プロローグ
交響楽団タブロス・フィル・ハーモニーは、完成して間もない音楽堂「ハルモニアホール」での演奏会を目前に控えていた。
しかし、ひとつ、問題があった。
今回の演奏会のスポンサーであるブリアンヌ伯爵夫人が、演奏する曲目を指定してきたのだ。
それは……組曲「生者の門」。
音楽家ベーツァルト・シューバッハが親友を亡くした時に作られた組曲と言われ、音楽家たちの間では、「禁忌の組曲」と呼ばれている。
それは、なぜか。
組曲第4番「開門」にて、死者の霊が現れるから、と言われている。
実際、6年前に死者の霊が現れ、そのために死傷者が生じている。
それ以来、組曲「生者の門」は禁忌の組曲として、音楽家たちは演奏を控えてきたのである。
しかし、スポンサーの要望とあれば、無碍に断るわけにもいかない。
タブロス・フィル・ハーモニー事務局長は、演奏会開催中の警備を、ウィンクルムへ依頼し、スポンサーの依頼通りの演奏を行うことにした。
ここに、報告書がある。
6年前に起こった、組曲「生者の門」事件の報告書である。
報告書によると、組曲4番「開門」演奏時に現れた死者の霊は、観客たちへ危害を加えた。
が、それは、ホールに入り込んだヤグルロムの影響である可能性が高い、と。
ヤグルロムが生じさせる幻影が、音楽の影響を受け、死者の幻影となったのではないか。
幻影は、それを見る人と縁のある死者の形をとり、その人を罵り、襲い掛かったという……。
ヤグルロムについては、A.R.O.Aでは以下のように知られている。
アンコウのような頭部を持ったオーガ。
幻影を出現させ、相手を攻撃する。その間本体は、背景に紛れて防御力が高まる。
ブヨブヨした胴体は、弾力があり、表面を覆う粘液と相まって、ダメージを吸収する。
A.R.O.Aに残されている報告書は、以上である。
禁忌の組曲「生者の門」。
警備につくウィンクルムたちも、どうか幻影には注意して欲しい。
解説
幻影は、その人に縁のある死者の姿をして現れます。
ヤグルロムの幻影なのか、それとも、本当に「死者の霊」なのか。
見極める要素として、ヤグルロムの幻影の場合、言動が非常に攻撃的である、という点があります。
ヤグルロムの幻影であった場合は攻撃で打ち勝ち、死者の霊であった場合は、対話、戦闘などで鎮めてください。
現れる死者の霊(もしくは幻影)は、精霊、神人、どちらに縁のある人でも構いません。
精霊、神人それぞれに違う死者の霊が現れても構いませんが、その場合、精霊、神人がそれぞれ1人で死者の霊と対峙することになります。
現れる死者はどのような関係の人であったかをプランに明記してください。
今回の目的は、ウィンクムの前に現れた死者の霊を納得させて退散させ(もしくは幻影を打ち破り)、ハルモニアホールに潜むヤグルロムを倒すことです。
ヤグルロムの数は、3体前後と予測されます。
属性は現時点不明です。
プラン記載必須事項
・現れる死者はどのような人物で、どのような言動をするか
・ウィンクルムは死者に対し、どのような対応をするか
・幻影を打ち破った後、ヤグルロムに対しどのように戦うか
警備する場所は、ハルモニアホール観客席、舞台(舞台袖含む)です。
観客席には観客が、舞台にはオーケストラがいますので、気を付けてください。
観客は現れた幻影に混乱していると思われます。
オーケストラのメンバーは、命より楽器を大事にする者もいますので、配慮が必要です。
また、幻影が現れても、よほどの事態にならない限り、演奏は停止しません。指揮者のこだわりのようです。
しかし、なぜこんなところにヤグルロムが出現したのでしょう。誰かの手引きがあった可能性もありますね……。
それでは、健闘を祈ります。
ゲームマスターより
この世から消えてしまったあの人が、あなたに伝えたいことは、一体何でしょう。
励ましの言葉?恨み言?それとも、生きていた時のようにただ笑い合っていたい?
もう一度言葉を交わしたい人が、私にもいます。
きっと、ウィンクルムの皆様にも、いらっしゃるのではないかと思います。
リザルトノベル
◆アクション・プラン
ニッカ=コットン(ライト=ヒュージ=ファウンテン)
ブリアンヌ伯爵夫人って何者かしら なんでこんな危ない曲を選ぶのかしらね? よほど逢いたい人がいたか、あるいは悪者か、よね 【配置】観客席後方 ホール全体を見渡し、幻影・ヤグルロムの出現している場所、観客の避難場所などをインカムを通し指示する 攻撃的な発言をしている幻影から観客を遠ざける指示を出してたの ライトの様子がおかしいことに気が付いたわ 女の子の幻影は明らかに攻撃的なのに反撃しようとしないのよ あたしには誰だかわからなかったけどこのままじゃライトが危ないと思って弓を引いたわ 何やってるのよ!しっかりしなさい、ライト!! 敵の属性は判らないけどこの矢なら盲ましの効果もあるわよね ヤグルロムにも引き続き弓攻撃する |
ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)
【道具申請】 インカム(人数分) 【配置】 開幕トランス 舞台袖から観客席を見渡すように監視 二人で索敵(神人鎧、精霊頭装備の【殺気感知】効果使用) 察知したら素早く全員に警戒を促すインカム 舞台袖にヤグルロムがいたら連絡 奏者から引き離してもらう 【死者へ】 最後に 「ディエゴさんが馬鹿な事をしないように、見守ります」 【対幻影&ヤグルロム】 すぐにハイトランスへシフト 魔守のオーブを展開し、幻影を精霊と囲むように移動 自爆の動きを見せたらオーブでバリア展開&防御 幻影が片付き次第ヤグルロムの胴体を粘膜突き破る要領で貫通攻撃 【その後】 今できるのは彼が笑えるようになったら、笑顔で迎えてあげる事 少し…切ないですが |
出石 香奈(レムレース・エーヴィヒカイト)
配置は客席右側で警備 演奏中も油断せず周囲を警戒 死者を見る側 見知らぬ男性の姿だが自分の父親だと直感する 「この親不孝者」 「お前をオーガ様に捧げるために産ませたのに」 罵倒されショックで崩れ落ちる そんな…父が教団員だなんて あたしはオーガの生贄になるために生まれてきたの…? レムに抱き締められ何とか自分を取り戻す そうよね…大事なのは何のために生まれたかじゃない、今何をするべきか 気を取り直してトランス 左手の甲を見せウィンクルムだと知らせて 混乱して取り乱したりする客を落ち着かせる オーガは神人を狙う習性があるからその場合は囮も兼ねる その後精霊と共に客席後方へ合流 ヤグルロムが再度幻影を出さないかを警戒して見ておく |
アンダンテ(サフィール)
死者って言葉の通り死んだ人よね 会いたいような、会いたくないような… 観客席左側で待機 死者 旅芸人一座の座長 壮年の男性 神人の事を心配しているような様子 違うわ、きっと偽者よ …死んでなんかいないわ、絶対にまだ生きているわよ! 精霊と幻影の会話を黙って聞く 認めたくないけどこれが最後かもしれない 覚悟決め怖々と口を開く 会いにきてくれて、ありがとう 私は大丈夫よ もう一人じゃないもの 最後は笑顔で別れたい ・幻影対処後 トランス 観客に声を掛けて宥める まだ演奏が続いている事を上げ これは今回のイベントの一環であると騙し騙し伝え落ち着かせる 嘘だとばれないよう堂々とした態度と声色で 声は演奏の妨げにならない程度に (一般スキル使用) |
ヒヨリ=パケット(ジルベール=アリストフ)
初任務で緊張 伯爵夫人は何故曲を指定したのか ★母の幻影 歪んだ笑顔で貴族や豪商を罵る お前もそう思っているだろうと迫られる お母様 どうか どうかお止めになって 混乱と恐怖で後ずさる ジルを見たら心が落ち着いて頭が冴えた お母様はおっしゃった 奉仕の心と誇りを忘れるなと 貴族とは驕り高ぶり他者を虐げるものではないと 「あなたはお母様ではありません」 「参りましょう」 ※トランス 素早く懐に飛び込み斬る 爆風で飛ばされても 後ろには彼がいる 顔を見たら泣いてしまいそう ★戦闘 観客の誘導とパニックになった方を宥める お年寄りや子供優先 怪我人は安全な通路から舞台の方へ 伯爵夫人にお聞きしたい お会いしたい大切な方がいたのか 話すことができたのか |
●開幕
「こちらハロルドです。皆さん聞こえますか」
ハロルドは、音楽堂「ハルモニアホール」から人数分借りたスタッフ用インカムの送受信チェックを行う。
ホール観客席は既に全席埋まり、ウィンクルムたちは全員配備位置に着いて開幕を待っている。
観客席後方でホール全体を見渡しているのは、ニッカ=コットン。既にパートナーのライト=ヒュージ=ファウンテンとトランスを済ませており、ライトは別の場所の警備についている。
「ブリアンヌ伯爵夫人って何者かしら。なんでこんな危ない曲を選ぶのかしらね?」
素直な疑問を口にする。
伯爵夫人は何故この曲を指定したのか。
それは、ヒヨリ=パケットも思っていたことであったが、初任務で緊張している彼女にはまだ、他の仲間と会話をする余裕はなかった。
舞台上手袖の陰から硬い表情のままホールを見つめるヒヨリに、ジルベール=アリストフが優しく声をかける。
「ピヨの傍には僕がいるから、大丈夫ですよ」
ニッカの疑問にインカムで答えたのは、観客席の中央を横切る通路、その真中に方膝をついて待機しているライト。
「ブリアンヌ伯爵夫人……最近、よく名前を聞きますね。あまり良い噂ではないようですが」
近頃イベリン領内で頻発している不穏な事件の陰に、彼女の名前が挙がることが多いのだ。
「よほど逢いたい人がいたか、あるいは悪者か、と思っていたけれど……」
どうやら後者みたいね、とニッカは呟いた。
マントゥール教団には、「悪意の冠」等、デミ・オーガを操ることができる道具があるとも聞く。もし伯爵夫人が教団と関係していて、そのような道具を使えば……ヤグルロムをホールに紛れ込ませるのも不可能ではないだろう。
「死者って言葉の通り死んだ人よね。会いたいような、会いたくないような……」
観客席左側でサフィールと共に待機しているアンダンテはそう言って苦笑する。
アンダンテの傍にはサフィールが寄り添っている。視力の低い彼女が、照明の落ちた会場内で安全に動けるように。
「死者、ねぇ……」
観客席右側の配置に着いた出石香奈は、あたしの前には現れるのかしら?と独り言を言った。
例えば、両親とか?いやいや、両親なんて、死者かどうかもわからない。生きているか死んでいるか、それすら香奈は知らないのだ。
「レムは、どう思う?」
香奈が同じ場所で警備に着くレムレース・エーヴィヒカイトを見上げる。
「大切な人なら、例え死者の霊だとしても怖くはないな」
その時、開演5分前のブザーが鳴った。
袖から楽団員たちが舞台に出ていき、それぞれの席に着く。
「そろそろですね。ディエゴさん」
舞台下手袖の配備位置に着いたハロルドは、パートナーのディエゴ・ルナ・クィンテロと視線を交わす。
死者の霊や、ヤグルロムの幻影が現れるとされているのは組曲第4番。しかし、それ以前からヤグルロムは周囲にいると思われる。
「Youre My Best Friend」
ハロルドはディエゴの頬に口付け、トランスする。予想外の襲撃に備えるためだ。
そして開演のブザーが鳴り響き、ゆっくりと緞帳が上がった。
●死者の門が開くとき
ハロルドとディエゴは、舞台下手袖から観客席を見渡すように監視しつつ、ハロルドが装備するカムイノミ - ホロケウとディエゴが装備する覆面「サイレントナイト」の殺気感知能力を頼りに、どこかに敵が潜んでいないか索敵活動を行っていた。
曲が進行するにつれ、ザワザワと、鳥肌のような嫌な感覚が僅かながら強くなっていく。
敵が近づいている、ということだろうか。
しかし、この場所にいる、という決定打は得られない。
「皆さん、注意してください」
とだけ、ハロルドはインカムで伝えた。
本当なら、第4番が始まる前に敵を察知し、騒動を発生させないのが一番だったのだが、指揮者はとうとう組曲第4番「開門」のタクトを振り下ろしてしまった。
厳かな鐘の音が鳴り響き、弦楽器がピアニッシモで和音を奏でる。重ねるようにフルート、ピッコロの高音が奏でられ、音量は徐々に大きく。
そして金管楽器の主旋律。雷鳴のごとく響くティンパニー。
舞台上手袖のヒヨリが、びくっと肩を震わせ、それをジルベールが優しく撫でる。
「だ、大丈夫ですわっ」
と、小声で強がるヒヨリ。
演出なのか、照明がフラッシュのように瞬き、出入り口ドアが開かれ風が流れてくる。
ふわり、風と共に、霧の塊が動いたように見えて、出石香奈は目を瞠った。
よく見れば、霧の塊は一つだけではない、2つ、4つ、8つ……瞬く間にその数を増やしていき、人の姿を象っていく。
「殺気が、いきなり強くなった」
インカムにディエゴの声が流れる。
「ひとつは舞台天井。もうひとつは観客席右後ろ。そして観客席左中央にも」
早口でハロルドが告げる。既に場所が把握できるほどの強い殺気になっているのだ。
「観客を避難させよう」
という香奈に、
「どこへ?」
と、ニッカ。
「あ、あのっ!観客席の左後ろはいかがでしょうっ」
上ずった声でヒヨリが提案する。
長く談義している時間はない。
「観客席担当の皆さんは左後ろに観客を誘導してください」
ハロルドが指示し、ウィンクルムたちは動き始める。
「まだ演奏は続いているわ。これは今回のイベントの一環だというふりをして、皆を落ち着かせましょう」
アンダンテの提案に、皆乗ることにした。
香奈が見た霧の塊は、死者の霊となり、観客たちに接触を始めたようだ。
客席のあちこちから啜り泣きが聞こえ、立ち上がる者、頭を抱えるものが続出している。
ウィンクルムたちは素早く動き、死者の霊を見ていない観客から先に、観客席左後方へ避難するよう指示する。
香奈もレムレースと共に、死者の霊を見ていない観客を誘導し、死者の霊に惑わされている者には落ち着くようにと声掛けをしていった。
「大丈夫よ、落ち着いて。気をしっかりもって。これも演出ですから」
揺らめく白い煙のような人影を恐れ、動けずにいた老婆に手を貸し立たせる。
すると、老婆に覆いかぶさるようにしていた白い人影は、突如その輪郭をはっきりと表す。
香奈はその人影を凝視した。
それは……見る間に中年男性の姿を象った。
「あ、あなた、は?」
香奈の口から乾いた声が漏れる。
問いかけはしたけれど、香奈は直感で、彼が誰か、わかっていた。
その姿に見覚えはなくとも、遠い遠い記憶が揺さぶられる。
男は唾を吐く勢いで毒づく。
「この、親不孝者め!」
やはり、この人は父だ。でも、親不孝者?あたしが?
「お前をオーガ様に捧げるために産ませたのに」
(え……っ?)
香奈は頭の芯を見えないハンマーで殴られたような衝撃を受ける。
なんと言った?父は、何を言っている?
「香奈!」
レムレースが香奈の異変に気づき、彼女の腕を掴む。
しかし香奈は、心ここにあらず。
「よりによって、神人になど……偉大なるオーガ様に楯突く存在になっているとは!」
言葉の端々からわかること。それは、この父がマントゥール教団員であるということ。
香奈はその場に膝をつき、髪が乱れるほどに首を振る。
あたしは、教団員の娘で、生贄になるために生まれてきたの……?
あたしは、あたしの命は、父にとって、すぐに消してしまえる程度の存在だったというの?
「まあいい」
父はにやりと笑う。
「今この場で、仲間ともども、生贄にしてやろう!」
父の姿が霧散すると同時に、辺りに一気に死者の数が増え、人々の叫び声が聞こえ始めた。
死者、いや、ヤグルロムの幻影が現れたのだ!
しかし香奈は、茫然自失としたままだ。
「あたし……あたしは……」
「香奈しっかりしろ!」
レムレースは香奈の両肩を揺さぶり叱りつける。
「お前が何のために生まれようと、今は違う」
未だ焦点の定まらない香奈の瞳を覗き込み。
「お前を必要としている人がいる」
耳元に囁きながら。
「俺にはお前が必要だ」
レムレースは香奈の背に両腕を回し、彼女の体をしっかりと抱きしめた。
「あ……」
レムレースに正面から抱きしめられるなんて、これが初めてだ。
彼の体温、匂い、手の感触。
感じるごとに、香奈の意識はレムレースに引き寄せられる。
温かく大きな手は、香奈の背を優しく撫でる。
レムレースが、ここにいる。香奈を必要としているレムレースが。
そして、香奈の耳に、観客たちの悲鳴が届く。ウィンクルムの助けを求める声。
それは即ち、神人たる香奈を必要としている声。
(あたしったら……)
香奈は、この数秒間の自分を恥じた。何を迷っていたのだろう。
「そうよね……大事なのは何のために生まれたかじゃない、今何をするべきか」
ふっと不敵に笑い、未だ彼女を抱くレムレースの頬に唇を寄せる。
「やってやろうじゃない」
生まれた理由がなんだというのだ。今、生きる理由を見失うな。
香奈とレムレースをオーラの光が覆う。それは心なしか、いつもより強く。
「行こう、レム」
香奈は立ち上がり、声を上げる。
「みんな、落ち着いて。あたしたちはウィンクルムよ」
恐れ戸惑う観客に左手甲の紋章を見せ、安心させては避難場所へ集まるよう指示する。
香奈が自分の存在を誇示したのには、観客を安心させるほかにも狙いがあった。
(オーガ、そしてオーガの幻影ども!神人はここよ!狙うなら、あたしを狙いなよ!)
ヤグルロムの意識をこちらに向けさせ、観客たちから引き離すつもりなのだ。
香奈の意図は見事に当たり、以降、ヤグルロムの幻影たちの攻撃対象はウィンクルムが主となった。
香奈の後ろで、レムレースはヤグルロムの幻影が現れないかどうか、気を尖らせていた。
特に、香奈の父親。ヤツが現れたら、問答無用に斬り散らしてやるつもりだった。
先ほどのアレが幻影なら、香奈を惑わした罪は重い。
いいや、もし本物の死者でも香奈を傷つける者は許さない。
たとえ実の父親であっても。
最前列は、貴族や豪商たちの特等席だ。美麗な衣服に身をつつむ観客がずらりと並ぶ。
ヒヨリは、特等席の観客に罵声を浴びせる者の存在に気が付いた。
初め声だけの存在だったそれは、次第に輪郭を現し、ついには1人の婦人の姿になる。
「お母様!」
その姿を認めると、ヒヨリは矢も楯もたまらず、舞台下へ降りる。
「ピヨ!」
ジルベールの制止も届かない。仕方なくジルベールは彼女を追いかける。
「どうか、どうかお止めになって!」
ヒヨリが声を限りに叫ぶと、母はゆるりと振り向いた。
「あら、ヒヨリ。こんなところにいたの?」
ヒヨリの母は、にっこり優雅に笑った。けれど、その笑顔はどこか不自然で……まるで貼り付けた面のよう。
「ねえ、ヒヨリ」
母は甘い声を出しながら、ヒヨリに一歩近づく。
「この人たちはね、金と権力に溺れた汚い人間よ。あなたが気にする価値もない」
母の笑顔は次第に歪んだものになっていく。
「あ……」
こんな表情の母を、見たことはない。ヒヨリは混乱と恐怖で後ずさる。
「ピヨ……!」
追いついたジルベールは、ヒヨリとその母との間に割って入ろうとした。しかし。
(これは彼女が乗り越えるべき試練なのだろう)
ジルベールは思いとどまる。その代わり、彼女が試練を乗り越えるのを、誰にも邪魔させはしない。
ジルベールはマジックワンドを構え、新たな敵の出現に備えて周囲を警戒する。
「利権があればすり寄って、なくなれば平気で裏切って。宝石やドレスで飾ったところで、汚い金の匂いが臭くってたまらないわ!」
「お母……様」
「ねぇ、ヒヨリ。あなたもそう思うでしょう?」
にぃ、と歪んだ笑みの顔をヒヨリに近づけ、囁く母。逃げようにも、足がすくんで動けない。
「私……私は……っ」
ヒヨリは視線を泳がせると、少し離れた場所で見守っているジルベールと目が合った。
ジルベールは無言で頷く。
(ピヨなら、乗り越えられます!)
ヒヨリは、すうっと心が落ち着き、頭が冴えていくのを感じた。
ヒヨリの首に手をかけようと腕を伸ばしてくる母に向け、ぴしゃりと言い放つ。
「あなたはお母様ではありません」
ぴくり、と『母』の手が止まる。
「何を言っているの?ヒヨリ」
「お母様はおっしゃった。奉仕の心と誇りを忘れるなと」
ギリ、と歯噛みし母が腕を振り上げる。ヒヨリは母をしっかと睨み返す。
「貴族とは驕り高ぶり他者を虐げるものではないと!」
母の幻影がその腕を振り下ろす直前、駆けつけたジルベールがヒヨリを抱え、横に跳ぶ。
幻影の腕は空を切った。
ジルベールは幻影から距離をとったところでヒヨリをおろし、彼女の隣で膝をつく。
「ジルさま……」
「いつでも貴女と共に」
ジルベールが首を垂れる。ヒヨリはひとつ、頷いた。
「さあ、参りましょう」
ヒヨリはジルベールの頬に唇を寄せた。
迷いがないと言えば嘘になる。でも、覚悟はできた。
ヒヨリは小さな体で、剣を構える。
覚悟が揺らぐ前に、幻影に突進する。ジルベールは、バリアで彼女を守る。
幻影の手が、突進してきたヒヨリの体を弾き飛ばす。
「ぅあっ」
床に倒れたヒヨリにさらに一撃加えんと、幻影が迫る。
「っ!」
ヒヨリは床を転がり自ら幻影に接近すると、その懐に入り込み、足元から切り上げる。
途端、幻影が爆ぜ、ヒヨリは床に身体を擦りながら爆風に飛ばされる。
その小さな身体が、大きな身体に受け止められた。
「ジル、さま……」
「よく頑張りましたね」
ジルベールはそっとヒヨリを抱きしめる。
「後ろに、あなたがいると、思ったから」
ヒヨリは顔をあげずにそう呟いた。今、ジルベールの顔を見たら、泣いてしまいそうで。
バリアがあったとはいえ、彼女が受けたダメージは大きい。ジルベールは、ファストエイドを発動し、ヒヨリの回復を図った。
前列の観客たちはヒヨリが幻影と対峙している隙に、避難できたようだ。
ニッカは観客席の間を歩き周り、ヤグルロムの幻影がいないかどうか注意しながら、左後方へ避難するよう観客に呼びかける。
(こっちには、それらしきものはいないわね。ライトの方はどうかしら)
ニッカは、中央通路でニッカ同様観客の避難誘導を行っているライトに視線を走らせた。
「少し危険な演出ですので。皆さん、あちらへ避難を!」
ライトが呼びかけると、観客たちは慌てふためきながらも移動を始める。
「さあ、あなたも」
恐怖のためか、じっと立ち尽くしている少女を見つけ、その背に声をかける。どことなくニッカに似ている、その後ろ姿に。
「いやよ」
少女はゆっくり振り返った。
ライトは息を飲んだ。少女はそんなライトの様子を楽しむように、にやぁと歪んだ笑みをうかべる。
「あなたの言うことなんて、聞いてあげない」
「あなた、は……」
彼女の名を呼ぼうとして、戸惑う。なぜなら、目の前にいるのが『彼女』であるはずがないのだから。
「新しい神人さんが現れたから、あたしのことなんて忘れちゃったのかしら?」
この姿を、忘れるはずがない。
「死んじゃった神人には、もう用がないものねぇ」
一度は契約し、心を通わせたパートナーを忘れるはずが、ない。
「私は、あなたを忘れたことなど……」
「うるさい!」
彼女は険しい表情で、ライトの頬を打つ。彼女の爪が皮膚を削り、そこに血が滲む。
「1人だけのうのうと生き延びて!あなたの言った言葉なんて全部嘘!」
激しい罵倒に、ライトは眩暈がして冷や汗が出た。
「違います……!」
あの頃は本気で彼女を守ろうと思っていた。真剣に2人の絆を誓っていた。そこに嘘はない。
「あたしを捨てたのね!あなたを信じて馬鹿みたい!」
「違います!」
ヒステリックに叫ぶ彼女に、ライトは手を伸ばした。
あの頃のように、彼女を抱きしめようと。
そうしたらきっと、彼女もあの頃のように、笑ってくれる。
「何やってるのよ!しっかりしなさい、ライト!!」
瞬間、ライトの鼓膜が激しい攻撃を受けた。
インカムから届くニッカの声だ。
と同時に、煌めく一本の矢。
幻影の頭上を掠めたそれは、ダメージを与えることなく遠くの壁に刺さったが、幻影の目をくらませ、ライトを正気に引き戻すには充分だった。
「お……お嬢さん」
振り向くと、観客席の後方に弓を番えた勝気な瞳の少女。離れていても、緑の瞳が爛々と輝き、金の髪が逆立たんばかりの怒りが伝わってくる。
その怒りは、どこに向けたものか。不甲斐無い精霊に?精霊を誑かした幻影に?いいや、その両方だ。
ニッカの「怒り」は、生のエネルギーに満ち溢れていた。眩いほどの、命の力。
ライトを絡めとる迷いの糸は断ち切られた。
今はニッカが護るべきパートナーなのだ。自分が今忠誠を誓っているのは、悪意の泥沼に引きずり込もうとしている亡霊などではない。
ライトは剣と盾を握り直し戦闘態勢に入る。
「あたしを、見なさいよォォォォーーー!」
咆哮にも似た声をあげ、幻影は牙をむき出し飛びかかる。
ライトは迷うことなく片手剣を真横に引き、幻影を切り払った。
幻影は断末魔の悲鳴を残し、破裂した。ライトは盾を用いてその爆風を防いだ。
「ライト、目は覚めた?」
ニッカが駆け寄ってくる。
「おかげ様で。ありがとうございます」
「さあ、気を引き締め直すわよ!」
ニッカとライトは、まだ潜んでいるだろう幻影とヤグルロム本体を探し出すべく、検索を始めた。
フェイクのスキルを使い、観客に、これは演出でありその一環として、少し避難をしていて欲しいと呼び掛けながら走るアンダンテとサフィール。アンダンテの堂々とした態度と声色に、観客もそれを信じてくれた。
そんな2人に壮年の男性が声をかけた。
「どうか、危険なことはしないでおくれ」
心配そうに言う男性に、サフィールは見覚えがなかったが。
「……座長!どうしてここに?」
息を飲むアンダンテの様子に、壮年の男性が、かつてアンダンテが所属していた旅芸人一座の関係者だと悟った。
不思議と、薄闇の中にも関わらず、彼女の目には男性の姿がはっきりと見えるようであった。
「アンダンテ、彼は……」
死者の霊なのではないか、そう言いかけたサフィールの言葉を遮るように、アンダンテは頭を振る。
「違うわ、きっと偽者よ」
きっぱりと言い切るアンダンテ。
「……死んでなんかいないわ、絶対にまだ生きているわよ!」
そんなアンダンテとサフィールの耳に、低い声が聞こえた。
「そう、あいつは偽物だ」
「!」
驚き2人が振り返ると、そこにはもう1人の座長の姿が。
「本物は、私だよ」
にまぁ、と後から現れた座長が笑う。
瞬時に危険を悟ったサフィールは、アンダンテの腕を引き彼から離れる。すると彼は、長い爪を生やした手を素早く突き出してきた。
寸手のところでそれを避けることができたが、なにぶん客席という障害物が多すぎる。次も回避しきれるとは限らない。
もしもの時は、自分が身を挺して――サフィールがそう思った時だ。
まるで色のついた霧が流れて来たかのように、先に現れていた座長が移動しアンダンテたちと、もう1人の座長、つまり幻影の間に立ちふさがった。
座長の姿に阻まれて、幻影はアンダンテたちを見失う。その機を逃さず2人は座席の間に身を潜めた。
幻影はしばらく2人を探していたが、完全に見失っている様子だ。
アンダンテがほっと息をつくと、目の前にすうっと座長が現れた。
「……座長」
目の前の座長は心配そうにアンダンテを見つめる。
アンダンテにはもうわかっていた。彼が、本物の座長だということが。
いや、本当は、最初からわかっていた。ただ、死者だと認めたくなかっただけ。
「あなたは」
サフィールが口を開く。
「アンダンテの身を案じているのですね」
死した今もなお。
アンダンテがどれほど旅一座の者たちに愛されてきたのかがよくわかる。
そしてきっと、アンダンテも彼らを大切に想っているのだろう。
だからこそ、彼には安らかな眠りを与えてあげたい。
サフィールはアンダンテの手をとり強く握ると、座長の瞳をしっかりと見つめる。
「後は俺が引き受けますから、どうか安心してください」
「任せて、いいのかね」
「大丈夫です」
アンダンテがサフィールを見上げると、彼は、真摯な瞳で座長と視線を交わしていた。
座長は、穏やかな表情をしている。
「いい人と、出会えたね」
「座長!」
認めたくないけれど、これが最後かもしれない。
覚悟を決めたアンダンテは、怖々と口を開く。
「会いにきてくれて、ありがとう」
座長がアンダンテに笑顔を向ける。アンダンテも笑みを返す。そう、最後は、笑顔で別れたい。
「私は大丈夫よ。もう一人じゃないもの」
座長はアンダンテの言葉を聞くと満足そうに頷き、そして、その姿を空気に溶かしていった。
「行ってしまったようですね」
サフィールが呟きアンダンテに視線を移すと、彼女もサフィールの顔を見上げた。
その途端、笑顔のままのアンダンテの瞳から、水晶玉の粒のような涙が、ぽろぽろと零れた。
本人がそれに気付いていないはずがない。
しかしアンダンテは、笑顔を崩さぬまま、サフィールに告げる。
「私達のすべきことを、やりましょう」
サフィールが頷くと、アンダンテはインスパイアスペルを唱え、彼の頬に口付ける。彼女の涙がサフィールの頬を僅かに濡らすが、サフィールは気付かないふりをした。
立ち上がり、客席の間から抜け出すと、観客たちはほとんどが避難を終えた様子であった。
そこに、座長の幻影――すでに半分デミ・リビングデッドのような姿となった幻影がゆらゆらとうろついている。
縦横の中央通路が交差した地点に、ニッカとライトの姿を見つけたアンダンテとサフィールは、急ぎニッカたちと合流し、4人で座長の幻影と対峙する。
盾を構えるライトの後ろで、ニッカが矢を番えサフィールが魔法の詠唱を始める。サフィールの傍にはアンダンテが寄り添い、ジェンマの魔力でサフィールの攻撃力をサポートする。
ライトはニッカたちに離れるよう指示する。
「幻影は、私が引きつけます。引きつけきったところで、サフィールさんの攻撃を当ててください」
そういうと、自ら幻影に向かっていき、アプローチⅡを発動させる。
幻影は爪を振りかざし、牙をむき出してライトに飛びかかる。
ライトは盾を駆使してそれを防ぐ。
「ライト!」
ニッカの呼び声が響く。ライトは機敏に跳び退ると、そこへ、サフィールの「乙女の恋心Ⅱ」が発動し、幻影が爆ぜた。
爆風は盾で防いだものの、ライトのアプローチⅡに呼び寄せられたのか、他に3体、デミ・リビングデッドが出現する。
「あれもおそらく、ヤグルロムの幻影ね」
ニッカは弓を構える。
「あまり音楽堂に傷が付かないよう、床や壁に当たりそうな攻撃は避けたいですね」
と言いつつ、サフィールも杖を掲げる。
そこへ、避難誘導を終えたレムレースと香奈が、ライトと合流する。
ロイヤルナイトが2人いれば、心強い。
ライトのアプローチⅡで敵を引きつけ、レムレースのフォトンサークルで防御力を上昇させる。香奈はレムレースに付き添い、ジェンマの力で彼の攻撃力を増幅させる。ニッカの矢とサフィールの魔法が後方から幻影を攻撃する。
そうして幻影たちを滅したところで、周囲を警戒していたサフィールの瞳が、右後方で蠢くヤグルロムの影を捉えた。
再度幻影を出されては困る。
サフィールは詠唱時間の短い通常の魔法攻撃でヤグルロムを攻撃する。
さらに、ニッカも、ライトたちの左側から彼らに迫るもう1体のヤグルロムの姿を見つけ、矢を放つ。
もはや幻影で目くらましを行っても無駄と悟ったのか、ヤグルロム2体は実体のまま、ライトのアプローチⅡに惹かれ彼に迫る。
ライトとレムレースは離れ過ぎないように、それぞれヤグルロム1体ずつと対峙し、盾で攻撃を防ぎつつこちらからも剣を振るう。フォトンサークルの効果が切れれば、レムレースがまた発動させる。
ニッカは、矢による後方支援を行い、その間サフィールはジョブスキルを発動させるため詠唱。ライトが対峙しているヤグルロムを、乙女の恋心Ⅱで灼く。
「ぐ、ぁ……」
半ば消し炭のようになりつつも、爪を振るおうとするヤグルロムを、ライトが叩き斬る。まるで、先ほど現れた『彼女』の幻影を断ち切るかのように。
流石のヤグルロムも消し炭と化せば、その皮膚も弾力を失い容易に斬ることができた。
留めを刺したことを見てとったライトは、レムレースに加勢する。レムレースと対峙するヤグルロムに後ろから切りかかる。
ヤグルロムが跳躍し、2人から距離をとれば、そこへサフィールの魔法攻撃。
いかにヤグルロムの皮膚が攻撃を吸収しようと、3人がかりの攻撃に、次第に体力を失ってゆき、ついにはその場に崩れ落ちた。
一方、舞台の上では。
「おそらくあの辺りにいるはずなのですが」
死者の霊が現れ始めるとすぐにハイ・トランスに移行したハロルドとディエゴは、巻き上げられた緞帳を見上げる。確実に上方から殺気は感じるのだが、未だその姿ははっきりとは見えない。
幻影を使い、身を隠しているのだろう。
舞台上では騒動が起こっていないかのように、演奏が続けられている。
演奏に集中している指揮者の耳には、音楽しか聞こえていないのだろうか。
楽団員の前にも何体か死者の霊が現れているが、それでも彼らは演奏を続けている。
舞台袖で、ヒヨリの回復を終えたジルベールが、楽団員を守るべくバリアを展開する。
「私はもう大丈夫ですわ、戦えます」
ヒヨリはそう言うが、彼女が戦線に出ることをジルベールは許さない。いくら回復したとはいえ、また敵の前に出るのは無理だと判断したのだ。
よってジルベールは舞台袖でヒヨリを守りつつ、楽団員もバリアで守るという立場を貫くことにした。
続いてハロルドも魔守のオーブでバリアを展開したのを確認し、ディエゴが上方に向かい威嚇射撃を行う。
と、陽炎のような何かが、どさりと落ちたかと思うと、即座に舞台下に消えた。
ディエゴも後を追い舞台を降りるが、既にその「何か」は見当たらない。
険しい表情で周囲を見回すディエゴ。
「ふふふっ」
不意に、ディエゴの耳朶を笑い声が擽る。
「!?」
ディエゴが振り向くと、そこには。
「エスメラルダ……!」
既にこの世を去った婚約者の姿があった。
ディエゴは軽く頭を振る。目の前のエスメラルダは、幻影か?
「やっぱり、仕事をしているときのあなたが一番素敵」
エスメラルダは生前と変わらぬ笑顔でディエゴを見つめる。
胸の奥に閉じ込められていた彼女への愛しさが、解き放たれてしまいそうになる。
「ね、私と一緒に、来て?」
エスメラルダがディエゴに手を差し伸べる。
ディエゴもその手を取りかけて――。
「お前は、エスメラルダではない」
寸前で、大切なことを思い出した。
一緒に来て、などと、エスメラルダが言うはずがない。
彼女は、ディエゴが過去の想いに囚われながら生きることを望んではいない。
目の前のエスメラルダの幻影は、にい、と笑って牙を見せた。
彼女の顔で、そんな表情をするな――。
ディエゴの胸に静かな怒りが沸く。
ディエゴは銃を握り、幻影から目を離さずに後ずさり距離をとる。
幻影は尚も下品な笑いを浮かべる。
「私がエスメラルダじゃなかったら、じゃあこの子かな?」
ぐにゃりと幻影の顔が歪み、次に現れた顔は、ハロルドのもの。
「……エクレール!」
「この子も、私みたいになっちゃうかもねぇ!」
あはははは、と高笑いをしつつ幻影の顔は次第に崩れ、まるで死して崩れたかのように変化する。
「……そんなに俺を怒らせ足りないか……?」
ディエゴは、ぎり、と奥歯を噛む。怒りで我を忘れそうになったとき、いつの間にか舞台下に降り、観客席の中に立っていたハロルドが声をあげる。
「私はそんな風にはなりませんよ!」
ハロルドはレイピアを構え、幻影を挑発する。
「私を地獄に引きずり落とせるものならやってみなさい!」
「お望みどおりに!」
幻影が、客席を飛び越えハロルドに襲い掛かろうと、高く跳躍する。
「!」
ハロルドの狙いはこれだったのだ。幻影を舞台にいる楽団員たちから離すため。
ディエゴはさっと銃を構え、着地前の幻影の頭部を撃ちぬく。たとえ幻影が誰の姿をとっていようと、迷うことはなかった。
幻影は着地と同時に爆ぜ、消えた。ハロルドの機転のおかげで、爆風による楽団員への被害はなかった。ハロルドの身体も魔守のオーブのおかげで、かすり傷が生じた程度だ。
ほっとするのも束の間。
ハロルドの両側に、デミ・リビングデッドの姿が現れる。
「エクレール!」
ディエゴは銃を構えるが、左右どちらから狙うべきか一瞬躊躇する。
しかし後方から、フォトンサークルを展開させたレムレースがハロルドの傍につき、左右のデミ・リビングデッドには、ニッカの矢とサフィールの魔法攻撃が飛んでくる。
攻撃を受けデミ・リビングデッドは爆発するが、レムレースがフォトンサークルと盾で守ってくれたおかげで、ハロルドに新たな傷はなかった。
幻影が打ち破られたため、ヤグルロムの実態が姿を現す。下手側の舞台下で、うずくまるようにしていたヤグルロムは、実態が現れてしまったことに慌てふためき、がむしゃらに攻撃してこようとするが、ディエゴはその頭部を狙いダブルシューターⅡを放つ。
エスメラルダの姿を、エクレールの姿を凌辱したこと、幻影を使ってエクレールを狙ったこと――決して許されない。
ディエゴの怒りの顕れのような弾丸は、ヤグルロムの頭部を損壊する。
それでもなお、攻撃しようとディエゴに迫るヤグルロムだが、駆けつけたハロルドのレイピアがその胴を貫通する。
ヤグルロムは反撃を目論み、腕を振り上げる。その瞬間、ハロルドは膝を折りヤグルロムの足元に沈み込む。そして丸見えになったヤグルロムの頭部に、ディエゴの弾丸が再度撃ち込まれた。
どさり、と床に倒れ伏したヤグルロムは、二度と動かなかった。
●終演
静寂が訪れたホールの中、組曲「生者の門」第4番「開門」が響き続ける。
ウィンクルムたちは念のためそれぞれの持ち場に戻る。
ディエゴは舞台袖で、静かに音楽を聞いていた。
そんな彼の前に、ふわりと、柔らかな光が舞い降りる。先ほどまでの禍々しい影たちとは違い、温かな光のそれは、女性の輪郭を象っていた。
「エスメ……ラルダ」
ディエゴにはわかる。これは、本物の、彼女の魂だと。
隣に立つハロルドが、ディエゴを見上げ、それからエスメラルダを見る。
エスメラルダは困ったような微笑を浮かべていた。
「もう……あなたが心配ばかりかけているから、私、天国に行き損ねたのよ」
優しい声が、頭に直接響く。
ディエゴはばつが悪そうな顔をした。
確かに、かつては自ら命を絶とうと馬鹿なことをしそうになった時が何度もあった。
だが、今は……。
「君が出てくる夢を見た」
どんな夢?と訊くように、エスメラルダは首を傾げる。
「……言葉を受け取ったが、俺は君や上司の事を忘れない」
未来へ進め、前を向けと言った夢の中のエスメラルダとかつての上司。
あれから、ディエゴはハロルドと2人で未来を見つめられるようになった。
ディエゴは、エスメラルダの瞳をしっかりと見つめる。
「ありがとう……かけがえの無い時間だった、真剣に愛していた」
「私もよ」
エスメラルダはにっこりと、笑った。その姿が、だんだんと薄くなっていく。
「ディエゴさんが馬鹿な事をしないように、見守ります」
去りゆくエスメラルダに、ハロルドは告げる。
エスメラルダはついっとハロルドに近づくと、
「彼、たまには引っ叩くくらいしないと駄目かもよ」
と耳打ちする。
「なっ……!エスメラルダ?」
困惑するディエゴに、くすくすと笑い声を残し、彼女は消えた。
気付けば公演は終了しており、楽団員たちが舞台から引き上げ始めている。
ディエゴは足元に落ちる「光る物」に目を留めた。
「これは……」
片膝をつき、拾い上げる。
見覚えのある指輪だった。
光に掲げてみると、内側の文字が読み取れる。
『Te amare por siempre』
永遠に、愛している。
エスメラルダへ贈った婚約指輪だ。
「ディエゴさん?」
控えめに声をかけるハロルドに、
「ああ、先に行っていてくれ。俺は少し……片付けたいものがあるから」
顔をあげず、告げる。
「……」
ハロルドは無言でそれに従い、ホールを出た。
音楽堂「ハルモニアホール」の外は、中の騒動など無かったかのように、晴れ渡る穏やかな天気であった。
「伯爵夫人にお聞きしたかったですわ。お会いしたい大切な方がいたのか。話すことができたのか」
ヒヨリが呟くと、ニッカがつん、と顎を上げて言う。
「もし会いたい人がいたとしたって、こんな方法とるなんて最低よ!」
「お嬢さん、簡単に『最低』などと言ってはいけません」
諌めるライトをニッカはぎろりと睨む。
「何よ!あなた今日はあたしにお説教できる立場じゃないわよ!」
「いえ、ライトさんは危険な役も引き受けてくれましたし……」
皆の怪我を回復して回っていたジルベールが、ライトを擁護する。終始アプローチⅡで敵の目を引きつけてくれたライトがいたから、今回の仕事はうまくいったのだ。
「私は、座長に会えて良かった」
アンダンテは微笑む。悲しい別れになったけれど、それでも、想いを伝い合うことができて、良かった。
「座長と約束したんだから、ちゃんと、私の面倒を見るのよ?」
冗談めかして言うアンダンテに、サフィールは僅かに苦笑するのだった。
「……香奈?」
会話の輪に入らず、考え込んでいる香奈に、レムレースは声をかける。
「あれは、本当の父親だったのかな」
香奈が呟く。
「言いたいことだけ言ってパッと消えちゃったじゃない、あいつ」
確かに。レムレースがその後、香奈の父の姿を探しても、もうどこにもいなかった。
だから、本当の死者の霊であったのか、ヤグルロムが作り出した幻影だったのか。未だはっきりとしない。
もしあれが、本当に父の霊であったのなら、「オーガの生贄にするために生まれた」というのも本当のことだということになる。
香奈が顕現後もしばしばオーガや教団関連のビジョンを幻視することがあるのも、そう考えれば納得がいくのだ。
そんな香奈の憂いを感じ取ったのか、レムレースは香奈の左手をとる。
「レム?」
レムレースは、香奈の左手の甲に口付けるようなポーズをとる。まるで、契約の時のような。
「お前が俺の神人であることに、変わりはない」
契約した、あの時から。
「うん……そうだね」
香奈は微笑んだ。
皆の会話を聞きながら、ハロルドは、晴れた空を見上げている。
エスメラルダはこの空の彼方で、ディエゴを見守っているのだろうか。
(今できるのは彼が笑えるようになったら、笑顔で迎えてあげる事。少し……切ないですが)
静寂の訪れた無人の舞台で、ディエゴはひとり、立ち尽くす。
エスメラルダが「さよなら」の代わりに残した指輪を胸に。
彼女が言うように、自分は未来を見て、前へ進んでいこう。
だが、そのためには……今は少しだけ……。
ディエゴの唇の端から、押し殺した嗚咽が漏れる。閉じた瞳から滴る雫は胸の前で握る拳に落ち、指の間に滲んで拳の中の指輪を濡らした。
依頼結果:大成功
MVP:
名前:ハロルド 呼び名:ハル、エクレール |
名前:ディエゴ・ルナ・クィンテロ 呼び名:ディエゴさん |
エピソード情報 |
|
---|---|
マスター | 木口アキノ |
エピソードの種類 | アドベンチャーエピソード |
男性用or女性用 | 女性のみ |
エピソードジャンル | イベント |
エピソードタイプ | EX |
エピソードモード | ノーマル |
シンパシー | 使用不可 |
難易度 | 簡単 |
参加費 | 1,500ハートコイン |
参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
報酬 | 通常 |
リリース日 | 05月20日 |
出発日 | 05月28日 00:00 |
予定納品日 | 06月07日 |
参加者
- ニッカ=コットン(ライト=ヒュージ=ファウンテン)
- ハロルド(ディエゴ・ルナ・クィンテロ)
- 出石 香奈(レムレース・エーヴィヒカイト)
- アンダンテ(サフィール)
- ヒヨリ=パケット(ジルベール=アリストフ)
会議室
-
2015/05/27-23:28
私もプラン提出したわ。
いい結果を迎えられるよう頑張りましょうね。 -
2015/05/27-23:13
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2015/05/27-22:26
こちらもプランは完成したわ。
成功するといいのだけど…がんばりましょうね。 -
2015/05/27-17:39
-
2015/05/27-12:43
-
2015/05/27-10:21
>ライトさん
大丈夫だと思いますよ。
ディエゴさんがインカムを申請してくださったので
僕も舞台上から人の流れや場所の確認をして皆さんに報告しますね。
>アンダンテさん
僕も幻影の出現について気になっていたので
自分達が対峙する以外の幻影への対処について、少し書き足しておきます。
-
2015/05/27-08:18
アリストフさん、まとめありがとう!
まとめに沿ってプラン書いてみるわね!
ライトが言っている整備位置については何か意見があれば聞かせてもらえると嬉しいわ。 -
2015/05/27-08:16
【警備配置について】
ホールの前方でヤグルロムが出現した場合、一番後方で警備していると引き付けるのにかなりの時間がかかり、その途中で観客に被害が出るのではと考えています。
ですので、全て見渡せる後方に神人(ニッカ)、観客席の中央付近に私(ライト)という位置取りをしようかと思っています。
トランスしてから整備につけば神人と離れていても問題ないと思いますし、ホールを見渡しての指示が神人から得られるのではないかと考えています。 -
2015/05/27-05:09
ジルベールはまとめありがとう。
あたし達の配置は、それじゃあ観客席の右側にしておくわね。
もしヤグルロムがライトから遠かったり、バラバラの場所にいたりした場合に対応できるように
もしそうなったら、こちらでも引き付けながら客席後方に連れて行くわ。
大丈夫なようなら合流を優先してフォトンサークルを使用という風にするわね。 -
2015/05/27-00:29
作戦や配置、了解よ。
ジルベールさんはまとめありがとう。[20]を参考にプラン作成するわね。
それじゃあ遠距離同士わかれるって事で、私達は観客席側にするわね。
左右はどっちでも、なのでとりあえず左にしておくわ。
敵誘導中サフィールさんは、職的にも狙われるとまずいから大人しく味方にくっついておくわね。
私は以前出ていた案の音楽堂のイベントでの演出な事にして、騙し騙し誘導したり宥めたりしてみるわね。
そういえば私もヤグルロムが出てくる依頼を読んでみたのだけど、幻影って複数回出てくる事もあるのね。
だったら途中でまた幻影出して隠れられたりする可能性もあるのかしら。
一応個人でどうにかした後も幻影を対処する方向でプラン書いておくわね。 -
2015/05/26-23:05
>ディエゴさん
あ、よろしいですか。ではお言葉に甘えまして。
ディエゴさんと呼ばせていただきますね。
・・・実は少し噛みそうでした(悪戯っぽい微笑
インカムの申請ありがとうございます。
【配置】
ディエゴさんと一緒に舞台を護らせていただきます
舞台上の安全が確認できるまで(ライトさんの誘導終了まで)守り抜こうと思います
応急処置程度かもしれませんが、一応回復魔法も使えますので
怪我人がいた場合の治療はお任せ下さい
-
2015/05/26-22:06
>呼び名
ディエゴでいいぞ、打ち…いや、呼びにくいだろう
まあ好きに呼べばいいが
ジルベール、まとめをありがとう
これを元にプランを作成する
何かあれば言ってくれ
あと…インカムが必要だろうからこちらで申請の旨を書いておく -
2015/05/26-20:36
今のところ
【配置】
舞台・・・・・ハロルドさん、クィンテロさん(索敵担当)
観客席後方・・・・ニッカさん、ライトさん(アプローチでヤグルロムを誘導)
出石さんとアンダンテさんは、どういたしますか?
僕は一番手のかからな・・コホン。なんでもありません。
【作戦】
・各自で幻影と対峙した後、舞台上からクィンテロさんが索敵開始
・発見した三体前後のヤグルロムをライトさんが観客席(左or右)後方へ誘導
三体を同じ場所へ引きつける
・精霊達は後方へ移動し、ヤグルロムを囲んで(?)攻撃開始
・同時に、神人達は戦闘付近の観客を反対の通路へ誘導、パニックになった観客を宥める
今決まっている大まかな流れはこういう感じでしょうか。
ヤグルロムと近くの観客の誘導に成功した後は、
全員で戦闘に参加、一気に倒すという形で大丈夫でしょうか
(勘違いしていたら直しをお願いします;)
-
2015/05/26-19:20
出石さんの仰るように、一緒に使うと分かれての戦闘になってしまいそうなので
私がアプローチⅡを使うことに賛成します。
よろしくお願いします。
そうですね、クィンテロさんの言うように演奏中に話かけると邪魔になってしまいそうですね。
奏者も指揮者もプロ意識の高い方々なのでしょうね。
観客席の隣(階段?)などのスペースを使って、戦闘をする場所の近くにいる観客には、神人へ誘導なり声かけなりをしてもらい反対側の隅へ移動してもらうのがいいかもしれませんね。
アプローチⅡで私が引き付けるとなると、警備ポジションは観客席後方か左右のどちらかになるでしょうか -
2015/05/26-10:40
索敵なら、使えるかはわからないが似た効果のある装備を持っている
俺は舞台側につくとしよう
奏者は「死者が出ても演奏を止めない」というところから、話しかけたりするのは逆に邪魔になると考える
舞台側は鎮静より奏者の護衛をきっちりするのが最良かと
席に空きがあるのならば席を移動してもらうのが良いが
客席の横を使ったほうが迅速かつ簡単か…?
-
2015/05/26-06:22
なるほど、確かにヤグルロムにはつっこんでいくよりアプローチで誘導の方が安全ね。
幻影排除後、それぞれの配置場所でヤグルロムを探して
あいている場所(客席の横?)に向かって誘導。
舞台側と客席側の組み分けは…舞台側の方が会場全体をよく見渡せると思うから、
索敵に自信がある人がやるのがいいんじゃないかしらって思うわ。
オーケストラはそのまま演奏を続けるとして、観客を落ち着かせるのも必要よね…これは神人が担当する?
ああ、そうそう。敵を一か所に集める都合上、アプローチⅡを使う時は
ライトとレムがそれぞれ同時にやってしまうと、敵がどちらかに分散してしまうわ。
こちらは、レムが先にフォトンサークルを使用して周囲の味方の援護をするから
アプローチⅡはライトが先にやってくれると嬉しいのだけれど、どうかしら? -
2015/05/26-03:37
ライト:
そうですね、私もアリストフさんとクィンテロさんの意見に賛成します。
幻影は3体、散らばってしまうと被害が拡大しそうなので、ロイヤルナイトのジョブスキル『アプローチ』を使った方がよいかと考えています。
5レベルになりアプローチⅡも使えるようになりました。
どれくらいの観客がいるかはわかりませんが、
観客席には観客が、舞台にはオーケストラがいますので、気を付けてください。
観客は現れた幻影に混乱していると思われます。
オーケストラのメンバーは、命より楽器を大事にする者もいますので、配慮が必要です。
また、幻影が現れても、よほどの事態にならない限り、演奏は停止しません。指揮者のこだわりのようです。
と解説にありますし、クィンテロさんの言うようにヤグルロムをジョブスキルで引き付けて、観客や演奏者から引き離すのが一番リスクが少ないと考えています。 -
2015/05/25-21:26
【配置】
ジルベールの案に賛成する
【舞台側について】
オーケストラの規模にもよるが舞台上での討伐は難しいと思う
一般的なオーケストラの配置から、舞台上の空間に討伐に使えるだけの余裕がないからだ
(RKのスキルでの誘導が必要そうかも?です)
【客席側について】
満員かどうかだが、6年も前の事件とは言え被害が出ている演目に人が集まるだろうか
新しくできた音楽堂ということで人気が出ているのかもしれないが…
それなりの人がいるなら、いきなり避難誘導するとパニックになって危ない気もする
空いている場所があるなら「音楽堂のイベント」と思い込ませて、客ではなくヤグルロムを誘導しそこで討伐するのも有りじゃないか?
(扉絵の通りの音楽堂なら、左右に若干の余裕がありますね)
-
2015/05/25-17:22
【組分け・配置】
ホールの広さは分かりませんが、例えば
舞台に2組(幻影出現までは舞台袖左右に待機)
観客席(前方)に1組、観客席(後方・左右)に2組、というように
全体に散らばった方が警備しやすいでしょうか。
(クィンテロさんが仰るように、遠距離の方がそれぞれに居て下さると助かりますね)
しかし、観客席組は問題が起こるまでは
邪魔にならないようにした方がいい気もしますし
観客に紛れて席に座るのもありでしょうか(満員だと無理ですが)
【自爆ダメージ】
届く範囲は数メートルですが、僕の拙いバリアでよろしければ尽力しましょう。
【誘導】
本格的な誘導(敵・警護対象共に)の開始は、ヤグルロムが数体出現した後からでよろしいでしょうか。
(ヤグルロムは舞台側、観客は出口側など)
そういえば
幻影は自分の前に現れたモノだけ相手にすれば良いのでしょうか。
観客や演奏者に見えている中にも、危険な幻影が存在するのだとしたら
やはり近くにいるウィンクルムが助けないといけませんよね
-
2015/05/25-00:52
あぁ、悪い、言葉を抜かしていた
誘導は「ヤグルロム」も含まれている
-
2015/05/25-00:43
ハロルドとディエゴ・ルナ・クィンテロ、着任した
宜しく頼む
警備を2組にわけた方が良さそうだな(遠距離職の自分とサフィールさんは別々に)
幻影は…自爆の範囲は詳しくはわからないが人が密集する場所だという事を考えると誘導の必要がありそうだ。
周囲の人間を巻き込んでしまう事態は避けたい、最悪自分で前に出て防御し自爆ダメージを食い止めようかとも…ロイヤルナイトがいるからそこは任せて良いのかもしれないが。ライフビショップもいるしな。
-
2015/05/25-00:24
-
2015/05/24-23:53
私も幻影は個人で何とかして、ヤグルロムは協力して倒すって認識だったわ。
幻影を消せれば本体が現れるようだから、そのためにもって感じよね。
警備する場所が、ハルモニアホール観客席、舞台(舞台袖含む)と複数あるって事は初期位置は自分達で決めていい感じかしら?
なるべく穴がないように配置に付きたいわね。
幻影を倒すと爆発するのなら、幻影の対処しつつ観客に爆風が行かないようにするとか、色々と対策も必要そうね。
ヤグルロムは3体前後って事だけど、位置がばらばらな可能性も一応ありそうね。
固まってくれてたら対応しやすそうなのだけれど。
こちらはスキルは乙女の恋心を持っていく予定よ。
室内って事を考えると範囲技のカナリヤは色々と危なそうだもの。 -
2015/05/24-22:44
自分達の前に現れた幻影を出来るだけ早くなんとかして
その後に現れるであろうヤグルロム三体と全員で戦闘、という形ですね。
承知いたしました。
幻影は攻撃すると自爆するのですか(汗
接近武器では危険ですね。
でも、私の前に現れるのは、きっと・・・。
レムさまが前にいてくださると、とても心強いです。
パニックになっているお客様をなだめたり、誘導したりは必要でしょうか。
前に出て戦えない分、なんとか力になりたいのですが・・。
-
2015/05/24-21:44
んー、『ヤグルロムの数は、3体前後と予測されます』とあるし、
個別の戦いになるなら、あらかじめ解説にそう書くと思うから
PC達VSヤグルロム3体前後、っていうことになるんじゃないかしら。
過去の依頼を読み返してみると、ヤグルロムは確か幻影を出している間は周囲に紛れて防御力が上がるのよね。
死者の幻影がヤグルロムの仕業かどうかはまだ分からないけれど、
先にそっちを何とかしないと倒すのは骨が折れそうね。
きっと、幻影をどうにかすれば本体が出てくると思うの。
それから、ヤグルロムの幻影は、攻撃を受けると自爆するの。
普通の戦闘任務なら、サフィールの魔法で幻影だけを吹き飛ばしてもらうのが定石だけれど、
今回は幻影は個別対処、さらに本物の幽霊かもしれないからその手は使えないわね…
とりあえず、レムにはヤグルロム出現後は敵に突っ込んでもらって
観客や舞台上に被害が出ないように食いとめてもらおうと思っているわ。
現状、一番防御力が高いから、壁役にはぴったりだと思うの。 -
2015/05/24-18:35
ニッカとロイヤルナイトのライトよ。
よろしくね!
あたしたちの場合はライトに関係する死者っぽいわ。
やっと弓が装備出来るようになって攻撃の幅も広がったんだけど
ヤグルロムに通用するかしら
ロイヤルナイトのライトは防御よりだしなあ・・・
というか、これって戦闘は個人戦なのかしら? -
2015/05/24-07:36
みなさま、ごきげんよう
ヒヨリ=パケットと申します。
ご挨拶が遅れましたことお詫びいたします。
私達、初めての任務なので分からないことばかりなのです。
少しのバリアを張る事と、斬る事しか出来ませんけれど
陽動のお役に立てるでしょうか。
みなさまのお邪魔にならないよう精一杯動きますので
ご指導、よろしくお願いいたします。 -
2015/05/24-05:14
あ、人が増えてるわ。
改めまして、出石香奈とロイヤルナイトのレムよ。よろしくね。
こちらは現れる死者はあたしに関係する人みたい。
それはともかく、ヤグルロムへの対策は考えておかないとね。
戦力的にはこちらは防御よりだから、敵を演者と観客から引き離すためにも
こちらに引き付けておいて、魔法で攻撃するのがいいかしら? -
2015/05/24-00:22
-
2015/05/23-22:10
-
2015/05/23-21:29