているわ」
それぞれの想いに、香奈はいちいちうなずいて見せた。しかし「香奈さんは?」と一同に問われると、ひらひらと手を振る。
「え、あたしたちは別にそう言うんじゃないから……」
言いかけて、一瞬の沈黙。
「……ごめん、嘘ついた。好きよ、レムのこと」
香奈はレムレースが待つベンチを見やった。ここからは表情まではわからないが、きっと彼は自分のことについてはなにも気付いていない。どうしようもない朴念仁。だからこそ、まだ伝える気はない。いつもろくな終わりを迎えていない自分の恋。でもレムレースとはそうなりたくない。終わらせたくないから、焦りたくないのだ。
このことは内緒にしてねと告げて、そろそろ試着に向かうことにする。ベンチ近くを通るその道すがら、アモンの声が聞こえてきた。
「ま、俺は別にあのお嬢様に色気なんざ期待しちゃいないが……」
「あいつは店先でなんて話を……!」
リオは手に持っていた水着をぎゅっと握った。色気。そんなもの、そんなもの……。
「髪型、くらいなら、なんとか……」
ミサの手が、リオの細い肩にポンとのる。
「首とか耳とか出したら、全然イメージ変わるよ。大丈夫。アモンさんを見返しちゃえ」
皆と一緒に歩きながら、ニーナは他のメンバーにはわからないくらいそっと表情を曇らせた。一緒に水着を選んだのはいいけれど、確かここのデパートは試着室が並んでいるのだ。ということは、皆一緒に水着を見られることになる。
グレンが他の人のを見るのが、ちょっと嫌です……。今更言えない。しかしそれは、ニーナの本心である。
●ボーイズトーク!
「ミサが楽しそうで何よりだけど、女性の水着売り場に一人でいるのは辛いものがあるな」
エミリオはそう言いながら、売り場手前のベンチでミサを見守っていた。少し離れた先にあるカフェで待とうと思ったら、ミサに「試着するから見てね」と言われてしまい、ここにいる。その所在ないエミリオの隣に、見慣れた男性がやって来た。グレン・カーヴェルである。
「お、先客か……って、エミリオか」
なんたる偶然。同じウィンクルム仲間の到来に、エミリオは目を見張った。
「グレン。君のパートナーも水着を買いに?」
「ああ、好みの水着じゃなかったらケーキセット奢りって言ってみたら、必死な顔で売り場に向かって行った」
「またそういうことを言うんだから、君は」
大人しそうなニーナが今頃必死に水着を探しているのだろうと考えれば、グレンもなかなか罪な奴だ。エミリオは売り場の方に目を向けた。と、なにやら神人達は、数人集まっているようだ。遠目で顔はよく見えないが、ときおりきゃっきゃと声が聞こえる。
「楽しそうで何よりですね」
そんな言葉とともに、二人の前に現れた男はサフィール。さらにアモン・イシュタール、レムレース・エーヴィヒカイトが続いてやってきた。
「ったく、女の買い物ってのはどうしてこんなに長いんだ……」
「これだけのものがあれば、長くもなるだろう。……俺は鍛練用の水褌くらいしか持っていないが、男性用のものもあるんだろうか」
三人は至極当然のように、エミリオとグレンが腰かけるベンチへと座った。二人が聞けばこの階の入口付近で偶然会ったのだという。
タイプの違う精霊が五人。話題は好みの水着についてということになった。アモンが言いだしたからだ。
「……なあ、お前ら好みのパートナーの水着ってどんなよ?」
アモンはにやにやと笑いながら、残る四人の顔を見まわした。
「俺はミサが選んだ水着なら何だっていいと思う。ミサが俺を喜ばせるために一生懸命選んでくれたってだけで嬉しいよ」
「俺も……似合う事が一番だと思う。本音を言えば、やはり露出が多いのは好ましくないが」
「俺も露出高いのは却下だ、有り難味がない」
エミリオとレムレース、グレンの言葉をサフィールは黙って聞いている。アンダンテがどんなものを選ぶのかは予想もつかない。ふと顔を上げて彼女を見ると、香奈と笑いあっていた。ちらとこちらを見るあたり、なにか好き勝手言われていそうな気はする。
「お前はどうなんだよ」
アモンに問われるも、曖昧に笑って見せた。皆のように自然にのろけられるほどのことはないし、そこまで彼女に関与してもいない。
答えぬサフィールを横に、アモンは片頬を歪めて、遠く神人達を見た。その視線にグレンもつられた。ニーナは他の神人達と一緒になって、あれやこれやと華やかな水着を見て回っている。
「あいつ、自分のもちゃんと買えそうだな。……めったに見てなかったが、同性同士だとあんな風に笑うのか」
自分に向けるのとはまた違った表情に、胸がざわつく。しかしその清かな感情は、アモンの一言によって心の端へと追いやられた。
「わかってねーな。水着ってのは肌出してたほうが眼福だろうが」
きっぱりと言い切る様に、グレンは視線を戻した。お前こそわかってねーな、と続ける。
「隠しているのがいいんだよ、誰にも彼にも見せつけたらもったいないだろ」
「なるほど、グレンはニーナをとても大切に思っているんだね」
エミリオが言うと、グレンははっと一瞬目を見開いた。まるで先ほどニーナを見つめていたときの気持ちを言い当てられたようだ。
「ま、オレが言ったのは一般論だぜ。別に、あのお嬢様に色気なんか期待しちゃいないし……」
アモンが言う。その前を、水着を抱えた神人達がちょうど通った。リオはアモンの言ったことが聞こえたのか、ピクリと肩を揺らした。
「……まずくないか?」
「あー……」
レムレースの言葉に、アモンはがしがしと頭をかいた。
「ったく女ってめんどくせーな。お前もそう思うだろ?」
「そこで同意を求められても……俺は初恋もまだなんだ」
はぁ? と。頓狂な声が上がったのは、誰かからだったのか。あるいはみんなからだったのか。あまりの大きさに、レムレースは、まだだよな? と自問自答。そこでふと、香奈がこちらを向く姿が視界に映る。
想いは、あまりにも唐突だった。
――そういえば、香奈は誰か好きな奴がいるのだろうか? 自分の初恋がまだということでこれだけ驚かれるのだとしたら、あの香奈にいないはすがない。
考えるだけでいらいらとしてくる。
●試着!
精霊たちの眼前には、試着室が並んでいる。入口にはカーテンが引かれており、当然中は見ることができない。しかし手前に並んだ靴やらサンダルやらを見れば、どこに自分のパートナーがいるかはわかる。
ここで喋れば全部相手に筒抜けだ。余計なことを言わぬよう、精霊たちは口をつぐんでいた。それに正直に言えば、それぞれに考えることがあるのだ。
レムレースは相変わらず『香奈の想い人』で頭がいっぱいだし、グレンはニーナがどんな表情を見せてくれるのかと考えている。アモンはたった一枚の水着すら持っていなかったリオがどんなものを選んだのか(または選んでもらったのか)興味津々。エミリオは絶対の信を置くミサがどんな姿を見せてくるのだろうかと期待に胸を膨らませ、サフィールは自分がここにいることに少々の違和感を抱えていた。なんというか、それほどまでの仲ではないというか、他の皆のように、甘くはないとでもいうか。
五人の思いはよそに、時間は過ぎて着替えは終わる。神人達は偶然にも一斉にカーテンを引き、相棒の前へと姿を現した。
「ミサ……」
たった一言名を呟いたきり、エミリオは彼女を見つめた。白くて細い体に、ピンクのギンガムチェックが愛らしい。元気なミサにはビスチェタイプがよく似あっていた。また水着に合わせたのだろう。すっきり見えるポニーテールの編み込みアレンジの髪型も、涼しげでいいと思った。思わず首筋に目が行きかけるが、それは仕方のないことだ。
ミサは表向きは笑顔で、でも瞳にはちょっとだけ不安を隠して、エミリオを見ている。どう? と聞きたいけれど、周りの目が気になって聞けないのだろう。
彼女を褒めることを躊躇いはしないが、それではきっと、彼女が恥ずかしがる。エミリオは微笑んで、声を出さないまま、唇をゆっくりと動かした。
『可愛いね、よく似あってる』
ミサの顔がぱっと輝く。その素直さも染まった頬も愛おしい。
一方のレムレースは、香奈の水着姿を見て安堵の息を漏らしていた。ホルターネックのビキニは大胆ではあったが、ロングパレオが脚を隠している。そうだな、そこまで見せるべきではないとなぜかひとり納得し、あまり見慣れぬ髪型をしている彼女に感嘆の息を漏らした。
「この髪型はミサがやってくれたのよ。いいでしょう?」
微笑む彼女にうなずきこそ返さないものの、編み込みシニヨンは見事である。黒髪と白い肌の境界。誰にでもあるその場所が、どうしたってレムレースを惹きつける。今までは長い髪をそのまま肩に流ししている方が多かった香奈の新しい魅力に触れたというか、つまり。
――どうやら俺は、結い髪が好きらしい。
レムレースは香奈のうなじから、そっと目を逸らした。
青いリボンを使った編み込みのハーフアップ。そして水色を基調とした白のフリルつきのワンピース……と、それを着たリオ。
「ど、どうだ……?」
これがリオの精一杯だと言うことは、真っ赤な顔からよくわかる。いつもは見ない髪型と服装、そして染まった頬に、アモンは明らかに困惑した。どくりと一度大きく跳ねた脈動。喉の奥から無理やり出した言葉は。
「……可愛いじゃん」
本当か……! と。目を輝かせるリオに、そっぽをむいて頷いてやる。ただ素直に認めるのは嫌だ。だから言う。
「まあ、他と比べりゃスタイルに差が……っていってえ! 足踏むなよ!」
毎日見ている女がこれだけ変わるものかとなんとも言えない思いを抱えたまま、アモンはリオを見下ろしていた。
パレオのついたビキニを身にまとったアンダンテは、背筋を伸ばしてサフィールの前に立った。ふくよかな胸を覆うビキニも細い腰を強調しているかのようなパレオも、彼女によく似あっている。だからこそ、サフィールは思ったままを告げた。
「よく似あっていますよ」
「そう言ってもらえると嬉しいわ。ありがとう」
アンダンテは穏やかに微笑んだ。頬にかかる髪が邪魔だったのか、その一筋を耳にかける。一瞬あらわになった首筋になんとなく目を逸らすと、他の神人達の水着姿が目に入る。見てしまって何も言わないのはどうかと思いサフィールは口を開いた。
「皆さん、それぞれよくお似合いですね」
ただあまり見ているのも申し訳なく、視線はすぐにアンダンテへ。彼女はおっとりと微笑んだままサフィールに言った。
「私もミサちゃんに、アップにしてもらえば良かったかしら」
「……いえ、そのままで十分だと思いますよ」
真顔の裏に真意が隠れているのか、いないのか。それは本人にもわからない。
なるほど、ほかの神人はこう来たか……と並ぶ女性たちを見てから、グレンはニーナに目を向けた。白い肌を赤く染め、緊張に体を震わせる彼女は上目遣いでグレンを見上げていた。
「あの、似合ってますか……?」
「あ、ああ、似合ってる……」
その言葉には、ニーナだけではなく、発したグレン自身も驚いた。
ニーナが着ているのは、アクアマリンブルーのセパレートタイプの水着だ。胸元にはたくさんのフリルがあしらわれ、腰から下はパレオが隠してくれていた。清純なイメージの彼女にこれが似合わないわけがない。
……と思ったら、うっかり声に出してしまっていた。しかも即答だ。なんだかこれは、期待十分、待ち望んでいたようで恥ずかしい。しかしニーナが野花のような慎ましやかで愛らしい微笑を見せたことにより、グレンは考えを改めた。彼女が喜んでくれるのならば、それがなによりなのだ。
依頼結果:大成功
MVP:
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 瀬田一稀 |
エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | ロマンス |
エピソードタイプ | ショート |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | とても簡単 |
参加費 | 1,000ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | なし |
リリース日 | 07月20日 |
出発日 | 07月28日 00:00 |
予定納品日 | 08月07日 |
参加者
会議室
-
2015/07/27-23:53
-
2015/07/27-22:40
>リオちゃん
なら編み込みハーフアップなんてどうかな
その素敵な青いリボンも使って(にこり)
とと、ごめんなさい、出発までまだ時間があるけれど、用事があるのでプラン提出しちゃいますね
楽しい時間になりますように! -
2015/07/27-22:11
アモン:
水着ってのはやっぱり肌出した方が眼福だろ。(断言)
ま、オレは別にお嬢様に色気は期待しちゃいないが・・・。
リオ:
>ミサ
ワンピースタイプ・・・い、いいかもしれないな。
ありがとう、ミサ。
髪型かあ・・・。
私に似合いそうな大人っぽい髪型ってあるかな?(ぼそっ) -
2015/07/27-10:46
ミサ:
リオちゃん、恥ずかしいのならワンピースタイプの水着なんてどうかな?
フリルのついたお嬢様っぽい水着なんて似合うと思うの(微笑み)
アンダンテさんはスタイルがいいから何でも着こなしちゃいそうですねー羨ましいな!
エスニック柄の水着なんて似合いそう!
上下違う柄にするのも流行りみたいですよっ
わーい!やった♪
香奈さんの黒髪、サラサラで綺麗だから憧れてたんです、アレンジできるなんて嬉しい!
エレガントな『編み込みシニヨン』なんてどうですか?
ふふ、皆で買い物楽しいー!
エミリオ:
レムレース、気が合うね。
やっぱりそう思うよね。
はは、やだなぁ、グレン。
友人にそんなことする筈ないじゃないか。
パートナーがいる人にはそんなことしないよ。
でもまあ、露出狂でお風呂好きな悪の親玉がバカンスなんてしていたら全力で『トーベント』を叩き込みにいくけど。
なるべくパートナーの肌を見せなくないなら今年の流行はぴったりなんじゃないかな。
前年は大胆なデザインが流行ったから今年は控えめの傾向にあるようだね。
それでも抵抗があるのなら神人が選んだ水着にあう上着を買ってあげればいいと思うよ。 -
2015/07/27-00:47
グレン:
海水浴場でエミリオ見かけた時はさっさとその場を離れたほうが
良さそうだっつーことはよく分かった。
好みなぁ…露出が過ぎるやつじゃなければ別にいいんじゃないか。
あんまり肌晒されてても有り難味ねーし。
(もしそんなモン持って来たら海水浴なんぞぜってぇ連れて行ってやんねー)
ニーナ:
あ、ミサさんの選んでくれたやつすごく綺麗な色ですっ
近くにもいくつか同じ色の水着がありますし、色々見てみましょうか。
…そういえば前に着た胸元にフリル付いてるやつ、可愛かったなぁ…
ふふ、何だかこうやってわいわい一緒に水着選ぶのも楽しいですねー! -
2015/07/26-22:04
レムレース:
(エミリオの様子に何だか妙に納得した顔)
…成程、やはり「パートナーの水着姿を他の男に見られたくない」という感情はあって当然のものなんだな。
そうか、俺が特別おかしいことを考えていたわけではなかったようだ…良かった…
好み、というか…そうだな。香奈なら何でも似合うと思うぞ。
香奈:
何を選ぶにしても、一番大事なのはその人に似合うかどうかよね。
だからあたし、やっぱりビキニにしようと思うの(にっこり)
でも『隠す色気』というのもありだと思うし…まあ、時間はまだたっぷりあるんだし、いろいろ見てみましょう。
ヘアアレンジかぁ…この前アップにしたら意外と反応良かったし
そういうことならミサに頼んじゃおうかしら。
うなじが出るやつでお願いね♪ -
2015/07/26-20:44
エミリオ:
(飲んでいたジュースをふきだしそうになり)ごほっ・・・好みの水着か、今まで考えたことなかったな・・・。
ウィンクルムになるまで誰かと遊びに行く機会なんてなかったからね。
俺はミサが選んだ水着なら何だっていいと思うよ、うん。
問題は海水浴場に居合わせた男の目をどうつぶ・・ふふ、何でもない(にっこり)←
ミサ:
流行にのるのもよし、自分好みの水着にするのもいいよね!
私はギンガムチェック柄のビスチェタイプの水着にしようと思ってるよ。
わぁっ、ありがとうニーナちゃん!
私ピンク大好きー!
ニーナちゃんはアクアマリンブルーの水着はどうかなっ
そうだ、私ね水着を試着する時に簡単にヘアアレンジもしようかなって思ってるの
私の技術じゃプロみたいな難しいのはできないけれど、もしヘアアレンジしたいっていう人がいたら言ってね
私頑張っちゃうよ! -
2015/07/25-03:25
アンダンテ:
あら、みんなも来ていたのね!
もうすっかり夏だものね。私もそろそろ水着の準備をしておいた方がよさそうだと思って。
最近の流行は露出低めの水着なの?なるほどね…。
一座の姉さん達に使える物は使えと教わった事があるから大胆に、とも思っていたのだけれど流行に乗ってみるのも捨てがたいわね。
これだけ種類があるなら迷うのもなかなか楽しそうだわ。
わりとタイプがばらけているし、みんながどんなのを選ぶのかも参考にさせて貰おうかなって思ってるわ。
サフィール:
お久しぶりです。みなさんも付き添いでしょうか。
(神人達眺め)……長くなりそうですね。 -
2015/07/24-23:11
リオ:
水着を一着も持っていないと言ったら、買ってこいと言われたリオだ。(何故か説明口調)
水着ってその・・・肌を隠す面積が少なくて、破廉恥というか・・・。(赤面)
な、なるべく露出の少ない物を・・・。
アモン:
あいつぐらいの年頃で水着持ってねーなんてありえねぇだろ・・・。
待ってんのも退屈だよなー。
・・・なあ、お前ら好みのパートナーの水着姿ってどんなよ?(ニヤニヤ) -
2015/07/24-08:48
香奈:
皆も水着を買いに来たのね。あたし、去年は泳いでないから今年は行くわよー!
ミサもニーナも、甘めのデザイン似合いそうよね…あたしはどうしようかしら。
え、流行は露出抑え目なんだ…?
確かにレムもそっちの方が好きかも…でももうちょっと大胆なやつでも…
うん、よし、決めた!あとは柄よね♪候補を持ってこようっと。
レムレース:
(男性陣の近くにやって来て)
水泳鍛錬ならするが、遊びで泳ぐ用のものは持っていなかったのでな。
まあ折角の機会だから選んでもらうのに異存はないんだが…
…あいつ、俺の分忘れてないだろうな…?
一応、二人分選んでくるとは言っていたのだが… -
2015/07/24-08:39
-
2015/07/23-22:39
ニーナ:
うぅ、水着頑張って見つけないと今月ピンチかもです…
あっ、皆さん偶然ですね、こんにちはーっ!
私もそろそろ水着新しいのが欲しいなと思って買いに来たんです。
一緒に遊びに行くんだったらやっぱり可愛いの来て行きたいですし…(ぼそ)
この売り場、可愛い水着いっぱいあるから悩みますねー、
好きな色で決めるか、それともデザインで決めるのか。
わ、私はあんまり胸元が目立たないのがいいなー…なんて…
あ、ミサさん、あっちのピンクのやつとか似合うんじゃないですかっ?
えーっと、あとは…
グレン:
(来て早々面白いもん見たなー、店員GJ、とこっそり視線を送る)
まーな、あんな場所で一人待たされるのは流石にきついし
俺も一緒にここで待たせて貰うわ。
あいつなら「俺の気に入る水着買ってこなかったら帰りにケーキセット奢り」って
言ってみたらすげー必死な感じで水着売り場飛んでったぞ。
今頃そっちのパートナーと合流して水着選んでるんじゃねーの?
…何か人の水着見てばっかりで自分の選ぶの忘れそうだな、あいつ。 -
2015/07/23-01:03
ミサ:
最近暑すぎて溶けちゃいそうだよね・・・(ぐだー)
海やプールに遊びに行くのに水着を新調しようと思ってデパートに来てみたのだけど、水着って色々種類があるよねー迷っちゃうな~(目キラキラ)
皆は着てみたい水着は決まってる?
ちなみに今年は『肌の露出が低めな』水着が流行みたいだよ!
エミリオ:
(店の片隅で1人ジュースを飲んでいたところを店員に話しかけられる)・・・は? 水着の試着?
俺はお・と・こ・だ!(ちゃぶ台返し)
まったく・・・あっ、や、やあ、偶然だね
・・・なんか、恥ずかしいところを見られちゃったな
皆もパートナーの付き添いかい?
俺のとこはミサが『エミリオさん好みの水着を見つけてくるね!』って売り場に突入したまま戻ってこないんだ(苦笑) -
2015/07/23-00:59