


●本日の『あなた』
『あなた』は、ぼんやりと天井を眺めた。
が、その思考は、上手く纏まらない。
それもその筈、『あなた』は、風邪を引いていた。
ウィンクルムとして気を張る日々、そして夏へ向かう季節。
徐々に暑くなっていく変化と精神的な負担は、休暇するよう身体へ命じた。
情けないと思うも、熱は高く、正直に言ってしんどい。
寝ている以上のことは出来ず、意識をきちんと保つのも難しい。
ふと、パートナーが顔を覗き込んできた。
心配して看病をしてくれるパートナーは、何か食べたい物はないか聞いてくる。
何か食べないと薬を飲むことも出来ないこともあり、『あなた』はお粥が食べたいと呟いた。
パートナーは少し待つように言って、部屋を出て行く。
ドアが閉まり、『あなた』は天井を見つめる。
纏まらない思考で、ぼんやりと考えた。
この部屋は、こんなに静かだった?
●そして、パートナー
パートナーは、台所を確認した。
お粥を作るには、材料が足りない。
買い物に行く必要があるだろう。
高熱で苦しんでいる自分のパートナーの為に作るお粥を頭に思い浮かべる。
美味しいと言ってくれるお粥を作りたい。
財布を握り締め、パートナーは買い物に出る。
買ってきた材料でお粥を作る為に。
差し当たっての問題は、料理の腕だろうか。
普段の行いが、試される。


●出来ること(どちらかを選んでください)
ア:神人の為にお粥を作る
イ:精霊の為にお粥を作る
お粥であれば、どのようなものでも問題ないです。
料理の腕は問いません。(ついでにお粥を作った後のキッチンの状態も)
大事なのは、相手を想って作ることです。
●材料費
買い物に行って200jr
余裕を持って購入している形です。
●その他
・どちらかがお粥を作る、それを待つ時間が描写のメインとなります。
・他の参加者とは接触しません。
・お粥を相手は高熱を出していますので、負担を掛けるような行為全般はしないであげてください。
こんにちは、真名木風由です。
風邪引いたパートナーの為にお粥を作ってあげてください。
待ってる側も天井を見ているだけで独りを実感していると思いますが、パートナーのお粥を寝て待っててください。
美味しくともそうでなくとも一生懸命作りましょう。
キッチンが戦場のようになってもそれはご愛嬌!
それでは、お待ちしております。


◆アクション・プラン
信城いつき(レーゲン)
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※熱のせいで過去の記憶と混乱している 熱で身体が動かない。でも横になってるの見つかったら村の人に「サボってる」って怒られる ……マシロ、みんなの見えない所へ隠れよう (白いシーツ(マシロ)を抱締めてクローゼットの中に隠れる) ※目が覚めたら、過去の記憶なし 何か嫌な感じの夢見たような気がするけど……何だっけ? お粥食べたい……?お粥と炒り卵? 火が強かったのかな、でも味は大丈夫だよ(笑顔で完食) ごちそうさまでした。 もー、子供じゃないんだから(でも悪い気はしない) 大丈夫。あったかいごはん食べてあったかい手が側にあるから、もう嫌な夢は見ない、きっと ありがとうは、こっちのセリフだよ……ありがとう、おいしかったよ |
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イ:精霊の為にお粥を作る 鬼の霍乱てやつかな。深夜に全裸で滝行でもした? あー、はいはい 何か食べられそうなもの作ってくるから 自分の不甲斐なさに打ちひしがれながら寝ていたまえ ゼクには普段通り振る舞うけど 実は不機嫌モード。 彼の体調日々こっそりチェックしてるのに 体調変化の見落としに軽く自己嫌悪。 もっとしっかりしないと、と考えつつお粥作り 生米と水を土鍋に放りこんで強火でぐつぐつ。 卵と生姜と、仕上げに梅干しぽいっと載せて。 緑……バジルでいいや。見た目よければ食べるんじゃない? ゼクの手際には敵わないけど 簡単なものなら作れるよ。たぶん 片づけ? してないよ。ゼクの仕事でしょ さっさと快復しないとキッチン大惨事になるよ |
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イ:精霊の為にお粥を作る ラキアが熱を出した。 風邪か? スポーツドリンクを枕元に置いてやった。 お粥なら食べられるのか。 普段の料理はラキア任せだが、 緊急事態のサバイバル系ならこのオレの出番だ。 コッヘルを使えば調理に迷う事など、ない! サバイバル5スキルが役に立つぜ。 鳥胸肉と梅干しを一緒に茹で、アクを取る。 肉が煮えたら取り出し、荒熱を取る。 冷凍ご飯はレンジで温めてさっきの煮汁の中へ。 水は多めに。 焦げつかさないように気を付けながら煮て、 ご飯が柔らかくなってきたら さっきの鶏肉を裂いて食べ易くした物を再投入。 塩で味を調えて。ネギを刻んで投入。 味見。うんイケる。さすがオレだ。 タオルと薬も持って行ってやらなきゃ。 |
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イ:精霊の為にお粥を作る あんたみたいな奴でも風邪ひくんだな… とにかくきちんと食べて、きちんと寝ることだ わかったら大人しくしてろ さて、料理はそこそこできると思うんだがお粥ってあまり作ったことないんだよな …風邪に効くお粥ってなんだろ…大根と卵の粥とか…? 記憶を頼りに調理 大根はホクホク、卵はふわふわのお粥を目指す 味付けは昆布だしと醤油でシンプルに 台所は常に綺麗に。使い終わったものはその都度片付けていく 完成 …味は悪くはないと思うんだけど、どうなんだろう 高熱で動けないだろうから食べさせる 「ほら、口開けろ。……もし不味かったら無理して食べなくていいから」 とはいったものの、高熱で味なんてわからないかな… |
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風邪をひいた…。 サウセが看病をすると言うが、「気持ちは嬉しいが、お前にうつるかもしれない。だから駄目だ」と断る。 ちゃんと自分の意見を言う姿につい嬉しくなる。 これは、断りにくい…。 「じゃあ、看病を頼む…。 お粥が食べたいんだが、お願いできるか?」と言う。 待つ間、看病ができることで嬉しそうな顔を見せた相棒を思い出し、少し顔を綻ばせる。 あいつがああいうことを言えるようになったのは喜ばしい。 できあがるまで、思ったより時間がかかったな。 材料、買いに行っていたのか…。 ありがとうな…。 さっそく食べてみる。 …。 少し心配だったが、ちゃんと食べられるものだ。 フラルに対してお礼を言い、頭をなでる。 |
●可及的速やかに願う
柊崎 直香は、ベッドに横たわるゼク=ファルを呆れたように見た。
「深夜に全裸で滝行でもした?」
この前の雨が原因ということはないだろう。
日数が経過しているし、何よりそこまで雨に打たれていなかった。
「滝行が何かは知らんが、ありえない状況というのは分かっている。いつもの調子で軽口叩くな。頭に響く」
(……熱があるんだから、当然でしょ)
仏頂面歪めて相手なんてするから。
直香は内心を隠し、苦しそうなゼクへ「はいはい、分かった分かった」といつものように言ってやる。
「何か食べられそうなもの作ってくるから」
「え?」
「薬飲まないといけないし、栄養あるものを食べるのは重要なことだよ? 基本じゃん」
驚くゼクへ、直香は呆れた視線続行。
「うつる可能性もあるし、暫く放っておいてくれれば――」
「自分の不甲斐なさに打ちひしがれながら寝ていたまえ」
ゼクの言い分など聞かないと遮り、直香は部屋を出た。
(……行ってしまった)
部屋に残されたゼクは、ドアの向こうに消えた直香を意外に思っていた。
いつも、料理するのは自分の役目だったから、作って貰うことが新鮮に感じる。
家事や調理……出来栄えは見たことがないので何とも言えないが、それをしてくれるということは、多少なりとも気を遣ってくれているのだろう。
(毎回物凄く分かり辛いが)
そうと分かる程度には、直香と一緒の時間を過ごしているのかもしれない。
ゼクは、天井を見上げる。
直香がいない静寂をより感じるからか、いつもの部屋が違うように感じた。
直香は一度食材の買出しに出かけ、帰ってきた。
冷蔵庫の中に直香のお眼鏡に適う食材がなかった為だ。
(僕に買い物までさせて……)
直香は、独りのキッチンで不機嫌を隠さない。
不機嫌の理由は、ある。
直香は、ゼクの体調は日々こっそりチェックしていた。
亡き両親が医者であったこと、彼らが往診先で流行病罹り亡くなった経緯がそうさせるのかもしれないが、真実は直香以外知らない。
(もっとしっかりしないと)
ゼクの体調変化の見落としに軽く自己嫌悪した自分を叱咤するように、直香はキッチンへ立つ。
(ゼクの状態を考えれば、食べ易さ重視)
それなら、軟らかめに作った方がいい。
考えながら、研いで水を切った生米と少し多めの水を買ってきた一人用の土鍋に入れて火にかける。
ゼクのような手際がないから、ひとつひとつ確実さを心がけ、また火から目を離さないように注意して。
火加減を調整しつつ、塩で味を調える。
(簡単なものだし、変なことにはならないと思うけど、食べて貰わないことには薬も飲めない)
普段見せてないから、ゼクが疑問視することは十分ありえる。
ゼクのくせに!
想像に腹を立てつつ、細かく切った生姜を入れて更に煮立てる。
溶き卵を回し入れ、仕上げに梅干しを載せ。
「緑がないや」
見た目の良さもと思った直香がバジルでいいかと探すと、乾燥ネギの小瓶が目に付いた。
「珍しく運がいい」
直香は呟き、小瓶を手に取った。
直香がお粥を持って部屋に戻ると、ドアを開けた音でゼクが目を覚ました。
「不審者だと思った?」
「いや……」
直香が如何にも考えそうなことだとからかうと、ゼクは緩く首を振った。
「その、悪かった」
何とか身体を起こしたゼクが、土鍋のお粥を食べながら呟く。
「思ったよりまともなお粥って言いたいの?」
「いや、腕前を疑った訳では」
軽く否定したゼクは、心の中で呟いた。
(……本当に、俺の為に作ってくれた。その姿が見られないのを、残念に思ったからだ)
それに、熱の所為か舌の感覚が鈍くて、ちゃんと味わえていない。
残念だと言ったら、からかわれそうで。
「ふーん? ……ま、それ食べて薬飲んで、さっさと快復しないと、キッチンが大惨事になると思うけど?」
「可及的速やかに治すとしよう」
片付けはゼクの仕事と直香が言えば、予想していたゼクは異も唱えずそれを受け入れた。
いつもの調子の裏に、不機嫌になる理由が潜んでいる。
●熱の夢幻
レーゲンは、高熱を出した信城いつきの着替えの支度をしていた。
汗をかいたら汗をちゃんと拭き、こまめに服を着替えるのが大切で、これを怠ると治りが遅くなる。
シーツもタイミングで取り替える必要もあるだろうが───
(昔の夢を見ているみたいだから……)
最初、いつきは白いシーツを抱きしめ、クローゼットの中に隠れていた。
レーゲンはいつきが思い出せない記憶の向こうを知っているから、いつきが何故白いシーツを抱きしめ、隠れていたかは分かる。
親友であり、家族の『マシロ』と一緒に、怒られないよう隠れていたのだろう。
私が上手く言っておいたと宥め、いつきはやっとベッドで眠っている。
「いつき、お粥を作ってくるね」
レーゲンの言葉を聞き、いつきは明らかに不安な表情を見せた。
熱で動けない今、レーゲンが離れたら……と思っているのかもしれない。
「安心して、すぐ戻るよ」
優しく微笑んだレーゲンは、部屋を出た。
今のいつきを置いて家を出ることは出来ない為、レーゲンは宅配サービスを利用して買い物をした。
(私が寝込んだ時にいつきが作ってくれたお粥は、色々具が入ってたな)
食べるのも作るのも好きないつきが作ったお粥は軟らかく煮込まれ、具も食べ易いように刻んであった。
シンプルでも美味しいと思ったあのお粥には、いつきの心遣いが沢山詰まっていたのだろう。
(改めて、感謝しないといけないね)
そのお返しが出来れば、いいのだけど。
お粥は、お米と水と卵以外に必要なものはあるだろうか。
失敗した時のことを考えて卵を多めに買ったし、お粥以外の食材も普段いつきが買っている物を参考に頼んでみたが、レーゲンは料理に関して門外漢だ。
「塩もどの位入れるんだろう……?」
レーゲンの悪戦苦闘が始まる。
(何か、食べ物の匂いがする……?)
いつきが目を開けると、レーゲンの顔が天井を遮る形で映った。
「気がついた?」
「え……あれ?」
今の状況がよく分からない。
どうして今、寝ているのだろう。
……倒れた?
「熱が出て、ずっと寝てたんだよ」
「そっか。何か嫌な感じの夢見たような気がするけど……」
レーゲンの説明に納得したいつきは、嫌な感じの夢が思い出せず首を傾げる。
微笑むレーゲンが「それだけ熱が高いんだよ」と微笑めば、いつきもそれ以上考えるのは止める。
「薬飲まないといけないからね。……食べられる?」
「お粥なら……え?」
レーゲンの問いに答えたいつきは、差し出されたお椀に驚いた。
お椀の中には───
「お粥と炒り卵?」
「……一応、食べられると思うけど」
いつきの感想を聞いたレーゲンが、苦笑する。
お粥は、お世辞にもいい出来ではない。
糊みたいに粘ついた米、ポロポロしている卵……塩加減すら自信ない。
後で怒られそうな気がするけど、お粥を煮た鍋も焦げついてしまった。
「火が強かったのかな」
「あ、待って冷まさないと火傷するよ」
食べようとしたいつきをレーゲンが慌てて制した。
恐らく、味見で火傷したのだろうといつきが思っていると、レーゲンは「ふーふーしてから食べて」と言ってくる。
「もー、子供じゃないんだから」
それだけ心配してくれているってことだから、悪い気はしないけど。
気遣うように見るレーゲンに笑って、言われる通りにして食べる。
悪戦苦闘しながら、自分の為に作ってくれたお粥は、温かくて美味しい。
「ご馳走様でした」
味は大丈夫、と添えて笑顔で食べ切ると、ほっとしたレーゲンがいつきの頭を撫でる。
見ると、薬も水も準備万端、着替えや替えのシーツもあり、レーゲンが側を離れるつもりがないと分かる。
「大丈夫。あったかいごはん食べてあったかい手が側にあるから、もう嫌な夢は見ない」
きっと、嫌な夢は追いかけてこない。
そう思えるのは、レーゲンが側にいてくれるから。
「ありがとう、いつき……改めて今日思ったよ」
「ありがとうは、こっちのセリフだよ。レーゲンのお粥、美味しかったよ」
嫌な夢も退ける、最高のお粥だよ。
●頼りになる君
「う~ん」
セイリュー・グラシアは、アルミ製のコッヘルを手に唸っていた。
サバイバル技能が並外れているセイリューにとって、登山などでは定番の調理器具コッヘルは馴染み深いもの。
「キッチンでも、イケるよな?」
この呟きの説明の為、時間を遡らせよう。
「熱?」
セイリューがベッドに横たわるラキア・ジェイドバインの顔を覗き込むと、彼は苦しそうな顔で頷いた。
「結構高くて。……体調管理には気をつけていたんだけどね」
目が回って起き上がれないらしいラキアは、頭痛で起床したと苦笑する。
「風邪か? 雨に濡れてないし、この前の件じゃないよな」
「違うと思う」
先日、雨の中セイリューをカフェまで迎えに来てくれたが、ラキアは濡れていなかった。
となると、違う理由だろうが、専門家ではない為特定は出来ない。
「お粥なら食べられるよな? 作ってくる」
セイリューは冷蔵庫にあったスポーツドリンクをラキアの枕元に置くと、愛猫のクロウリーとトラヴァースに看病を頼んで、部屋を出て行った。
買い物に出かけ、キッチンに食材を並べ……話は冒頭の呟きへと戻る。
一方、部屋で横になっているラキアはと言うと───
「セイリュー、お粥の作り方、ちゃんと知ってるのかな?」
分かるか分からないか以前に料理をしているのをあまり見たことがない。
その為、知っているのかどうかという疑問が先に立つ。
以前は独り暮らししていたから大丈夫だと思うが、一緒に暮らしている現在は自分が引き受けている分、そう思ってしまうのだろう。
と、顔の両脇にクロウリーとトラヴァースが佇み、ラキアの顔を覗き込んでいる。
(ご飯の要望ではなさそう)
枕元までご飯を求めて起こしに来ることもある彼らの起こし方は、原則猫パンチである。(個人(?)差あるが、多くの猫が取る手段だ)
そうではないと言うなら───
「心配かけてごめんね」
セイリューからご飯を貰ったらしい愛猫達に手を伸ばし、撫でた。
彼らの、優しくて柔らかい温かさは、熱の苦しみを少し和らげてくれるような気がする。
目を細めた愛猫達は、寄り添うように枕元で丸くなった。
「良い子達だね。……ありがとう」
ラキアは、安心して目を閉じた。
話を台所に戻すと、セイリューは鶏胸肉と梅干を一緒に茹で、アクを取ることにした。
「空焚きさえしなけりゃ大丈夫だよな」
コッヘルは使用状況の想定が想定である為、軽量化重視で作られている。
家庭用調理器具に比べて肉薄ではない作りは、空焚きすれば想像以上にあっさり破損してしまうのだ。
キッチンにあるコンロと調理に使用する携帯用ストーブは同じ要領で調理可能かと聞かれると、やってみないと分からないとしか言えないのもある。
「思ったより勝手が違うしな」
セイリューにとっては、このキッチンはある意味『整い過ぎていた』。
サバイバル技能は隔絶された人里以外の環境での生存や追跡するといった『生き抜く』技術である為、逆に環境が整った家では応用が難しいのだ。
「独り暮らししてて、良かったぜ」
マイナスレベルだと、ラキアの病状が悪化しかねないお粥を作りかねない。
それは、絶対避けたい。
煮えた鶏肉を取り出し、粗熱を取っている間に冷凍していたご飯をレンジへ。
並行するように煮汁の様子を見て、水を加えた。
「食べ易さ重視だからな」
呟いたセイリューは、温めたご飯を鍋へ入れて煮始める。
焦がさないよう注意しつつ、ご飯の様子を見て、頃合で粗熱を取った鶏肉を食べ易く裂いた物を入れたら、食器の準備。
最後に塩で味を調えたらネギを刻んで投入、火傷に注意して味見も忘れない。
「うん、イケる。……ラキア程じゃないだろうけど」
流石オレ、と満足気に呟いた後、セイリューは食器に装ってラキアの部屋へ戻った。
「こういう時セイリューは頼りになる。安心だよ」
お粥を食べたラキアが、タオルと薬も忘れず用意してくれたセイリューへ微笑んだのは言うまでもない。
早く元気になれよ?
●与えられる安心
「お粥……作りますので、待っていていください!」
サウセが、フラルの部屋を出て行く。
天井を見上げ、一言。
「冷蔵庫の中、何かあったか……?」
なかった気がすると目を閉じれば、先程のやり取りが蘇る。
不本意なことに、風邪を引いた。
「フラル、看病させてください」
サウセがそう申し出てきた時には、内心驚いた。
彼は、他人といることが苦手だ。
感情がやや欠落しているのも、顔の上半分の向こうにあるまだ見ぬヘテロクロミアを不吉と言われた過去がそうさせるのかもしれないが───
「気持ちは嬉しいが、お前にうつるかもしれない。だから駄目だ」
推測をしている場合ではない。
フラルは、断りの言葉をはっきり口にする。
暫し、沈黙が落ちた。
が、サウセが部屋を出て行く気配がない。
「嫌です」
自分を表に出すのも苦手であるサウセが、明確に拒否の意思を口にした。
仮面の向こうの瞳は見えないが、サウセがちゃんと自分の意見を言う姿に嬉しくなる。
それが、こちらを気遣うものなら尚更。
(断り難い……)
「あなたの看病をさせてください」
フラルの心の呟きを知らないサウセは、食い下がってくる。
軽く吐息を零し、フラルは「じゃあ、頼む」と言った上で、お粥を希望したのだ。
(嬉しそうだったな)
看病が出来ることもお粥をお願いされたことも。
そんなに嬉しかったのだろうか。
思い出したフラルは、顔を少し綻ばせる。
サウセがああいうことを言えるようになったのが、フラルには喜ばしいことだった。
(これで、レシピにあった食材は揃いましたが……)
サウセの目は、不安そうに食材へ向いていた。
熱に苦しんでいるフラルを放って置くことなんて出来ない。
何かしていなければ落ち着かず、申し出た看病が許されて本当に良かった。
口は結構悪いかもしれないが、凛々しくて優しくて……不吉と言われた自分を普通に扱ってくれて。
早く元気になって欲しい、こんな時こそ力になりたいと思う。
(レシピ通りに作ることが出来るでしょうか……)
サウセは店の人に聞くのも躊躇ってしまうので、お粥を作るならばとレシピを調べた。
冷蔵庫の中を確認(その中身はフラルの想像通りだ)、足りないものをメモ帳に記して急いで買い物に行き、食材を購入してきたのだ。
が、1人分のお粥を作るにしては多い食材が示している通り、自分の料理の腕は微妙と思っている。
不安ではあるけれど───
(落ち着いて、片付けながらやりましょう)
どこに何があるか分からなかったら、混乱しそうな気がする。
サウセは深呼吸し、卵粥を作ることにした。
浅い眠りに就いていたフラルは、サウセがドアを開けた音で目覚めた。
時計を見ると、思ったより時間が掛かっていることが分かる。
「材料、買いに行っていたのか……?」
冷蔵庫の中身を考えれば、当たり前と言えば当たり前。
けれど、サウセがひとりで買い物に行ったということが、フラルには大きかった。
「ありがとうな……」
フラルが頷いて認めたサウセに礼を言うと、嬉しそうな顔をしてくれる。
サウセはフラルを支えるように起こすと、フラルへどこか不安そうな表情でお椀を差し出してきた。
「お口に、合うでしょうか……」
サウセが見守る中、フラルがお粥を口に運ぶ。
自分と違って不慣れがあるお粥だが、ちゃんと食べられるものだ。
フラルはずっと見守っているサウセへ手を伸ばし、その頭を撫でる。
「少し心配していたのは事実だが、大丈夫だ。……ありがとう」
サウセがほっとしたように口元を綻ばせる中、フラルはサウセが作ってくれたお粥を食べていく。
少し甘いように感じるのは、サウセの味覚がそうだからか、それともサウセが自分の意見をちゃんと言ってくれた喜びからか、フラルには分からない。
(サウセが嬉しそうだから、それでいいか)
フラルは、僅かに口元を綻ばせる。
その表情こそ、サウセが見たかったもの───絶対的な安心感。
●いつもじゃないから、悪くない
どこか胡散臭い印象を持つイチカ・ククルが、ベッドから起き上がれない。
それが、天原 秋乃には新鮮に映る。
「あんたみたいな奴でも風邪ひくんだな……」
「僕としたことが風邪をひくなんてね」
「笑い事じゃないだろ」
イチカの笑いが混じる言葉に呆れた秋乃は、彼の顔を覗き込む。
「とにかくきちんと食べて、きちんと寝ることだ。分かったら、大人しくしてろ」
「秋乃は看病してくれないの?」
「放置でもされたいのか?」
イチカは秋乃の切り返しに驚き、それからまた笑みを零す。
「看病してくれるなら風邪を引くのも悪くないのかも」
秋乃は盛大に呆れたが、何か食べられるものはないか尋ねてきた。
「お粥位なら」
「分かった」
イチカへの簡単な返答と共に秋乃が枕元を離れていく。
「お粥ってあまり作ったことないんだよな」
秋乃は料理に関してはそこそこ出来ると自負していても、作る機会がさほどない料理にまで自信は持ち合わせていない。
「……風邪に効くお粥って何だろ……」
胃腸が弱っているかもしれないし、胃に優しいことを考えると───
秋乃は、大根を手に取った。
夏の大根は辛味が特徴的である為、店員に聞いてみると、少量の米と共に下茹でするといいと教えてくれた。
その他、卵や調味料を購入し、急いで帰宅。
記憶を頼りにする部分もあるけど、お粥を作ろう。
イチカは、いつの間にか眠っていたことに気づいた。
包丁が何かを規則的に切る音が遠くから聞こえ、秋乃が料理をしていることが分かる。
(……こうやってじっと待ってるのもそれはそれで辛いなあ)
声位掛けても、と思ったが、根はお人好しの秋乃は大人しく寝てろと怒るだろうし、自分の為にお粥を作ってくれているのを邪魔するのは気が引けた。
(……秋乃が小さい子の世話が好きなのは知ってるけど……)
教職を目指す秋乃は年下、取り分け子供に甘い。
だから、ちょっと不思議。
(僕みたいな年上の、しかも病人の世話は嫌いじゃないのかな)
聞いたら怒られそうな気がするけど。
僕は、秋乃の世話は───世話?
(逆だったら、僕は秋乃の看病出来るのかな……?)
世話をすること自体は好きだから嫌ではないけど、世話をするつもりが秋乃の仕事を増やしたりしそうな気がして。
(……大人しく、寝て待ってよう)
思考のループが頭痛を呼んだらしく、イチカは秋乃が料理をする音を聞きながら眠りに落ちた。
下茹でした大根、ご飯を軟らかくなるように煮ている。
(味付けは、シンプルに)
醤油や昆布だしで味を調えつつ、食べ易い大きさに切った大根をひとつ味見。
ホクホクしてちょうどいいし、辛味も問題ない。
頃合いと判断し、溶き卵を流し入れ、蓋をする。
(ふわっと仕上がるタイミングに気をつけないとな)
時間に注意し、使い終わったものを片付けしていると、タイミングはあっという間にやってきた。
「味は悪くはないと思うんだけど、どうなんだろう」
……食べられれば、いいけど。
「もう出来たの?」
秋乃がお粥を持って枕元へ行くと、気配を察したイチカが目を覚ました。
起き上がってもいいように枕を整えた秋乃がイチカを抱え起こす。
「ほら、口開けろ。……不味かったら、無理して食べなくていいから」
「秋乃が食べさせてくれるの?」
「熱で苦しいだろ」
イチカがお粥を望んでも食べられる状態かどうか分からない。
起き上がらせるのも本当は躊躇われるが、消化に良くないから無理をさせている。
だから、せめて。
「いつもなら絶対やってくれないよね、こんなこと。結構嬉しいかも」
「言ってろ」
苦しそうなのに嬉しそうなイチカに答え、秋乃が蓮華でお粥を掬う。
ふーふーした後、イチカへ差し出すと、彼は美味しいと嬉しそうに食べた。
(高熱で味なんて分からないような気がするんだけどな……)
やっぱり、変なヤツだけど、今日は言わないでおいてやろう。
秋乃は自分が作ったお粥を食べて美味しいと言うイチカを見て、小さく笑みを零したのだった。
| 名前:天原 秋乃 呼び名:秋乃、あきのん |
名前:イチカ・ククル 呼び名:イチカ |



エピソード情報 |
|
|---|---|
| マスター | 真名木風由 |
| エピソードの種類 | ハピネスエピソード |
| 男性用or女性用 | 男性のみ |
| エピソードジャンル | ハートフル |
| エピソードタイプ | ショート |
| エピソードモード | ノーマル |
| シンパシー | 使用不可 |
| 難易度 | 簡単 |
| 参加費 | 1,000ハートコイン |
| 参加人数 | 5 / 2 ~ 5 |
| 報酬 | なし |
| リリース日 | 06月24日 |
| 出発日 | 06月30日 00:00 |
| 予定納品日 | 07月10日 |

2015/06/28-21:55
2015/06/28-10:58
天原秋乃だ。「他の参加者とは接触しません」とのことだから会うことはないと思うけど、とりあえずよろしくな。
イチカが風邪ひいたみたいだから、俺が看病するつもり。
他のみんなもはやく良くなるといいな。
それにしても、お粥なんてあまり作らないんだが………まあなんとかなるか。
2015/06/28-07:08
オレはフラル。相棒はマキナのサウセだ。
よろしくな。
あー、風邪をひいたのって何年ぶりだろうか…。
相棒が看病するって張り切っているが、料理、できるのかあいつ…。
2015/06/28-01:51
2015/06/28-01:26
こんばんは、レーゲンと相棒の信城いつきだよ。
今回はいつきが熱を出して寝ているので、私があいさつにきたよ。
みんなのところも大変みたいだね。早く回復できるようおいしいお粥作ってあげたいね
さて、私もお粥作らないと……そういえば、お粥って米と水以外何かいるんだっけ?あれ?
(少々不安になってきた)
2015/06/28-01:16

